90mm SL 前後になる。貝殻は薄くよく膨らむ。貝殻の表面はなめらかで毛状の殻皮が生えた弱い放射溝がある。[成貝]
トリガイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★
少し努力すれば手に入る魚貝の物知り度
★★★
知っていたら通人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★★★
究極の美味
分類
軟体動物門二枚貝綱異歯亜綱マルスダレガイ目ザルガイ科ワダチザル亜科トリガイ属外国名
学名
Fulvia mutica (Reeve,1844)漢字・学名由来
漢字 鳥貝 Torigai
由来・語源 『目八譜』より。
■食用とする足の部分が鳥のクチバシのように紫がかった黒色なので。
■味が鶏肉と似ている。
■上総の海で千鳥が海に入って貝に変わったという伝説から。目八譜
1843(天保14)、武蔵石寿(武蔵孫左衛門)が編んだ貝の図譜のひとつ。図は服部雪斎が描く。武蔵石寿は貝類を形態的に類別。1064種を掲載する。現在使われている標準和名の多くが本書からのもの。貝類学的に非常に重要。
武蔵石寿
武蔵石寿(むさし・せきじゅ 玩珂停、明和3-万延元年 1766-1861)。石寿は号、本名は武蔵孫左衛門。450石取りの旗本。赭鞭会。本草学、貝類。西洋の新しい分類学も取り入れようとしていた。『目八譜』(掲載1064種)、『甲介群分品彙』(掲載605種)、『介殻稀品撰』など。現在使われている標準和名の多くがここから来ている。地方名・市場名 ?
生息域
海水生。北海道を除く各地。陸奥湾から九州、朝鮮半島、中国沿岸。
内湾の水深10〜20メートルの砂泥地。生態
内湾の泥地に棲息。
雌雄同体。
産卵は春と秋の二回。
三河湾、東京湾などでは夏に大量に死滅。多くが一年以内しか生きない。基本情報
本州以南の内湾に普通。古くはまとまってとれたが、近年流通量が減り高級な二枚貝となっている。値段の上昇は握りずしの普及による。
江戸時代に握りずしが誕生して以来の代表的ネタで、高級なすし店がこぞって使うもの。1個の貝から1個の握りしか出来ないので、余計に高級なものとなる。
一般にはほとんど出回らず、明らかに料理店を中心に使われている。東京湾、三河湾などでは小振りのものは、比較的庶民的で総菜的にも利用されている。
珍しさ度 食用貝であるが、主に料理店で使われているもの。市場など料理人やすし職人向けの店で買う必要がある。水産基本情報
選び方
活けは生きが良く、足などを盛んに動かしているもの。足に膨らみのあるもの。味わい
旬は早春〜春と、初夏〜秋
貝殻は薄くもろい。軟体は大きく、なかでも足の部分が非常に大きい。
足は非常に柔らかく薄く、黒い色素は取れやすい。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
トリガイの料理法・レシピ・食べ方/ゆでるクリックで閉じます
トリガイの刺身 刺身は完全に生ではなく、湯引きしたものを言う。剥き身にしてヒモなどを除く。足の部分を開き、塩水で短時間湯引きにする。氷水に落として水分をよくきる。生の状態では味がなく身に締まりがない。湯引くことで甘味が強くなり、食感も心地よくなる。
トリガイのとんぼ刺身 剥き身にして塩水で数秒ゆでる。氷水に取り、水分を黒い色を落とさないようにとる。内臓・紐・鰓などを指で押し出して取る。小型のものは開らいてゆでると著しく歩留まりが悪い。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
同定/池田等さん(神奈川県)
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『水産無脊椎動物Ⅱ 有用・有害種各論』(奥谷喬 恒星社厚生閣)