27cm SL 前後になる。普通20m前後が多いと思う。全体に赤みを帯びて頭部が大きく体高があり、背鰭棘前方部で盛り上がる。側線は前半で急激に下がり、側線状に皮弁がある。口の後端は眼の後端に達する。頭部に小さな黒い斑点がない(カボチャフサカサゴはある)。胸鰭軟条17。
フサカサゴの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目フサカサゴ科フサカサゴ属外国名
学名
Scorpaena onaria (Jordan and Snyder, 1900)漢字・学名由来
漢字 総笠子、総瘡魚、房笠子、房瘡魚 Fusakasago
由来・語源 田中茂穂の命名。身体に総(房とも。袋状にたれているもの)が身体のありらこちらに見られるため。
『日本魚類圖説』(岡田彌一郎、内田惠太郎、松原喜代松 三省堂 初版1935)・『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)にはイズカサゴとフサカサゴのみがあるが、学名的な混乱がある。
Jordan
David Starr Jordan〈デイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン) 1851-1931 アメリカ〉。魚類学者。日本の魚類学の創始者とされる田中茂穂とスナイダーとの共著『日本魚類目録』を出版。
Snyder
ジョン・オターバイン・スナイダー(1867-1943 アメリカ) 魚類学者。スタンフォード大学の魚類学教授。『日本魚類目録(A catalogue of the fishes of Japan)』を田中茂穂、David Starr Jordanとともに作る。地方名・市場名
生息域
海水魚。水深30-1000mの岩礁域。水深200-300mに多い。
北海道・福島県、千葉県外房〜九州南岸の太平洋沿岸、北海道・秋田県の日本海沿岸、新潟県〜九州北西岸の日本海沿岸、奄美大島、沖縄舟状海盆、九州〜パラオ海嶺。朝鮮半島南岸・東岸、済州島、台湾東部・南部、スラウェシ島、オーストラリア東岸・北岸、ロードハウ海嶺、ニューカレドニア〜ニュージーランド北部、アンダマン海。生態
ー基本情報
北海道以南のやや深場にいる。フサカサゴの仲間では比較的見かける機会が多い。
あまり大きくならずまとまって取れないので漁業的な価値は低いが非常に味はいい。水産基本情報
市場での評価 ほとんど流通しない。カサゴなので流通すると値は高い。
漁法 釣り
産地 静岡県、神奈川県選び方
赤味の強いもの。目が澄んでいるもの。※コクチフサカサゴと共通。味わい
旬は秋から冬。
鱗は弱いが棘が多くてとりにくい。皮は厚みがありしっかりしている。
透明感のある白身であるが血合いが弱く見た目はあまりよくない。熱を通しても強く締まらない。
料理の方向性刺身や三枚に下ろすと非常に歩留まりが悪い。刺身はけっしてまずくないが、基本的に汁ものか煮ものに向いている。栄養
ー危険性など
背鰭・腹鰭・尻鰭などに刺されると強い痛みがある。毒性は不明だが、かなり長時間痛みが続く。他のフサカサゴ科も同様ではないかと思う。食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
フサカサゴの料理法・レシピ・食べ方/煮る(煮つけ、鍋、トマト煮、ブイヤベース)、汁(潮汁、みそ汁)、刺身(皮霜造り、焼き霜造り)、唐揚げクリックで閉じます
フサカサゴの煮つけ トゲトゲして面の悪い魚で赤ければ煮つけだろう。水洗いして湯通しする。冷水に落として表面のぬめり、残った鱗を流す。水分をよくきり、酒・醤油・水をわかしたなかで煮る。砂糖、みりんで甘辛くしてもおいしい。なんと言っても皮がうまい。皮だけで元とった気になる。身もしっとりとして甘味があり美味。肝と胃袋は必ず一緒に煮たい。
フサカサゴのみそ汁 あらを集めて置く、肝や胃袋などもあれば一緒に湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をていねいにきり、水から煮出してみそを溶く。実に味わい深い汁になり、あらや肝もすこぶるつきにうまい。クリックで閉じますフサカサゴの焼霜造り 水洗いして三枚に下ろして血合い骨・腹骨を抜く。水分をよくきり、皮目をあぶって氷水に落とす。表面の焦げや残った鱗、ぬめりをこそげて、水分をよくきる。これを刺身状に切りつける。皮目のうまさがぐんと引き立つ。身にも甘みとうま味があり非常に美味。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)