体長45センチ前後になる。頭部が左右天地に大きく、尾に向かって細る。頭部に棘がなく、目と目の後方に皮弁がある。丈夫な皮膚に覆われ、鱗はほとんどない。腹に不定形、もしくは大振り網目状の斑文がある。
ギスカジカの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カジカ亜目カジカ科ギスカジカ属外国名
学名
Myoxocephalus stelleri Tilesius,1811漢字・学名由来
漢字 不明 Gisukajika
由来・語源 北海道日高、小樽などでの呼び名。標準和名は古くはモカジカ(藻鰍)であった。北海道、青森県からの荷に「ぎす」、「ぎし」と書いていることがある。これはトゲカジカ(ナベコワシ)よりも「岸寄りにいる」ので「ぎし(ぎす)=岸」だ。
〈頬甲族カジカ科ギスカジカ属ギスカジカ Myoxocephalus raninus〉とあり、Myoxocephalus stelleri (現ギスカジカ) はイサゴカジカとなっている。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)Tilesius
ヴィルヘルム・ゴットリーブ・ティレジウス(Wilhelm Gottlieb Tilesius von Tilenau 1769-1857)。ドイツの博物学者、探検家、医師。地方名・市場名
生息域
海水魚。浅い藻場、岩礁域。
茨城県以北、青森県全沿岸、北海道全沿岸。朝鮮半島東岸〜沿海州、間宮海峡、サハリン西岸、千島列島、オホーツク海東部・北部、ベーリング海、アリューシャン列島、アラスカ湾。生態
ー基本情報
主に茨城県以北で水揚げされる。海のカジカ類ではトゲカジカ(ナベコワシ)に次いで大きく、食用魚として重要。トゲカジカよりも南に生息域を持つので、本州太平洋側の大型カジカは本種であることが多い。
北海道などではトゲカジカ(ナベコワシ)と、浅場にいる磯カジカ(本種)は区別して扱い、本種は「おかず(売れない)」、などという。このあたりの味の違いは他県人にはわかりにくい。
海のカジカ類の特徴は汁や煮物にして味がいい。庶民的な味で、北海道では冬の風物詩でもいえそうな「かじか汁」の材料としてもなじみ深い。
珍魚度 関東にはほとんど入荷してこない。北海道などの産地で探すと手に入る可能性が高い。水産基本情報
市場での評価 主に北海道、東北などから冬期に入荷してくるが入荷量は少なく、安い。
漁法 刺網、釣り、底曳き網
産地 北海道、青森県、福島県、宮城県選び方
触って張りがあり、硬いもの。味わい
旬は秋から冬。
頭が大きく、三枚に下ろすと歩留まりが悪い。鱗はなく皮は硬い。汁などにはそのままぶつ切りで使える。
白身で透明感のある白身だが、鮮度は落ちやすく、すぐに白濁する。
魚体のほとんどが頭部とアラで、冬期の雌は大きな卵巣を抱えている。
料理の方向性鱗がないので水洗いしておおざっぱに切り、汁にすることが多い。肝、胃袋なども余すところなく汁に放り込むというのがカジカ類の食べ方の基本だ。三枚に下ろすと歩留まりが悪いが、肝と身を合わせたとも和えなどにすると生食も悪くないが、必ず冷凍してから料理して欲しい。卵巣はサケの内臓と同様にしょうゆ漬けになる。栄養
ー危険性など
アニサキスの保有率が高いように思える。生食する場合は一度冷凍するべきだ。食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ギスカジカの料理・レシピ・食べ方/汁(みそ汁)、煮る(鍋、煮つけ)、揚げる(唐揚げ)、塩焼きクリックで閉じます
ギスカジカの鍋 水洗いして鰓、胆嚢やエサなどを取り去る。胃袋、肝などは取り分けて置く。適当にぶつ切りにする。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、昆布だしに酒・塩味で煮ながら食べる。よく煮込んだ方がうまい。みそ仕立てにしたり、醤油を加えてもとてもおいしい。野菜などは好みのものを。
ギスカジカのみそ汁 水洗いして、胃袋・肝などは取り分けて置く。ぶつ切りにして湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり水から煮出して味噌を溶く。しょうがのしぼり汁、酒などを加えてもいい。時季の根菜類を加えるとうまい。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)