福島、請戸ものの「ふっこ」を塩焼きに
梅戸のスズキは単純な料理の方がいい

八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に福島県浪江町請戸から「ふっこ(スズキの若い個体)」が来ていた。
いわき市の『海宝水産』からで、体高があり、背が左右に膨らんでいる。
触らなくても上物だ、と思えたので、いきなり確保する。
体長34cm・0.6㎏なのでまさに「ふっこサイズ」だ。以上は前回書いた。
今回は刺身、塩焼き、煮つけと平凡な料理ばかり作った。
取り分けおいしかったのは塩焼きである。
塩焼きの作り方は切り身にして振り塩をするだけ。コツはすぐに焼かないことだ。
できれば1時間以上は寝かして欲しいものである。
今回は買ったその日に振り塩をして、翌日夜に酒の肴に焼いた。
ときどき小さな炎が上がるので、焼け具合を見ながら焼く。
皿に盛り、いの一番に香りをいただく。
汽水域に多いスズキは皮目の香りが御馳走である。
香酸柑橘類がないと塩焼きを食べた気がしない

香酸柑橘類は端境期なので、いただきものの高知県高知市土佐山、『夢産地とさやま開発公社』の柚子果汁を小皿に二杯振りかける。
焼き物に大根おろしはさほど欲しいとは思わないが、徳島生まれなので香酸柑橘類がないとダメだ。
塩焼きに取り立ててていねいな仕立てはいらないと思っている。
ただ今回、焼き上がりが非常にキレイなのは、しっかり血抜きしているためだろう。
焼いているとき脂が沸き上がってきていきなり燃えてしまったので、美しいとは言いがたいが、皮も身も非常に味が深い。
これは酒よりもご飯だ、と思ったときにはもう遅い。
長野市の「若緑 本醸造」のロックもおいしゅうおました。