SL 30cm前後になる。細長く側扁し、腹鰭は胸鰭・頭部から離れている。鰭に棘がない。腹側正中線上に稜鱗(硬くとがった鱗)がある。
ニシンの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★
少し努力すれば手に入る魚貝の物知り度
★
知らなきゃ恥食べ物としての重要度
★★★★★
非常に重要味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区新骨亜区正新骨下区側ニシン上目ニシン目ニシン科ニシン亜科ニシン属外国名
学名
Clupea pallasii Valenciennes, 1847漢字・学名由来
漢字 鯡、鰊、青魚、春告魚、二親魚 Nisin
由来・語源
鯡 〈鯡 かど にしん 鰊〔音は柬(レン)〕〉。柬(かん)はえらぶ、えりわける、という意味がある。『和漢三才図会』(寺島良安 正徳3年/1713 東洋文庫 平凡社)
松前方言 〈にしん 松前ことば(方言)なり、一名かど、一名高麗いわし、越前にてみがきという〉。『魚鑑』(武井周作 天保辛卯 1831)。これなど今現在の「みがきにしん」のことで、二身で身を2つに分けるという意味だと考えられる。
二親 〈鰊 徳紅の半切(はんせつ/徳紅は東のこと)。加登(かど)と呼ぶ。……二親(にしん)とは父母のことである。人の多子であるのは父母に依り、鰊の数の子の多さは他魚ではとても及ばないところから〉。『本朝食鑑』(人見必大 島田勇雄 訳注 1697)
鰊 という漢字は「東国(今の東北・北海道)の魚」。
鯡 魚に「非(あらず)」、というのは歴史的に面白い。江戸時代に米のとれない松前藩が代わりにニシンを年貢として徴集した。
二身 「二身」というのがあり、これは内蔵を取り去り、2つ割りにする。その身を「にしん」であるとした。
〈イワシ科ニシン屬ニシン 〔北日本、朝鮮等,〕〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
かずのこ ニシンの卵巣のこと。数子(かずのこ)、加豆乃子(かずのこ)、加登乃古(かどのこ)。鰊鯑とは数の子のことである。『本朝食鑑』(人見必大 島田勇雄 訳注 1697)
かずのこ 卵巣を「数の子」としたのは、秋田でニシンを「カド」といい、その「子」で「かどの子」が訛って「かずのこ」になった。これに「数の子」と漢字を当てた。
学名の小種名「pallasii」はペーター・ジーモン・パラスに献名。Valenciennes
アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。
Pallas
Peter Simon Pallas (ペーター・ジーモン・パラス 1741年〜1811年)。ドイツの動物・植物学者で、サンクトペテルブルク科学アカデミーの教授になり主にロシアで研究する。主に冷水域の魚を記載した。ホッケ類、アイナメ類など国内海域にいる多くの魚類を記載。地方名・市場名
生息域
海水魚。産卵期に群れで沿岸域に回遊。沿岸の浅い海域の海藻が繁茂した場所に産卵。
北海道西岸・風蓮湖・能取湖周辺、青森県尾渕沼周辺、宮城県万石浦、茨城県涸沼周辺、
北海道〜島根県大田市の日本海沿岸、相模湾。
朝鮮半島東岸、済州島、渤海、黄海、オホーツク海、ベーリング海、北海道〜バレンツ海南西部・白海、アラスカ湾〜カリフォルニア半島。生態
系群大規模回遊群
■ 北海道サハリン(樺太)系ニシン/外洋性で大規模な回遊をし、北海道西岸からサハリン南西岸にかけて産卵する。北海道ニシンの主要だったもので1950年に激減、現在に至る。
小規模沿岸回遊群
■ 茅部ニシン/沿岸性で小規模な噴火湾産卵群。
