40cm SL 前後になる。マダラに似ているが、頭が小さく、よりスマート。背鰭は3。側線有孔鱗は第2背鰭直下までは連続的で、その後方は不連続。口は大きく上顎は下顎よりも前に出ている。下顎の鬚は非常に短い。[31cm SL・281g]
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区側棘鰭上目タラ目タラ科コマイ属外国名
学名
Eleginus gracilis (Tilesius, 1810)漢字・学名由来
漢字 粉馬以、氷下魚、氷魚 Komai
由来・語源 「こまい」は「細い」だと思っている。小型のという意味。比較的大きくなったものは、「おおまい」で「大まい」である。北海道道東での呼び名から。
漢字「氷下魚」は、風蓮湖、温根沼などの結氷した汽水域で行われている氷下待漁でとることからくる。漁の最盛期が1月〜3月の産卵期で、分厚い氷の下に定置網をしかける独特の漁である。カレイ、キュウリウオなども水揚げされるが氷下の魚の主役はコマイだ。冬の風物詩でもある。
北海道での呼び名を標準和名とした。これは主に北海道から東京をはじめ関東の市場に入荷したためだろう。
由来・語源/アイヌ語 〈アイヌ語では「小さな音のする魚」ぐらいの意味で、しかもそのまま日本語になっているから面白い。〉『ほっかいどう 味の風土記』(達本外喜治 北海道新聞社 1984)。カンカツ、カンカイがギリヤーク語(ニヴフ語。アムール川河口域、北樺太周辺にすむニヴフ民俗が使う)からくるとする説があるなど
由来・語源/小型のタラ 〈同類のマダラに対して、小型のタラであるため、《小魚》を意味する東北・北陸の方言による呼称であろう。コマイの成魚で大型のものを《オオマイ・大魚》と呼ぶが、宮城県では、中型のカツオを《チュウマイ・中魚》とよんでいる〉『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)
漢字/粉馬以 田中茂穂が考えた当て字。『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)
『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)では Eleginus nawaga (Walbaum, 1792)/misspelling をコマイとしていた。Tilesius
ヴィルヘルム・ゴットリーブ・ティレジウス(Wilhelm Gottlieb Tilesius von Tilenau 1769-1857)。ドイツの博物学者、探検家、医師。地方名・市場名 ?
カンカイ[寒海]
場所北海道、青森県下北郡佐井村 備考語源はギリヤーク語もしくはアイヌ語だとして、「寒海」は当て字。 参考20200108木下、『ほっかいどう 味の風土記』(達本外喜治 北海道新聞社 1984)、『新 北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)生息域
海水魚。水深300m(通常100-150m)よりも浅い沿岸。汽水域。
北海道全沿岸、青森県〜宮城県の太平洋沿岸、青森県〜山口県の日本海沿岸。
朝鮮半島東岸北部〜沿海州、日本海北部〜サハリンを経てオホーツク海・千島列島・カムチャツカ半島、ベーリング海、チュクチ湾〜ビクトリア島・シベリア海南岸、アラスカ,シトカ島以西のアラスカ湾、北太平洋。生態
産卵期は厳冬の1月〜3月。
岸近くで氷点下、氷点下近い水温で産卵する。
甲殻類、軟体類、小魚などをエサとしてとっている。基本情報
非常に地域性の高い魚であるが、とても味のいい魚であり、もっと知名度が高くなるべきだと考えている。
日本海・東北太平洋側以北の北大西洋に生息する小型のタラだ。水揚げは圧倒的に北海道が多い。
北海道では厳冬期の氷下での漁が風物詩となっている。また真冬に行われる釣りの対象でもある。
北海道では庶民的な魚として親しまれている。
北海道以外では認知度が低い。関東などでは干ものが一般的で、鮮魚での流通もみられるが極めて少ない。
珍魚度 あくまでも消費地での話だが、漁期であっても鮮魚を手に入れるのは意外なほど難しい。あまり全国流通しないためだ。水産基本情報
市場での評価 関東では主に干ものが流通する。少ないながら鮮魚も流通する。卵巣は単体で流通するが関東ではあまり見かけない。比較的安い。
漁法 定置網、底建て網、底曳き網
主な産地 北海道選び方
鮮魚は関東では主に煮つけか、焼き物にしかならない。触って硬いもの。味わい
旬は冬。
鱗は細かく取りやすい。皮は薄い。骨は柔らかい。
白身で熱を通しても硬く締まらない。
上品な味わいの白身魚である。干物は皮周辺に味があって、焼くといい風味が出る。
「こまい子(卵巣)」はスケトウダラと同等に味わい深い。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
コマイの料理・レシピ・食べ方/焼く(塩焼き)、煮る(煮つけ)、揚げる(唐揚げ)、汁(みそ汁、ちり鍋)、卵巣の煮つけコマイの塩焼き 比較的小振りでほっそりした魚である、身は上品で淡泊、味はむしろ皮にあり。この皮のうまさは焼いてこそ引き出されるのかも知れぬ。水洗いして頭部と尾鰭を切る。肝や卵巣はうまいのでそのままに振り塩をして1時間以上寝かせる。クリックで閉じます
これをじっくり焼き上げる。焼き上がったら熱々の内に背割りにして食べる。皮目の風味、身の甘さが楽しめ、小骨が弱いので食べやすい。
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コマイ唐揚げ 小型は骨が柔らかいのに唐揚げにすると丸ごと食べられる。水洗いして水分をよくきる。片栗粉をまぶして二度揚げする。小振りで骨が軟らかく、上品な白身なのでじっくり2度揚げにすると香ばしく、身のうま味と相まって、とても美味しい。
コマイの煮つけ 水洗いする。卵巣はそのままにする。水分をていねいにとる。湯通しして冷水に落として表面のぬめりを流す。これを酒・砂糖・醤油・水が沸騰した中に入れて短時間煮る。身離れがよく骨が煩わしくない。身に甘みがあっておいしい。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
釣り情報
砂浜、防波堤から投げ釣り。港や汽水湖などに張った氷に穴をあけて釣る。歴史・ことわざ・雑学など
季語は冬。
コマイ売り 釧路市でのこと。〈コマイは大きな箱に入れてソリに乗せ、赤い旗を立てて石油かんをたたいていた〉、〈弊舞橋を渡ると、たそがれのなかを「コーマイ、コーマイ、生きたコーマイのバッタバタ」と、山手の道の方から聞こえてきた〉。『ほっかいどう 味の風土記』(達本外喜治 北海道新聞社 1984)参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 2013年02月26日)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)