体長16cm前後になる。ヨゴレマツカサと比べると全体に明るい。背鰭棘は11、胸鰭腋部に小さな鱗の塊がある。鰓蓋膜の黒い部分は主鰓蓋骨棘の下にまで伸びる。
ナミマツカサの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)


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魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区正真骨下区棘鰭上目キンメダイ系キンメダイ目イットウダイ科アカマツカサ亜科アカマツカサ属外国名
学名
Myripristis kochiensis Randall and Yamakawa,1996漢字・学名由来
漢字 並松毬 Namimatukasa
由来・語源 もっとも頻繁に見かけるアカマツカサの仲間という意味合いだと思う。記載は非常に新しい。高知大の山川武さんなどの命名か? 和名の情報はない。
Soldierfish 本種1種に対する英名はないが、Soldierfish の仲間となる。意味は兵士魚であるが、鎧(armor)を着けた兵士を思わせる魚という意味だ。堅い鱗で敵(天敵)を寄せつけないことからくる。イットウダイ科の魚に共通し、総称でもある。Randall
John Ernest Randall (ジョン・アーネスト・ランドール 1924-2020年)はアメリカの魚類学者。
Yamakawa
山川武(やまかわ・たけし)。1942年東京生まれ。魚類学者。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。岩礁域。
八丈島、[神奈川県真鶴町福浦定置]、伊豆半島東岸〜鹿児島県内之浦湾の太平洋沿岸、薩南諸島硫黄島・種子島・奄美大島。生態
ー基本情報
定置網などで水揚げされるが出荷されることはほとんどない。イットウダイ科アカマツカサ亜科の魚は同定が困難なので、種単位での評価はとてもできそうにないのが実情だ。
小魚であるし、鱗がすさまじく硬いので下ろすのが大変だが味のいい魚。面倒をいとわず料理すると安くてうまい魚である。水産基本情報
市場での評価 関東ではまだ一度しか見ていない。安い。
漁法 定置網
産地 和歌山県、高知県など選び方
触って中身がつまって感じるもの。赤いもの。赤みの弱いのは古い。味わい
旬は不明。
鱗は非常に硬く、ガラスの破片を思わせるが、アカマツカサ亜科のなかでは比較的取りやすい。皮はやや硬く丈夫。中骨は硬いが頭部の骨、腹骨などはあまり硬くない。背の部分に小骨がある。
赤みを帯びた白身で熱を通しても硬く締まらない。頭部、中骨などから実に濃厚なだしが出る。身離れがいいのであら煮、あら汁などは非常に味がいい。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ナミマツカサの料理法・レシピ・食べ方/煮る(煮つけ、まーす煮)、生食(刺身)、焼く(塩焼き)、汁(みそ汁)、揚げる(唐揚げ、皮素揚げ)クリックで閉じます
ナミマツカサの煮つけ 水洗いして、湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。よく水分を拭き取り、水・酒・醤油を煮立たせた中に入れる。やや長めに煮て煮染めたいなら煮立たせないで最初から入れてもいい。強火で15分程度煮る。煮ると適度に身が締まり、うま味豊かで実にうまい。煮汁も矢鱈にうまい。
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ナミマツカサのまーす煮 面倒だが鱗をていねいに取り、水洗いする。水分をよくきっておく。鍋に入れて強めの塩水を魚体が被るくらいに満たし、火をつけて強めに火を通す。魚の中のうま味を適度に液体に放出する。豆腐は必須。身に煮汁をつけながら食べる。薬味はコーレーグス(島唐辛子の泡盛漬け)などが合う。
ナミマツカサの丸焼き 持ち帰ったナミマツカサは軽く表面の汚れを取り去り、水分をよく切り、そのままじっくりと焼き上げる。焦げた鱗の着いた皮をはずすと中から美しい白身が出てくる。しっとりと甘味のある身でしょうゆをつけて食べる。クリックで閉じますナミマツカサの丸焼き
ナミマツカサのみそ汁 水洗いし、適宜に切る。湯通しして残った鱗やぬめりを流す。水から煮出してみそを溶く。とても濃厚なだしが出て、しかも後口がいい。豆腐やねぎ、白菜などお好みの野菜を加えるとまた別種のおいしさがある。ご飯に合う。クリックで閉じますナミマツカサのみそ汁
好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)