初ものは千葉県産トリガイ

大きな内湾の泥の中に暮らす、味の宝石


貝の春とはいうが、この場合の貝とは内湾の干潟・浅場にいる二枚貝のことをさす。
バカガイ(青柳)、ハマグリ、アカガイ、サルボウ、マテガイ、そしてトリガイなどだ。
気象庁の春の初めの月、3月になると現実に二枚貝に春、を感じてしまう。

さて、千葉県産トリガイの産地は木更津か富津あたりだろうか? 昔は船橋からも入荷していたがどうなんだろう。
トリガイだけではなく干潟や浅い内湾の二枚貝は年々減少している。
明らかに自然破壊が原因である。
なにしろ、海辺の開発、埋めててはやり放題、し放題なのに、水産物の減少を乱獲とか温暖化のせいにしてしまう愚か者ばかりなのである。
だから、めったに来ないし、来ても高すぎるが、その高すぎるトリガイに思わず手が伸びる。
とんぼ(小さすぎてそのままゆでるしかないサイズ)ではなく、開けるサイズが1袋に18個なので、お買い得だった。

トリガイの仕込みは楽しい。
出来上がりをすぐに食べるのはとてもうれしい。
取り立てて個性のある味ではなく、甘味と食感がほどよい。
この食感の表現が難しい。
弾力があるのに程よく噛み切ることができる。
足の表面からも甘味が感じられるが、噛むとより甘い。

あまりにも春らしい味なので、ちょっと高い酒、福島県南会津町、「花泉」を5勺だけ。

年々見かける機会が減っている殻付きのトリガイ


八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に袋入りのトリガイがあった。
これを見てしまったら素通りできない、トリガイ愛の強いボクだった。
殻とり(貝殻つきのトリガイのことで、活けという意味)のたぶん1㎏入りで、海水が透明である。
値段を聞いたら、高騰に次ぐ高騰している今どきにしては安い。
帰宅後すぐに処理をする。

トリガイは足を食べる二枚貝なのでまずは剥き身にする


剥き身にしてひもと貝柱などを取り去り、足を開く。
熱湯にコップ一杯の水をさし少し水温を下げて、1、2秒ゆでて氷水に落とす。

ゆで上がり、を並べて、即口に放り込む


布巾に並べて、少し置き、上から軽くペーパータオルで水分を取る。
後は食べるだけだ。
■舵丸水産は、一般客に優しいので、ぜひ近くにお住まいの方は一度お寄り頂きたい。


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