カタボシイワシ

Scientific Name / Sardinella lemuru Bleeker,1853

カタボシイワシの形態写真

SL 24cmになる。鰓蓋骨上部に黒い斑紋が目立つ個体と目立たない個体がある。腹部の一番下の部分、正中線上に稜鱗(棘のある鱗)がある。マイワシにある主鰓蓋骨に骨質条線がない。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱真鰭区ニシン・鰾下区ニシン上目ニシン目ニシン亜目ニシン科ニシン亜科サッパ属

    外国名

    学名

    Sardinella lemuru Bleeker,1853

    漢字・学名由来

    漢字 肩星鰯
    由来・語源 鰓蓋骨(肩)の部分に小さな黒点があるため。
    Sardinella lemuru Bleeker,1853→Sardinella aurita Valenciennes, 1847(Sardinella aurita aurita Valenciennes 1847)

    地方名・市場名

    ホネイワシ[骨いわし]
    場所鹿児島県南さつま市笠沙 備考小骨が多いため。 

    生息域

    海水魚。沿岸生。
    [島根県益田]、相模湾、駿河湾、徳島県、九州南岸、琉球列島。
    東シナ海中部、済州島、台湾、香港、フィリピン諸島、スラウェシ島、スマトラ島、ジャワ島、論木刀、マレー半島西岸、オーストラリア西岸。

    生態

    産卵期は夏から秋ではないかと思う。

    基本情報

    20世紀には九州、本州ではほとんど近海で揚がることのなかった魚である。九州南岸、相模湾では近年漁獲量の増えた魚のひとつ。各地で大量に水揚げされることがあるが、温暖化の影響ではないかと思っている。商品価値が低いので漁師さんには歓迎されない。
    小骨が多く、血合いが強いために料理法などで工夫がいる。

    水産基本情報

    市場での評価 鹿児島県、神奈川県など日本各地で入荷量の増えてきている魚のひとつ。非常に安い。
    漁法 定置網
    産地 鹿児島県、神奈川県

    選び方

    触って張りのあるもの。目が澄んでいるもの(水氷の場合は当てはまらない)。頭部ほおなど赤く変色しやすいが、鮮度とはあまり関係がない。

    味わい

    旬は春から初夏ではないかと思う。
    鮮度とは関係なく、頭部ほお、体側など空気に触れると赤くなる。
    鱗は硬く、稜鱗が強い、皮は薄くやや強い。骨は非常に細く軟らかいが煩わしい。基本的に骨切りして調理する。小形のものは実が軟らかく脆弱、大きくなるとしっかりする。
    血合いが強くきれいな赤みがかった白身。熱を通しても硬く締まらない

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    カタボシイワシの料理法・調理法・食べ方/生食(なめろう・みそたたき、背ごし)、煮る(煮つけ)、ソテー(ハンバーグ、さんが焼き)、焼く(塩焼き)、揚げる(唐揚げ)、汁(みそ汁)
    カタボシイワシの刺身(背ごし) 水洗いして三枚に下ろして腹骨を取る。これを頭部からできるだけ薄く切る。岡山県ではヒラをこうやって料理する。ねぎ、しょうが、にんにくなどを合わせてもいいし、これをしょうがじょうゆで食べてもおいしい。

    カタボシイワシのみそたたき(なめろう) 身、血合いの色合いが悪くなりがちであるが、みそとたたくとそれが気にならなくなる。水洗いして皮を引き、細かく切る。みそ、ねぎ、みょうが、大葉などを加えてよく切れる包丁でとんとんとたたく。非常にこくのある味で酒がすすむ。ご飯にもいい。

    カタボシイワシの煮つけカタボシイワシの煮つけ 水洗いして皮側から包丁を細かく入れる。鍋に合わせて切る。湯にくぐらせて冷水に取り、鱗やぬめりを落とす。水分をよく切り、酒、砂糖、しょうゆ、水で煮上げる。切り身からとても強いうま味がでて、身は軟らかくなる。身と煮汁を絡ませながら食べるととても味がいい。
    カタボシイワシの煮干し 10月初旬、全長14cm前後が相模湾で揚がっていた。これを煮干しにしてみた。強めの塩水で7分前後ゆでる。ザルに取りウチワで仰ぎ放冷。硬く干し上げる。かなりうま味のあるだしがとれた。問題があるとしたら硬く締まりすぎることくらいだ。●コラムあり

    カタボシイワシのハンバーグカタボシイワシのハンバーグ カタボシイワシを水洗い、三枚に下ろして皮を引き細かく切る。これを細かく叩いて、玉ねぎ、ねぎなどを加えてソテーする。ごま油でソテーすると香ばしくていい。みそを加えてソテーすると「さんが焼き」となる。
    カタボシイワシの唐揚げ カタボシイワシを水洗いし三枚に下ろして中骨はそのまま、身は身の方から骨切りして適宜に切る。片栗粉をまぶしてじっくりと二度揚げする。さくさくと香ばしくてついつい箸が伸びる味だ。
    カタボシイワシの塩焼き カタボシイワシは鱗を取り、ずぼ抜きする。水分をよく切り、振り塩をする。少し寝かせてじっくりと焼き上げる。小骨がわずらわしいが味はよい。骨切りして焼いてもいいが、少しぱさつく。
    カタボシイワシのみそ汁カタボシイワシのみそ汁 水洗いして、皮側から細かく包丁を入れる。適宜に切り、湯にくぐらせて、冷水に落として残った鱗やぬめりを取る。水(昆布だし)から煮て、みそを溶く。薬味やねぎなどお好みで。うま味の強いだしが出てとても味わい深い。

    関連コラム(料理法・レシピ)

    記事のサムネイル写真カタボシイワシの煮干し
    塩ゆでにすると硬く締まり、どうしても鱗が気になる。カタクチイワシや小アジのようにゆでたてをおやつに、酒の肴にとはいかない。  ただしじっくり硬く干し上げて、だ・・・ 続きを開く

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/『宍喰漁業協同組合』(徳島県海部郡海陽町宍喰)、伊東正英(鹿児島県南さつま市笠沙)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)
  • 主食材として「カタボシイワシ」を使用したレシピ一覧

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