イズカサゴ

Scientific Name / Scorpaena neglecta Temminck and Schlegel,1843

イズカサゴの形態写真

SL 45cmほどになる。全体に赤く、濃く赤い斑文がある。涙骨の下縁(上唇の直ぐ上)にある刺が3本。胸鰭腋部(腋)に皮弁(皮膚が旗状になったもの)がある
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SL 45cmほどになる。全体に赤く、濃く赤い斑文がある。涙骨の下縁(上唇の直ぐ上)にある刺が3本。胸鰭腋部(腋)に皮弁(皮膚が旗状になったもの)があるSL 45cmほどになる。全体に赤く、濃く赤い斑文がある。涙骨の下縁(上唇の直ぐ上)にある刺が3本。胸鰭腋部(腋)に皮弁(皮膚が旗状になったもの)があるSL 45cmほどになる。全体に赤く、濃く赤い斑文がある。涙骨の下縁(上唇の直ぐ上)にある刺が3本。胸鰭腋部(腋)に皮弁(皮膚が旗状になったもの)があるSL 45cmほどになる。全体に赤く、濃く赤い斑文がある。涙骨の下縁(上唇の直ぐ上)にある刺が3本。胸鰭腋部(腋)に皮弁(皮膚が旗状になったもの)がある体側や鰭に褐色(赤みがかった)の斑紋が散らばっている。胸鰭腋部(腋)に皮弁(皮膚が旗状になったもの)がある腹鰭前方域には鱗が内。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★
      少し努力すれば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★
      知っていたら通人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目フサカサゴ科フサカサゴ属

    外国名

    学名

    Scorpaena neglecta Temminck and Schlegel,1843

    漢字・学名由来

    漢字 伊豆笠子、伊豆瘡魚 Izukasago
    由来・語源
    『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)には、イヅカサゴ Scorpaena izensis jordan & Starks,1904 (現シノニム)とある。このときの小種名「izensis」から。ジョーダン、スタークスが伊豆周辺で採取した個体で研究し、記載したためだ。実際に伊豆半島周辺にやや多い。1904年に記載と同時に、田中茂穂が標準和名をつけたのだと思われる。
    1800年代にシーボルトとその周辺の人達の手でオランダに送られていて、記載済みであったために学名はシノニムとなる。ちなみに水揚げ量は伊豆周辺よりも長崎周辺の方が圧倒的に多い。
    Temminck
    コンラート・ヤコブ・テミンク Coenraad Jacob Temminck(1778-1858 オランダ) シュレーゲルとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。
    Schlegel
    ヘルマン・シュレーゲル(Hermann Schlegel 1804-1884年)はドイツの動物学者。テミングとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深70〜300m。100m以深に多い。
    青森県・[大間]、茨城県、千葉県〜九州南岸の太平洋沿岸、山形県、[新潟県親不知]〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、少ないが青森県、茨城県。
    東シナ海大陸棚縁辺域、朝鮮半島南岸、済州島、台湾、山東省、東シナ海中国大陸沿岸北部。

    生態

    基本情報

    本州以南のやや深場でとれるものの、専門の漁があるわけでもなく、水揚げ量は決して多くない。フサカサゴの仲間でもっとも大型になり、全長50cmを超え、まぶしく感じるほどに赤い体色をしているため水揚げ港でも非常に目立つ。
    底曳き網、釣り、刺し網などでとれる。底曳き網で揚がる山口県などでは評価が低く、三重県、関東などでは高級魚だ。また近年、青森県をはじめ東北でも水揚げが増えている。
    特に関東から静岡県東部では釣りの対象魚として絶大な人気を誇る「オニカサゴ」として知名度が高く、豊洲など関東の市場でも「オニカサゴ」と表記されていたりする。標準和名のオニカサゴは非常にマイナーな食用魚であるために混乱が起きている。
    大型になり、非常に味がいい。魅力的な魚である。野締め、活け締め、活魚など入荷状態はいろいろ。関東では大きいほど高いが、小さくてもさほど安くはない。
    珍魚度 珍しい魚ではない。西日本の底曳き網などでまとまって揚がるなど、山口県などでは普通の食用魚である。ただし関東などでは手に入れにくい。

    水産基本情報

    市場での評価 比較的入荷量の多いカサゴ。やや高値。活魚は非常に高い。
    漁法 底曳き網、刺し網、釣り
    産地 山口県、長崎県、神奈川県、千葉県、長崎県