■ 石狩湾ニシン/石狩湾沿岸で産卵回遊する。
■ 田代島ニシン/厚岸湾、厚岸湖で産卵する。
■ 湖沼ニシン/北海道、サハリンの汽水湖、青森県の尾駮沼(おぶちぬま)、茨城県涸沼。
■ 北海道では漁獲される時期、体色、大きさで「春ニシン」、「夏ニシン」、「冬ニシン」に区別される。
「春ニシン」は「走りニシン、群来(クキ)ニシン、産卵ニシン、鼻白ニシン(ハナジロニシン)、鼻黒ニシン(ハナグロニシン)などと呼ばれる。3月から6月に北海道サハリンなどに産卵回遊してくる。
生態北海道では早いものは2年で成熟、3〜4歳で成熟する。
産卵は浅場で行われる。大きな群れで浅瀬に押し寄せて産卵するとき、海水が精子で白濁する。これを「群来(くき)」という。
産卵は厚岸湾など早いときには11月、12月から始まり、北海道西岸では3月下旬から6月下旬。
卵は沈性、粘着性でかたまり状になって海藻などに付着する。これが子持ち昆布となる。
孵化後半年で10センチ前後、1.2歳で15センチから22センチ、3歳で25センチ前後、5歳で30センチ、7歳で32センチ。基本情報
国内で「ニシン」として流通しているのは北大西洋のタイセイヨウニシンと北太平洋の本種ニシンである。
本種は北太平洋に広く生息している。古くは国内海域でも代表的な多獲性魚であった。食用としてではなく、肥料や飼料としても国内の産業を支えていた時代があった。
食文化的にも古く山陰や北陸、出羽の国、平安時代には渡島国(現在の松前、函館周辺)からも都に送られていた。
「春告魚」と呼ばれていたこともあるが、最近、春ニシンが取り分け多いわけではなく、年間を通じて入荷がある。最大の産地は北海道。次いで東北で、山陰あたりまで水揚げがある。
現在に至るまで総菜、おせちなどで国内の一般家庭の生活にも欠かせない魚だ。
たくさんとれ、安くておいしい魚だったので人気が高かったが、北海道のニシンが1950年代に激減。一時は幻の魚とさえ言われたことがある。特に数の子は希少なものとなり、「黄色いダイヤ(黄色いダイア)」と呼ばれていたことも。
鮮魚で流通するには十分な量が国内でとれているが、この減少した資源は未だ完全には回復しないまま現在(2023年)にいたっている。
問題はぬか漬け、干もの、身欠ニシン、数の子などの加工品原料だ。このほとんどがアメリカ、カナダ、ロシア、ノルウェーなどからの輸入もの。数の子などはほとんど総てを輸入に頼っている。
珍魚度 非常に一般的な食用魚である。ただし最近、魚の極端に選択的な食べ方からは外れてしまっており、手に入れるのは簡単とは言えない。また漁獲は季節に左右される。水産基本情報
市場での評価 鮮魚は北海道産が多く、やや高値。冷凍品、加工品は大西洋にいるタイセイヨウニシンなどの輸入ものが圧倒的に多い。アメリカ、カナダ、ロシア、中国などが輸入国。
■ 数の子、子持ち昆布のほとんど総てが輸入もの。
漁法 刺し網、定置網
産地 北海道、青森県、宮城県など選び方
目が赤くなっていないもの。腹など触って硬いもの。味わい
旬は産卵群で違うが寒い時季から春が安定している。
鱗は薄く取りやすい。皮は非常に薄く、弱い。骨は柔らかく、小骨がある。
白身だが血合いが大きく目立つ。脂は混在し、皮下に層を作る。
卵巣は独特の風味があり、非常に味がいいので「子持ちニシン」をよしとする傾向がある。栄養
ー危険性など
生食はアニサキスの危険がある。食べる場合は自己責任で。食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ニシンの料理・レシピ・食べ方/焼く(塩焼き、幽庵焼き、干もの)、生食(マリネ、酢じめ、刺身)、揚げる(フライ、唐揚げ)、煮る(煮つけ)、汁(塩汁、みそ汁)クリックで閉じます
