魚の呼び名学16 縁を切りたい程まずいアブラガレイ
アブラガレイはおいしい魚なので縁を切りたくない
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アブラガレイは富山湾・茨城県以北に生息するやや大型のカレイだ。
北洋漁業(ベーリング海・オホーツク海で行われた漁業)が盛んに行われていたときには大量にとれていた。
全身、薄茶色で非常に柔らかく、さわるとぷにょぷにょしている。
下ろすと身は大量の脂で白濁していて非常に柔らかい。
北海道などで「油鰈」と呼ばれるようになったのは、油をしぼりとっていたかららしい。
岩手県久慈市で「えんきり」という。
〈久慈ではエンキリとも云う。不味の為め、(一度食べたら)二度と食べないという意味である。〉
田中茂穂の『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版)にある。
宮城県気仙沼では今も一部の人が「えんきり」という。
実をいうと高度成長期(1954〜1973年)くらいまで、「脂っぽい」というのはまずいと同義語だった。
だいたい大正・昭和はじめくらいまでに生まれた人間にとって、脂が少ない方がおいしくて、脂が多いのは食べる気になれない、ものだったようだ。
ボクなどこの世代にとっての子供世代は、しばしばこの「脂っぽい」、徳島の言葉で「むつごい」というのを聞いて育った。
ちなみに1935年前後に生まれた次世代は、もちろん私見だけど脂好きだと思う。
今やアブラガレイは冷凍魚の世界では人気抜群で引っ張りだこである。
この国の人間が「脂嫌い」から「脂好き」に反転したのは1970年の大阪万博くらいからだと思う。
今や「脂が乗っている」=「おいしい」だ。
「えんきり」にはこのような時代背景がある。
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