40cm SL 前後になる。体側に目立った斑紋はない。腹鰭は第1背鰭よりもかなり前にある。主鰓蓋骨後縁(柔らかい)は尖る。鰓耙数は2。
アカカマスの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)



-
魚貝の物知り度
★★★
知っていたら通人級食べ物としての重要度
★★★★
重要味の評価度
★★★★★
究極の美味
分類
硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目カマス科カマス属外国名
学名
Sphyraena pinguis Günther, 1874漢字・学名由来
漢字 赤叺、赤梭子魚 Akakamasu
由来・語源 「叺(かます)」とは長方形の筵(むしろ)を二つ折りにして袋状にしたもの。昭和30年代くらいまでは水産の世界でも盛んに使われたもの。この叺のように口が大きいことから。ヤマトカマスが「あおかます」と呼ばれるのに対して「あかかます」となる。Günther,
Albert Karl Ludwig Gotthilf Günther (アルベルト・ギュンター 1830-1914 ドイツ→イギリス)。動物学者。地方名・市場名
生息域
海水魚。サンゴ礁域を除く比較的浅場。
オホーツク海を除く北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、瀬戸内海、屋久島、奄美大島、沖縄島。
朝鮮半島西岸・南岸、済州島、渤海、黄海、中国の東シナ海・南シナ海、西沙諸島、インド-西太平洋(ニューギニア島とオーストラリア東岸まで)、ピーター大帝湾(希)。生態
夏に産卵。
肉食魚。小魚などを襲う。
小さいときには浅い場所を大きくなるとかなり深い場所に群れている。基本情報
ヤマトカマスを「水カマス」、アカカマスを「本カマス」という。
味の良さ、大きくなることなどでカマス類ではもっとも高価なもの。
鮮魚でも干ものなどの加工品などとしても流通量は多い。
鮮魚は古く塩焼き魚とされ用途の狭い魚だった。
これが近年刺身やあぶりなど生食されるようになり、鮮度によっては高価なものとなっている。水産基本情報
市場での評価 冬以外は安定して入荷する。年間を通して入荷してくる。やや高値安定。鮮度がよく大型のものは高級魚。
漁法 巻き網、定置網、刺し網、釣り
主な産地 愛媛県、神奈川県、熊本県など選び方
目が澄んでいるもの。鰓が鮮紅色のもの。身体に張りがあって太っているもの。味わい
旬は秋〜初夏。特に晩春から初夏に脂がのる。
関東では晩春から8月はじめ抱卵、白子を持つ時季まで脂があり、産卵後はやせるが、すぐに脂がもどる
鱗は細かく薄く取りやすい。皮はしっかりして厚みがある。中骨は硬いが他の骨はあまり硬くはない。
透明感のある繊維質に富む白身で血合いが強く変色しやすい。 熱を通すと適度に締まる。
皮に独特の風味がある。
料理の方向性うま味の強い白身で、ソテーやゆでるなどに向いていないと思う。関東では古くから塩焼きの魚とされている。皮を引いて料理すると見栄えが悪い。皮に独特の風味があるが、好き嫌いが出る可能性がある。生食に向くか向かないかは意見が分けれそう。生で食べる場合にはよほど産地に近い場所以外には皮つきのまま、皮目をあぶる方がいい。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
アカカマスの料理法・調理法・食べ方/焼く(塩焼き、幽庵焼き、酒塩焼き、干物)、揚げる(フライ)、煮る(煮つけ)、生食(焼き霜造り、酢締め)、ソテー(オリーブオイル焼き、ムニエル)クリックで閉じます
アカカマスの刺身 鮮度落ちはそれほど早くないが身色や身割れしやすい。刺身は主に産地周辺でのみ味わえるが、ていねいに活け締めしたものは流通しても味がまったく落ちない。流通がよくなった今、アカカマスは活け締めで出荷というのが普通になるかも。三枚に下ろして小骨を抜く。皮を引いて適宜に切りつけたもの。活け締めしたものはカマス科の魚特有の臭いが、むしろ匂いになり、実に魅力的である。寒い時期から初夏までの活け締めはどんなに高くても買っていい気がする。