ニシンの印籠焼き 卵巣(数の子)と身は火の通る時間が違うので、丸のまま焼き上げるのは難しい。卵巣にも直接火が当たるように筒切りにして焼く。この卵巣を内に入れたまま焼き上げるものを印籠焼きという。四方から焼けるので卵巣が生焼けにはならない。卵巣のおいしさは魚の中でも無類。ここにうま味豊かな身と皮が加わってくる。
ニシンの塩焼き もっとも基本的な料理法だ。鱗を取り、卵巣・精巣をなるべく傷つけないようにずぼ抜き、水分をよく拭き取る。振り塩をして1時間以上寝かせて、卵巣・精巣に火が通るようにじっくりと焼き上げる。皮目の香りがよく、身に豊かなうま味がある。白子・真子がうまいのも特徴だろう。クリックで閉じます
生数の子の塩焼き(ニシン卵巣塩焼き) フライやマリネにすると卵巣が残る。これに振り塩をしておく。ビニールなどに密閉して数日寝かせる。これを焼き上げる。ニシンの卵巣は独特の渋味とほどよい苦みがあり、甘味が後々残るくらいに感じられる。ご飯によし、酒の肴としてもよしである。クリックで閉じますニシンの刺身 産地では盛んに刺身で食べられている。近年では関東でもしばしば鮮度のいいものが手に入るようになって、マイワシにない風味と強いうま味が楽しめる。水洗いして三枚に下ろし、腹骨と血合い骨、小骨をていねいに抜く。これを薄く切りつける。クリックで閉じますニシンのマリネ(酢じめ) ノルウェーではSursildとなりそう。市販品もあるが自分で作った方が遙かにうまい。鮮度のいいものを三枚に下ろして腹骨と小骨をていねいに取る。振り塩をして30〜40分寝かせる。酢(安いもの)で塩を流し、米酢に20〜30分漬け込む。この時点で1日冷凍するとアニサキスの問題は解消する。ニシンはうま味がとても豊かで、ほどよい食感が楽しめる。酢で生まれる後味のよさもいい。クリックで閉じますニシンの酢じめ 水洗い三枚に下ろして、腹骨・小骨を取る。水分をよくきり、強めの塩をして1時間程度寝かせる。これをしょうがと甘酢(生酢なら1時間でいい)に1時間以上漬けて出来上がり。酢としょうがで生臭みが消え、ニシンのうま味が際立つ。食べ飽きない。クリックで閉じますニシンの天ぷら 水洗いして三枚に下ろし、腹骨を取る。背側から骨切りをして、水分をきる。軽く振り塩をして少し置き、出て来た水分を拭き取って小麦粉をまぶし衣をつけて高温で短時間揚げる。揚げたてを食べると、脂が溶け出して甘く感じ、その脂が濃厚な味わいを口中に発散する。クリックで閉じますニシンのフライ 水洗いして三枚に下ろし、腹骨、小骨をていねいに抜く。皮付きのまま水分をよく拭き取り、塩コショウする。小麦粉をまぶし、溶き卵をからめてパン粉をつけてかりっと揚げる。青魚独特の豊かなうま味で、食べ出すと止められない味。ビールにもご飯にも合う。クリックで閉じますニシンの煮つけ(印籠煮) しょうゆ味でこってり煮るとご飯のおかずになる。ニシンは鱗を取り、内臓は取るが真子、白子はそのままにする。筒切りにして、取り分け子持ちは卵巣・精巣に火が通るくらいじっくりと煮る。煮汁にいいだしが出るので、身を煮汁にからめながら食べる。クリックで閉じますニシンの白子・真子煮 生殖巣がおいしいのも本種の特徴だろう。乾物や塩蔵品としては数の子(真子)が有名だが、鮮魚では白子もあなどれない味わいである。水洗いして真子と白子は取り分けて置く。適当に切り、酒・みりん・少量の水を煮立てた中で短時間煮る。真子はほこほこと甘みがあって、ご飯のおかず向き。白子は酒に合う。クリックで閉じますニシンのみそ汁 うま味の豊かな魚なのでいいだしがでる。これを余すところなく使ったもの。三枚に下ろし、骨と頭部は湯引きする。昆布と一緒に水煮して、骨・昆布を濾して捨てる。この出しに適当にきった身を、あくを掬いながら煮る。