体長12cm前後になる。クロザコエビと比べると体色が暗色(濃く)で時間がたつと黒くなり殻が硬い。体側の節の殻の下部に白い縁取りがある。背には模様がない。頭胸部の正中線上の隆起はクロザコエビよりも長く、棘も強い。
トゲザコエビの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★★
究極の美味
分類
節足動物門甲殻亜門軟甲綱(エビ綱)真軟甲亜綱エビ上目十脚目抱卵亜目コエビ下目エビジャコ上科エビジャコ科クロザコエビ属関連コラム(同定)
クロザコエビとトゲザコエビの比較と見分け方
同じように日本海側で水揚げされて、大きさも見た目もあまり変わらないのが両種だ。両種を並べるとわかるが、1種だけを見ているとわからなくなる。 トゲザコエビを・・・ 続きを開く外国名
学名
Argis toyamaensis (Yokoya,1933)漢字・学名由来
漢字 棘雑魚蝦 Togezakoebi
由来・語源/クロザコエビよりも正中線上の棘などが目立つから。
古く標準和名はトゲクロザコエビであった。Yokoya
横屋猷(よこや ゆう 1891-1969)。東京大学教授で、甲殻類学者。蒼鷹丸(そうようまる)で採集した生物をはじめ、日本近海にいる多くの甲殻類を研究した。地方名・市場名
生息域
海水生。水深200-1000m。
日本海。生態
ー基本情報
日本海の底曳き網などで揚がるもの。日本海などで見かける「どろえび」、「がすえび」、「がさえび」は本種か専門家でもなければ区別がつかないクロザコエビのことだ。
日本海で底曳き網の行われる9月〜5月、石川県では6月くらいまでとれる。もともとは安いエビだったが、近年流通の発達もあり、高騰している。水深300mまではクロザコエビが多く、それよりも深場では本種が多くなる。
クロザコエビ同様に非常に美味であるが、黒く変色するのが早いこと、殻が硬いのでやや値が安い。
珍魚度 珍しいエビではない。太平洋側や九州、四国ではめったにお目にかかれない。日本海側で寒い時季に行くと手に入る。水産基本情報
市場での評価/主に産地で流通するが近年、関東にも来るようになっている。クロザコエビと同様に高騰している。また冷凍流通しており、非常に便利である。
漁法/底曳き網
産地/鳥取県、石川県、兵庫県、富山県、新潟県、山形県、秋田県選び方
古くなると黒くなる。味わい
旬は秋から春。
生食するエビの中では比較的殻が硬い。特にクロザコエビと比べられることが多いが、混ざりの殻を剥いているとクロザコエビ、トゲザコエビの違いがよくわかる。新しいものは剥きにくい。
やや水分が多いが非常に甘味が強く、熱を通しても硬く締まりすぎない。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
トゲザコエビの料理・レシピ・食べ方/生食(湯引き、刺身)、焼く(素焼き)、揚げる(唐揚げ)、煮る(塩ゆで)クリックで閉じます
トゲザコエビの湯引き 完全な生もいいが筋肉の表面だけ火を通すとうま味が増す。殻を剥き、水分をよく拭き取る。塩水を沸かした中で1秒前後ゆでる。氷水に落として粗熱をとり、水分をよく取る。生でも十二分にうまいが、軽く火を通すと口当たりがよくなる。
トゲクロザコエビの刺身 身と殻がくっついていて取りにくいところがクロザコエビとの違いである。身はホッコクアカエビ(甘えび)と比べると水分が少なく、甘味も非常に強い。生食用のエビとしては最上級の味わいだと思っている。クリックで閉じますトゲザコエビの焼き物 振り塩をするかどうか? 迷ったことがある。何固体か試したものの、あまり塩に意味があるとは思えないのでただ単に焼き上げている。強火で短時間に焼き上げると、身の甘味とうま味が凝縮される。歩留まりは悪いが病みつきになる味だ。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
山陰から東北に書けての日本海側では、安くておいしいエビとして人気が高かった。甘味が強いのでおやつ的なものとしても食べられていたようだ。関連コラム(郷土料理)
水と塩だけの、石川・福井の塩いり・浜いり
石川県、福井県で作られている「塩いり」、「浜いり」は呼び名は違うが同じ調理法だ。 「塩いり」は石川・福井両県でみられるもので、資料としても残っている。浜(漁港)・・・ 続きを開く加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/駒井智幸さん(千葉県立中央博物館)、上越市片岡鮮魚店、石田武さん(石川県金沢市)
『日本のエビ・世界のエビ』(東京水産大学第9回公開講座編集委員会扁 成山堂書店)