    選び方

    目が澄んでいて触って張りのあるもの。赤身の強いもの(退色していないもの)。大きなものの方が味がいい。

    味わい

    旬は秋から冬がうまいと思うが、春の固体も味がいい。旬のわかりにくい魚だ。
    食感のよさや透明感は長く保たない。
    鰭や頭部の棘が強く非常に鋭い。関東の呼び名「オニカサゴ」はこの棘の強さ故だ。背鰭などの棘が刺さると非常に痛みが強く、長く痛むことがある。
    鱗は小さく取りやすい。皮は厚みがあり強い。骨はあまり硬くない。
    透明感のある白身で熱を通しても硬く締まらない。

    栄養

    危険性など

    刺毒があるかどうかなどは不明だが、背鰭・腹鰭・尻鰭などに刺されると強い痛みがある。二度不注意から指に刺さったことがあるが、痛みが強く、かなり長時間痛みが続く。他のフサカサゴ科も同様ではないかと思う。

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    イズカサゴの料理・レシピ・食べ方/煮る(煮つけ、すっぽん煮、鍋)、汁(潮汁、みそ汁)、蒸す(酒蒸し、清蒸)、生食(焼霜造り、刺身、セビチェ、湯引き)、焼く(塩焼き)

    イズカサゴのしゃぶしゃぶ 1 水洗いして三枚に下ろす。頭部、中骨などをこんがり焼く。身は皮付きのまま腹骨・血合い骨を取り、薄く切る。中骨などと昆布を煮だして塩と酒で味つけする。ことことと温めながら身をしゃぶしゃぶして好みの火の通し加減で食べる。

    イズカサゴのしゃぶしゃぶ 2 しゃぶしゃぶした切り身は市販のポン酢で食べてもいいし、柑橘類と醤油を合わせたもので食べてもいい。薬味もお好みで、胡椒、一味、七味などいろいろ替えながら食べてもおいしい。





    イズカサゴの煮つけ 1 水洗いして大きいものは適当に切る。鍋に入る大きさならそのまま煮てもいい。肝、胃袋なども一緒に煮ること。上品な白身で新しいと弾力があって煮るとやや硬く締まる傾向にある。これをもう一煮しすると柔らかくふっくらとする。今回は酒、砂糖(洗双糖)、しょうゆの味つけでやや強めの味つけにした。強めの味つけがいやなら、酒・醤油だけでも。砂糖を入れなくてもいい。

    イズカサゴの煮つけ 2 食べた後は骨湯(医者殺し)にしてもいいし、煮汁で素麺を食べてもいい。徳島県では冷蔵庫などで冷やし、煮凝り状体のものを、ゆでた素麺にかける、もしくはつけて食べる。皮や骨なども合いの手に食べるといい。


    イズカサゴのちり鍋 あらやかまの部分を集めて置く。湯引きして冷水に落として残った鱗やぬめりを流し、水分をよくきる。これを昆布だしに酒塩味の汁のなかで煮ながら食べる。あらもそうだが、うま味豊かな出しがでて、野菜がうまい。ポン酢で柑橘類としょうゆで食べるといい。
    イズカサゴのすっぽん煮 あらや刺身などにしてときの切り落としなどを集める。これをザルなどに入れて湯通し。このまま冷水に入れて残った鱗を流し水分をとる。これを酒(水の半量)・塩だけの味つけででじっくりと煮る。煮汁とあらなどを皿にとり、ともに楽しむ。やや濃厚な煮汁になるが、これとあらについた皮や身と一緒に食べる。
    イズカサゴの潮汁 大型はあらを集める。小振りは適当に切る。これを湯通しして冷水に落とす。残った鱗やぬめりを流して昆布だし(水でも)で煮だし、酒塩で味つけする。非常にうま味豊かな汁で煮たあらなども美味。

    イズカサゴのみそ汁 大型はあらを集めて置く、小型はぶつ切りに。これを湯通し(省いてもいい)して冷水に落として残った鱗やぬめりをとる。これを水(昆布だしでも)から煮出してみそをとく。あっさりと上品な味わいなのでみそに少しだけ味で負けるがおいしい。
    イズカサゴの皮霜造 水洗いする。肝や胃袋は取り分けて置く。三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取り、肝・胃袋と一緒に湯通しして氷水に落とし粗熱を取る。皮が少し落ち着くまでおき、刺身状に切る。胃袋はできるだけ細く切る。味は皮周辺にありだ。表面をあぶるよりも端的に本種を楽しめる。
    イズカサゴの焼霜造り 活魚なら単に刺身にしても弾力があっておいしい。ただ皮目のうま味は身よりも上。三枚に下ろして血合い骨を抜き、皮目をあぶって瞬間冷凍庫であら熱を取る。氷水に落とし、よく水分をきってもいい。肝や胃袋などは湯引きして添えた。身の食感に皮目のうまさ、肝や胃袋などの味で号館絢爛。

