ザルガイ

Scientific Name / Acrosterigma burchardi (Dunker, 1877)

ザルガイの形態写真

8cm SH 前後になる。45本の強い放射肋(縦縞に見えるもの)があり、非常にふくらみが強い。
ザルガイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
8cm SH 前後になる。45本の強い放射肋(縦縞に見えるもの)があり、非常にふくらみが強い。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    軟体動物門二枚貝綱異歯亜綱マルスダレガイ目ザルガイ超科ザルガイ科ザルガイ亜科Acrosterigma属

    外国名

    Cockle
    言語英名 

    学名

    Acrosterigma burchardi (Dunker, 1877)

    漢字・学名由来

    漢字 笊貝 Standard Japanese name / Zarugai

    由来・語源 『目八譜』による。放射録が密で長く、笊(ざる)に形が似ているため。
    模式標本/相模湾
    『日本及び周辺地域産軟体動物総目録』(肥後俊一、後藤芳央 エル貝類出版局)
    Vasticardium burchardi (Dunker,1877)→Acrosterigma burchardi (Dunker, 1877)
    目八譜
    1843(天保14)、武蔵石寿(武蔵孫左衛門)が編んだ貝の図譜のひとつ。図は服部雪斎が描く。武蔵石寿は貝類を形態的に類別。1064種を掲載する。現在使われている標準和名の多くが本書からのもの。貝類学的に非常に重要。
    Dunker
    Wilhelm Dunker(ヴィルヘルム・ドゥンケル 1809-1885)。ドイツの動物学者。ヒラサザエ、レイシガイ、オオマテガイなど国内で普通に見られる多くの貝類を記載した。

    地方名・市場名

    マスゲッコ
    場所千葉県富浦町 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    キンチャク
    場所千葉県相浜 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 

    生息域

    海水生。潮間帯下部から水深20mの砂泥地。
    房総半島〜九州。

    生態

    基本情報

    房総半島の浅場に生息している二枚貝。大型で古くからの食用貝であるが、とれる量が少なく地名度が低い。
    三河湾などでは底引き網などに混ざって獲れる。ほぼ産地周辺で取引、販売されている。
    非常に味のいい二枚貝で量さえまとまれば、アカガイやトリガイ同様に高級二枚貝になるはずである。
    珍しさ度 珍しい貝ではなく、当然、収集の対象としては人気がない。流通しないので手に入れるには産地に行くしかないかも。

    水産基本情報

    市場での評価/流通上ではまだ見ていない。
    漁法/底引き網
    産地/愛知県

    選び方

    原則的に生きているもの。足などを活発に動かしているもの。

    味わい

    旬は春。
    貝殻が厚く硬い。軟体は大きく剥きやすい。
    足は長く黄色みを帯びている。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ザルガイの料理・レシピ・食べ方/生食(湯引き)、煮る(塩ゆで)、焼く(つけ焼き)ソテー(アヒージョ)、汁(みそ汁)

    ザルガイの湯引き 味はエゾイシカゲガイ(イシガキガイ)に似ているが、足はこちらの方が断然大きい。甘味が豊かで、食感もいい。二枚貝の中でもトップクラスの味である。
    貝殻の中には鳥のクチバシ状の脚があり、その部分を刺身や湯引きにする。
    剥き身にして足だけにする。これを開いて、軽く湯引きして氷水に落とす。水分をよく切る。大きいものは二等分にする。

    小ザルガイの塩ゆで 三河湾の底曳き網では幼貝(小さな貝)もとれる。成貝(成長した貝)よりも酒蒸しなどには向いている。今回は塩ゆでにしただけだが、足の部分の食感がよく、わたに強いうま味がある。非常に味わい深く、箸が止まらなくなる。
    貝殻をざくざくと洗い、水分を切り、塩水で貝が開くまでゆでる。
    ザルガイのつけ焼き 直に焼いて、仕上げに醤油を塗ったものなので、醤油の香りが先に立つ。この醤油と足の甘味が一緒になるとびっくりするほど味わい深くなる。食感も心地よい。
    剥き身にして足を開く。これを一度湯引きしてもいいし、そのまま生で焼いてもいい。醤油・みりんを混ぜたものを塗りながら仕上げる。
    ザルガイのアヒージョ ザルガイのひもや貝柱などからうま味がオリーブオイルに移って油からして非常にうまい。軟体は熱を通したことで適度にしまり、甘味がある。
    剥き身にする。砂などを洗い流し、軽く湯がく。氷水に落として、水分をよくきる。適当にきってまた水分を取る。耐熱の器ににんにく、貝、オリーブオイルを加えて塩コショウする。これを加熱する。
    ザルガイのみそ汁 ひもや水管、貝柱を集めただけなのに、思った以上に豊かな味が出ている。汁に甘味があるのも貝から出たものである。貝自体もそこそこ味があり、みそ汁として十二分の味である。
    剥き身にして足をとった後のワタや水管、貝柱などを集めて置く。砂などを念のためにザルに入れて流し、水を切り、水から煮出してみそを溶く。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/カネタ水産(愛知県西尾市一色) 太田正義さん、鈴木項太さん(項明水産 愛知県阿久比町 ■https://komeisuisan.com/)
    『日本近海産貝類図鑑 第二版』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)
  • 主食材として「ザルガイ」を使用したレシピ一覧

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