仕上げにみそを溶く。骨も頭も一緒に入れてワイルドに作ってもおいしい。クリックで閉じますニシンの船場汁風 水洗いして適当に切る。あらを使ってもいい。振り塩をして少し置き水分を出す。湯通しして冷水にとり、残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり水から、大根と一緒に煮出して酒・塩で味つけする。昆布だしでもいいし差し昆布をしてもいい。船場汁は本来塩サバで作るがニシンでも同様にうまい汁になる。クリックで閉じます関連コラム(料理法・レシピ)
アニキのニシンはフライ用に買う
八王子綜合卸売協同組合、マル幸にちょっとアニキ(すし屋用語で数日前のという意味)なニシンがあった。 頭を落としてるところを見ても、元が大きいことがわかる。これな・・・ 続きを開くノルウェー Sursild
古い話になるがノルウェー産のニシンの酢漬けをもらったことがあって、わくわくして食べたらまったくおいしくない。がっかりして、その頃、購読していた専門誌で読んだり、・・・ 続きを開く好んで食べる地域・名物料理
ークリックで閉じますニシンの鎌倉焼き
鮮魚かまくら焼き ニシンを三枚に下ろして、しょうゆ、酒、みりんに漬け込んで翌日焼いて食べる。安政年間の『松前方言考え』にもあるという。『聞き書 北海道の食事』(農文協)クリックで閉じますにしんの三平汁
にしんぬか漬け三平汁 本来は塩漬ニシンを使って作られていたもので、熟成が進みとてもくせの強い濃厚な味の料理だった。これがぬか漬けにしんを使って作るものに変わる。これを適当に切り、水から煮だして、根菜類などと合わせる。非常に簡単にできて滋味豊かである。加工品・名産品
子持ち昆布 ニシンが昆布に卵を産みつけたもの。本来は国産であるが近年はアメリカ産が多く、人為的に作ったものの方が多い。
子持ちわかめ ニシンがわかめに卵を産みつけたもの。今のところ市場では見ていない。
【数の子(カドノコとも。漢字で鯑)】ニシンの卵巣を塩漬けしたもの 現在流通しているほとんど総てがこの型。
干し数の子 現在ではほとんど作られていない。江戸時代から食べられていたものは本来乾物の数の子。
◆数の子の食べ方
1 塩抜き(水につけて塩抜き。水は何回か替える)。
2 だしと酒、味醂、醤油などをあわせた漬け汁に入れて味つけする。
総菜昆菜にしん 身欠きニシン、昆布、チシマザサなどを煮たもの。[岩木屋 青森県弘前市]クリックで閉じます糠にしん
にしんのぬか漬け糠にしん 「すしにしん」、「にしんのぬか漬け」とも。塩と糠をまぶし短期間漬け込んだもの。北海道で作られている。ぬかから独特の風味が生まれる。このまま小さく切り、焼いてもうまいし、汁などに利用してもいい。[カネマ浜屋商店 北海道根室市]クリックで閉じます身欠にしんにしんぬか漬け 身欠きニシンを糠に漬け込んだもの。身欠きニシンの苦みが糠の風味に置き換わりとてもうまい。そのまま食べても、軽く焼いて食べてもうまい。[山甚商店 石川県金沢市駅西本、番井商店 石川県金沢市大野町、山甚商店 石川県西本町]クリックで閉じます身欠にしん本乾身欠ニシン 「身」、すなわち内臓と腹部を取り去って素干しにしたもの。これを米のとぎ汁などでもどして煮ものや漬物などに利用する。古くは背と腹に分け、腹と内臓は肥料になった。「本乾」二枚におろして20日から1ヶ月間乾燥させたもの。水分30パーセント、「8分乾」(水分35〜40パーセント)、「生身欠き」・「ソフト」(50パーセント)など乾燥の度合いによって、製品がある。クリックで閉じます身欠にしん鰊漬 身欠きニシンと主にキャベツを麹で漬け込んだもの。キャベツは北海道ならではの札幌大球という巨大になる品種で漬物専用種でもある。キャベツのしゃきしゃきうぃた食感と身欠きニシンのうま味が調和してとても味わい深い。[北海道]クリックで閉じます身欠にしんにしん麹漬け 富山県砺波地方では鮮魚や乾物を麹とともに漬け込んだ食品が多い。これはもどした身欠きニシンを麹で漬け込んだもの。野菜を加えないのでより発酵と熟成が進み味の奥行きが出る。酒の肴には最高だ。[大西鮮魚店 富山県南砺市城端]関連コラム(加工品)