    イズカサゴの湯引き 小振りのものを三枚に下ろして血合い骨を抜く。適当に切り、塩を加えた湯に通し、氷水に落とす。水分をよく切り、ポン酢などをかけ回す。ここにしょうがの搾り汁を振ってもいいし、酢みそで食べてもいい。
    イズカサゴの刺身 活魚なら刺身がイケル。水洗いして三枚に下ろして血合い骨を抜く。皮を引いてできるだけ薄くそぎ造りにする。肝や皮、胃袋などは湯引きして添える。強い食感のなかにほの甘さがある。わさびじょうゆでもいいし、ポン酢で食べてもいい。ねぎを薬味に食べてもいい。
    イズカサゴのセビチェ 異型の魚なので刺身などにすると無駄が出やすい。これを小さく切り、ライムと塩でしめる(マリネー)、紫玉ねぎ、辛い青唐辛子を加えて和えて少し置く。柑橘系の酸味で爽やかな味わい。トマトや豆類、アボカドなどを合わせるといい。スピリッツ(テキーラ)と合う。

    イズカサゴの鰭酒 相模湾はオニカサゴ(イズカサゴ)釣りが盛ん。釣り船で教わったものだが、相模湾周辺だけではなく、各地で本種の定番料理となっているらしい。鰭を切り取り、タワシなどでていねいにヌメリなどを取る。塩水に15分ほど(大きさ季節によって違う)つけて、水分を取り数日干し上げる。かさかさ音が出るくらいに干す。香ばしく焼いて熱燗をそそぐ。酒に弱い方は酒に炎を入れるといい。実にうま味豊か濃厚な味わいになる。

    イズカサゴの開き干し 本種はそれほど水っぽい魚ではないのに、塩焼きよりも少し干した方がおいしい。この原因は不明だが水洗いして開いて、立て塩か振り塩をする。振り塩にした場合にはそのまま密閉して半日以上寝かせる。これを適度に干す。塩焼きでは硬く締まる身がふっくらと上がり、やたらにうまい。肝や胃袋なども一緒に干すとうまい。また食べた後の残りは汁、鍋ものなどいろいろ使える。

    イズカサゴの塩焼き 小振りのものを水洗いして振り塩。塩が馴染むまで置き、じっくりと焼き上げる。家庭で焼くなら半身した方がいいかも。少し硬く締まりすぎるが白身のよさが楽しめる。
    イズカサゴの唐揚げ 小振りのものは丸のまま揚げる。大型は中骨を残して腹骨・血合い骨がついた三枚に下ろした身を揚げるといい。水洗いし、背中に切れ目をいれる。片栗粉をまぶしてじっくり低温で揚げる。一度取り出して今度は中火で揚げる。骨まで全部とはいかないが、皮目の香ばしさ、身のうま味が楽しめる。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品


    イズカサゴの開き干し 塩味だけの開き干し。脂があるのか表面が揚げたように香ばしく焼き上がる。皮も身も総て美味。長崎県産

    釣り情報

    100メートルから160メートルの中深場釣りでの釣り対象魚。一般には天秤仕掛けでサバ切り身、カツオ、イカ餌で釣る。

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)

    地方名・市場名

    ババ
    場所三重県大王町 参考林一兵衛さん 
    ショオヤンババ
    場所三重県志摩市和具町 備考「庄屋の婆」のことではないかと思う。 参考日比野友亮さん/和具の方言 
    カラコ
    場所山口県下関・宇部市 参考聞取 
    ガラ ガラメバル
    場所山口県宇部市 備考カサゴ類の総称として。 参考青山時彦さん(宇部市青山鮮魚) 
    オコジバチメ
    場所新潟県新潟市 参考20240229市場 
    シャニン
    場所新潟県糸魚川市 参考伊井良太さん、青木清隆さん 
    ドッコ ガラン
    場所福井県 
    アカオコゼ[赤虎魚]
    場所秋田県象潟、和歌山県田辺 参考文献 
    カサゴ
    場所青森県三厩・今別、新潟県佐渡、神奈川県江ノ島 参考文献 
    アカドク
    場所青森県深浦岩崎・深浦・鰺ヶ沢 参考文献 
    ハナオコゼ
    場所青森県鰺ヶ沢赤石 参考青森県水産技術センター 
    オニカサゴ[鬼笠子]
    場所神奈川県小田原市、静岡県伊東 備考相模湾を始め関東周辺 
    オニカラコ
    場所山口県下関市 
    ハツメ
    場所山形県酒田市由良漁港 
    オコゼ
    場所和歌山県田辺 参考文献 
  • 主食材として「イズカサゴ」を使用したレシピ一覧

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