食用魚、カジカって何だろう?
カジカという言葉の歴史
もともとの鰍・杜父魚(かじか)は河川にいる標準和名のカジカ属のカジカ、ウツセミカジカ、カマキリのことだ。またハゼ科の魚との混称もある。これは「ごり」が石川県金沢でハゼ(ウキゴリなど)でもあり標準和名のカジカでもあることと同様だ。
『和漢三才図会』(寺島良安 東洋文庫 平凡社 正徳2年 1712)に、かじか、ごりの多いところとして〈いま加州(加賀のことで現石川県)の浅野川に多くいる。〉がある。季語では秋のもので、〈河川にすむ渓流魚で、石にはりつくので石伏魚(正しくはハゼ科の魚だと考えている)の名もある〉、〈鰍突く〉も季語である。
『物類称呼』(越谷吾山著 安永4/1775 解説/杉本つとむ 八坂書房 1976)では杜父魚(とふぎょ)が出てくる。
大言海には〈ちかちかかぶりヲ上下に略シタル語ナルベシ〉。「ちかちかかぶり」は「ちちかぶり」と同じで〈かぢか(鰍)ニ同ジ〉。古名を「ちちかぶり」。〈淡水ニ産ズ〉ともある。
海にいるカジカは千島、函館、青森などで「うみかじか」とされていた。『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)
海にいるカジカ科の魚は非常に多く、大型の種の多くが食用となっている。
一般にカジカというと淡水魚という概念があるが、水産の世界では「うみかじか」すなわち海産のカジカ科、ケムシカジカ科の魚である場合が多い。