アカカマスの酢じめ 水洗いして三枚に下ろして血合い骨、腹骨を取る。振り塩、もしくは立て塩にしてよく水分を取り、甘酢もしくは生酢に漬け込む。皮目周辺にうま味があって、酢で締まることで生臭みやクセを緩和してくれて、万人向けの味わいになる。クリックで閉じますアカカマスの酢じめ
アカカマスの焼霜造り 水洗いして三枚に下ろし、血合い骨を抜く。皮目のあぶり、氷水に落としてあら熱をとる。水分をよく切り、冷蔵庫などで少し寝かす。これを刺身状に切りつける。焼くとカマス特有の香りが立ち、また皮目に独特のうま味があり。とてもうまい。クリックで閉じますアカカマスのカルパッチョ 鮮度がそれほど落ちていなくても、カマス独特の臭いが出てしまう。微かなものだが、気になるならカルパッチョやポケにするといい。できるだけ薄く切り、皿にオリーブオイルと塩、にんにくを置いた上から並べていく。ここではトマトのスライスの上に並べてみた。上に果物や香りのある野菜を乗せて、スプーンなどでとんとんと馴染ませる。クリックで閉じます
クリックで閉じます
アカカマスの塩焼き 晩秋の脂がのった大型を水洗いする。水分をよく拭き取り、塩をして1時間以上寝かせる。これをじっくりと焼き上げたもの。内側からしみ出た脂で皮や表面が揚げたように香ばしくなり、中はしっとりと揚がる。酒の肴にもいいが、ご飯のおかずにした方がうまい。
かます飯 塩焼きか干ものを焼き上げて、骨を取り除きほぐしておく。これを炊きたてのご飯、もしくは電子レンジで温めたご飯に混ぜ込む。混ぜ込むときに少量の柑橘類の搾り汁か、酢と塩を合わせたものを振っておくと混ぜやすい。クリックで閉じますかます飯
アカカマスのみりん焼き 水洗いして適宜に切り、水分をよく切る。じっくりと焼き、みりんを塗りながら焼き上げる。皮目の風味は好ましく思う人と、臭味に感じる人がいるが、これを緩和する。また冷めてもおいしい。クリックで閉じますアカカマスのみりん焼き
アカカマスのフライ 小振りを三枚に下ろして小骨などを丁寧に抜く。水分をよく切り、塩コショウして溶き卵をくぐらせてパン粉をまぶして揚げる。さくっと香ばしく揚がり、皮目の風味が生きてくる。アジフライに通じるうまさで、また別種の味わいが楽しめる。クリックで閉じますアカカマスのフライ
アカカマスの煮つけ ここでは産卵前の抱卵固体を煮てみた。水洗いしてよく水分を拭き取る。水・酒・しょうゆで煮る。みりんや砂糖の甘味を加えるとよりご飯にあう。火が通ったら鍋止めする。意外に身離れがよく、イヤミのない味わいになる。真子や白子もとてもうまい。クリックで閉じます
アカカマスのオリーブオイル焼き アカカマスを水洗い、適宜に切り、水分をよく切り、塩コショウする。少し冷蔵庫にラップをしないまま放置して表面を乾かして、オリーブオイルでじっくりと香ばしくソテーする。クリックで閉じますアカカマスのオリーブオイル焼き
アカカマスのムニエル 三枚に下ろして血合い骨を抜く。皮を引き、塩コショウする。小麦粉をまぶしてソテーする。淡泊ななかにカマスの個性が生きる。オリーブオイルとアンチョビを混ぜたソースをかける。クリックで閉じますアカカマスのムニエル
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
相模湾では寒い時期に、胴付き仕掛けでエサはサバの切り身などで大型を釣る。水深100メートルを超える場所にいるアカカマスは体長50センチ前後もある。歴史・ことわざ・雑学など
かますの焼き食い一升飯 はカマスは焼くとご飯に合いうまいということ。
魚鑑 〈大なるもの五六寸味美し、只炙食ふによし、処処に出す。ひものとなすもの亦賞すべし〉とある。
霜降りカマス 脂ののった冬のカマスを「霜降りカマス」。
鱚や魳に類していた 東京に向かう汽車内で、西洋人の女性の目鼻立ちを〈鱚や魳に類していた〉。夏目漱石『三四郎』(1908/明治41)参考文献・協力
協力/貴龍丸(神奈川県小田原市)、金栄丸(和歌山市雑賀崎 金栄丸では魚の販売もやっています)
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)