にしん山椒漬けは焼いて食え
福島県会津地方、南会津町、猪苗代町などのスーパーで「にしん山椒漬」をたっぷり買って来た。会津土産として比較的当たり外れがなく。ボク好みなのでついつい手が出てしま・・・ 続きを開く釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
春告魚(はるつげうお) 北海道では春に産卵のために南下して記し近くによる。これを待ち焦がれたこともあり「春告魚」と呼ぶ。
かど焼き祭り 雪解け後の4月〜5月に人を集めて「やいたかど(ニシンを焼いたもの)」を食べて春到来を祝う行事。[山形県内陸部新庄市など]
群来(くき) ニシンが群れを作って来遊、産卵するのを「群来」という。
やん衆 群来のくる春に鰊場に雇われる季節労働者。
ミガキニシン(身欠にしん)豊漁期の形 内臓、白子、卵巣などを手で抜き、2、3日干し、尾に裂き包丁を差し入れ、腹側と背側を脊椎骨にそって切り裂いて干した。乾燥したら腹側を肥料に、背の部分を身欠きニシンとして食用にした。1尾から1本をとるものだった。
搾め滓(しめかす) 近世までニシンを茹でて油をそぼった締めかすは農産物の重要な肥料。
灯油(ともしびあぶら) 油は明かりを得るための灯火、また身欠きにしん、卵であるカズノコなど、米食の進んだ時代に北国の生きる糧であった。
ヘリンボーン(Herring bone) 国内では「杉綾織」といわれる。「ニシン(herring)」の「骨(bone)」のような綾織のこと。
文学に登場したニシン鰊の煮浸し 『鱧の皮』(上司小剣)「兵隊の宿」に鰊の煮浸し。
煮つけ魚 〈比目魚、鰈、鮎並、鰺、鱈、鯡、鮫、生節等は皆煮つけで、焼くのは蒸し鰈、魴鮄、鰯、飛び魚くらいであたが、煮肴は私は嫌いであった〉『幼少時代』(谷崎潤一郎 岩波文庫 初版は文藝春秋社1957)
その他豊漁・不漁 ニシンは漁獲の変化の激しい魚で、江戸時代から明治大正昭和と豊凶がくり返されて来た。明治から昭和の初めにかけての豊漁が戦後数年で激減、ニシンの干物や身欠きニシン、カズノコの原料はほとんどが輸入ものでまかなわれている。 ただし北海道サハリン(樺太)群がとれなくなって問題なのは、鮮魚ではなく、肥料・飼料・加工原料などだ。鮮魚用が不足しているわけではない。
カズノコは安かった 〈カズノコなんてのは、お金のねえのが食うあれだもの〉明治42(1909)年生まれ亀戸 [『古老が語る江東区の町並みと人々の暮らし〈下〉』(江東区ふるさと文庫5 江東区)]参考文献・協力
協力/カネシチ遠藤(山形県南陽市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『ニシン文化史』(今田光夫 共同文化社)、『干もの塩もの』(石黒正吉 毎日新聞社)、『さかなの干物』(1967年 竹井誠 石崎書店)、『新明解百科語辞典』(三省堂)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『たべもの語源辞典』(清水桂一編 東京堂出版)、『聞き書 北海道の食事』(農文協)、『聞き書 福島の食事』(農文協)、『宮本常一が見た日本』(佐野眞一 ちくま文庫)、『京おばんざい』(大村しげ 中公文庫ビジュアル版)地方名・市場名 ?