SL 140mm 前後になる。殻は薄く硬く、表面の凹凸が顕著。内唇の幅が狭い。[宮城県]
エゾアワビの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門腹足綱前鰓亜綱古腹足目ミミガイ科ミミガイ属外国名
学名
Haliotis discus hannai Ino, 1952漢字・学名由来
漢字 蝦夷鮑
由来・語源 平瀬與一郎の命名。北方系、蝦夷(北海道)に多いアワビの意味。
アワビの語源にはいろいろ説がある。
■ 「あわぬみ(不合肉)」の意味で貝殻と身が合わないため。
■ 「あはすみ(合肉)」の意味で貝殻と身がぴたりと合うので。
■ 「あひ(合間)」の転化したもの。
■ 「あは(合)で「ひかる(ひかる)」の意味でふたがないことをいう。
■ 「あは(合)で「ひらく(開)」の意味でふたがないことをいう。
■ 「いはふ(岩触)」の転化。
■ 「いははひみ(岩這身)」で岩をはっているの意味。地方名・市場名 ?
生息域
茨城県以北本州太平洋側、北海道日本海側、津軽海峡。沿海州、朝鮮半島、河北省。北海道噴火湾など日本各地に移植。
水深10メートルよりも浅場に生息。生態
産卵期は8月〜11月。
トロコフォア幼生としてなって泳ぎだし、その後、巻き貝型のベリジャー幼生になる。
その後、着床し幼貝になる。
エサはワカメやアラメ。基本情報
クロアワビの北方系亜種である。本来は寒冷地だけにいたものが増殖や移植によって各地で見られる。
近年、各地、海外ではハワイ、韓国、台湾などで養殖も盛んに行われている。流通の場ではクロアワビよりも多くなっている。アカネアワビほどではないが、手頃な値段に落ち着いてきていて、回転ずしなどでも希に回っている模様だ。水産基本情報
市場での評価 アワビ類ではもっとも多く養殖されていて、入荷量が多い。値段は国産天然は高値安定だが、クロアワビよりも安い。養殖は年々安くなっていてやや高値。
漁法 養殖、見突き漁
産地
国内/北海道、岩手県ほか
外国/韓国、台湾、チリ選び方
原則的に生きているもの。身がふっくらしているもので、触ってよく反応するもの。味わい
旬は春〜初夏
ほどよい磯の香りがあり、食感が強い。
旨みが非常に強い。
非常に希だが、アワビのツノワタには光に過敏に反応する毒性分があり、春先に食べると皮膚のただれやかゆみが起こるとされる。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
エゾアワビの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身、水貝、しょうゆづけ、中華風)、煮る(しょうゆ煮、酒蒸し、アヒージョ)、焼く(網焼き)、揚げる(天ぷら)、炊き込みご飯クリックで閉じます
エゾアワビの刺身 天然ものと養殖ものでは食感に違いが出ると思う。やはり養殖ものは柔らかく、貝らしい風味も少ないと思う。ここでは岩手県産、やや大きめを刺身にする。貝殻から外し、塩でしめる。これを刺身にしたもの。シコシコと歯触りがよく、磯の香りが濃厚。非常にウマシ。
エゾアワビの水貝 水貝は塩加減した昆布だしを冷やして、そこに適当に切った筋肉とつのわたを浮かせて食べるもの。昆布とアワビが一緒になるとこれほどに味わい深いのか、と驚くはず。しょうゆで食べる以上にアワビ本来の味が生きる。クリックで閉じますエゾアワビつのわたのしょうゆ漬け 韓国産の小振りなものをたっぷり買い求め、筋肉は刺身、すしダネに、つのわたは保存も考えてしょうゆと少量のみりんに漬け込む。よく柚などで風味づけするが、つのわた本来の味を大切にしたいのでやらなかった。日本酒に非常に合う。クリックで閉じますエゾアワビの中華風 貝殻から外して塩で締める。比較的薄切りにして皿に並べて、上にねぎ、辛い唐辛子をのせて、タレ(中国しょうゆ・老酒・魚醬・少量の砂糖を合わせてにんにくを加えて軽く煮つめたもの)をかけて、煙が出るくらいに熱した油をかけたもの。こんな簡単な料理法ではあるが、和とは違った味わいが楽しめる。クリックで閉じます
エゾアワビの煮貝 水洗いして表面の汚れなどを取る。これを酒・しょうゆ・水で煮て、一晩鍋止めしたもの。煮る時間は最小限にして、冷ましながら煮含める。養殖ものなので比較的柔らかく、それでいて貝らしい風味が楽しめる。クリックで閉じますエゾアワビの酒蒸し 水洗いして表面の汚れなどを流す。塩をまぶして、身をしめてふたたび水洗いする。これを多めの酒・水・塩で蒸し煮にする。今回のものは小振りだったので蒸し煮にすること15分ほど。柔らかく、磯の香りとアワビの貝らしいおいしさが堪能できる。クリックで閉じます酒蒸し鮑
エゾアワビのアヒージョ エゾアワビは水洗いして、貝殻から外し、塩をまぶして少ししめる。適当に切り、たっぷりのにんにく、オリーブオイルで煮る。油が泡立ち、にんにくの香りがしてきたら出来上がりである。身、つのわたを食べ、うま味のある油をパンに浸して食べるといい。クリックで閉じますつのわたのしょうゆ煮 つのわたは生でもおいしいが、保存が利かない。たっぷり買ったときは、これをしょうゆで煎りつけるように煮ると当座は保つ。ここではしょうゆ・少量の酒を煮立たせて煎りつけた。クリックで閉じますエゾアワビの焼きアワビ 貝殻のまま水洗いして、塩をつけて締める。これを炭火の強火で焼き上げる。小さなものでも、焼くことによって味わいが凝縮する。短時間で焼き上げるのがコツ。熱いうちに食べてウマシ。クリックで閉じますアワビの踊り焼き
エゾアワビの天ぷら むき身にして塩もみする。水分をよくきり、小麦粉をまぶし、衣をつけて高温で短時間揚げる。中心部分は完全に生でいい。表面を揚げることで味が濃厚になり、生と熱を通したのと両方の味わいがひとつになった、といった感じになる。揚げたてを食べると、止まらなくなる。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
としろ 岩手県で作られる。「としろ(肝膵臓)」の塩辛。岩手県の各地で作られ、宿や居酒屋などでも食べることができる。「としろ」の濃厚なうまみと熟成からくる渋みが感じられて、とても日本酒に合う。クリックで閉じますとしろ
煮貝 山梨県甲府市などで作られている。古くは甲斐は山国で海産物を駿河(静岡県)に頼っていた。駿河の海産物を山越えで運ぶとき、塩漬けやしょうゆ漬け、干ものであったが、アワビはしょうゆにつけて馬の背にのせて運ばれる。この運ばれる間にしょうゆの味と馬の体温で味のよい煮貝が出来上がった。市内にある煮貝の老舗「みな与」の歴史には400年前となっているのだが、これでは年代が曖昧である。江戸期初期もしくは織豊時代ということだろうか。アワビはメガイアワビ、クロアワビ、マダカアワビが原材料である。写真の原料はハワイで養殖されたもの。醤油でじっくり煮込んでいる。クリックで閉じますエゾアワビの煮貝
肝煮 韓国産エゾアワビの肝を煮たもの。ワインを使っている。『信玄食品(山梨県甲州市塩山)』釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)