アカアワビ

Scientific Name / Haliotis ruber Leach.1814

アカアワビの形態写真

殻長12cm前後になる。貝殻は赤く、厚みがありやや硬質な感触ではなく鈍い。表面にはっきりした筋状の成長脈がある。貝殻の表面に凸凹のないもの。軟体部分のへりが黒い。[表側]
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殻長12cm前後になる。貝殻は赤く、厚みがありやや硬質な感触ではなく鈍い。表面にはっきりした筋状の成長脈がある。貝殻の表面に凸凹のないもの。軟体部分のへりが黒い。[表側]貝殻の表面に凸凹のないもの。軟体部分のへりが黒い。[裏側]貝殻の内側。貝殻の表面が凸凹コツゴツしていて、軟体部分が黒くないタイプ。[表側]貝殻の表面が凸凹コツゴツしていて、軟体部分が黒くないタイプ。[裏側]
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    軟体動物門腹足綱前鰓亜綱古腹足目ミミガイ科Haliotis属

    外国名

    Blacklip abalone
    言語英名 
    Earshell

    学名

    Haliotis ruber Leach.1814

    漢字・学名由来

    漢字 赤鮑
    由来・語源 アワビの仲間で殻が赤いという意味。
    アワビの語源
    ■ 「あわぬみ(不合肉)」の意味で貝殻と身が合わないため。
    ■ 「あはすみ(合肉)」の意味で貝殻と身がぴたりと合うので。
    ■ 「あひ(合間)」の転化したもの。
    ■ 「あは(合)で「ひかる(ひかる)」の意味でふたがないことをいう。
    ■ 「あは(合)で「ひらく(開)」の意味でふたがないことをいう。
    ■ 「いはふ(岩触)」の転化。
    ■ 「いははひみ(岩這身)」で岩をはっているの意味。

    地方名・市場名

    シドニーアワビ
    参考『世界海産貝類コレクション大図鑑』(菱田嘉一 電気書院) 

    生息域

    海水生。潮間帯下部。
    オーストラリア西南部タスマニア島周辺。

    生態

    基本情報

    「ruber abalone(ゴムアワビ)」とは不思議なオーストラリア名。
    2000年代以前からもっとも普通に見られるオーストラリア産のアワビ。
    軟体部が黒いのでクロアワビなどよりも安い。
    和名はアカアワビだが、流通上は「オーストラリアアワビ(オースト)」。
    「Haliotis conicopora Peron, 1816(ビクトリアアワビ)」とともにオーストラリアを代表するものと言われるがビクトリアアワビはほとんど見たことがない。

    水産基本情報

    市場での評価 オーストラリアのアワビ類ではもっともひんぱんに見かけるもの。国産のものよりより安く。時期によっては安定している。
    漁法 採取
    産地 オーストラリア

    選び方

    原則的に生きているもの。身が痩せていなくて触って硬く締まるもの。

    味わい

    旬は不明。
    軟体の足は表面が黒く、なかは薄茶色。
    黒い色素はこすると取ることが出来る。
    塩でもんでもあまり硬くならない。
    アワビ類としてはやや旨みに欠ける。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ソテー(バター焼き)、生食(刺身)、煮る(酒蒸し、煮貝)
    アワビのバター焼きバター焼き 貝殻から取り出して、よく水洗いして水分をきる。これをバターでソテーする。あまり火を通しすぎないこととバターをたっぷり使うといい。アワビを取りだし、適宜に切り、貝殻に盛る。無塩バターなら味見をして塩コショウする。パセリの香りをだして貝殻に盛ったのにスースとしてかける。
    アカアワビの刺身刺身 軟体を取り出して塩もみする。足の方は塩摺をしてよく水洗い。これを刺身状に切る。またツノワタはゆでて添える(生でもいい)。クロアワビなどと比べると香りも風味も落ちるが、これはこれで捨てがたい味である。
    アカアワビの酒蒸し酒蒸し 酒、水を半々に合わせ、塩を加えたなかで1時間ほど蒸し煮にしたもの。これを一晩鍋止めをする。軟らかいなかに海らしい風味があるものの、もうひと味足りないと思う。しょうゆなどで強い味つけにした方がいいかも知れない。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品


    煮貝煮貝 山梨県甲府市などで作られている。古くは甲斐は山国で海産物を駿河(静岡県)に頼っていた。駿河の海産物を山越えで運ぶとき、塩漬けやしょうゆ漬け、干ものであったが、アワビはしょうゆにつけて馬の背にのせて運ばれる。この運ばれる間にしょうゆの味と馬の体温で味のよい煮貝が出来上がった。市内にある煮貝の老舗「みな与」の歴史には400年前となっているのだが、これでは年代が曖昧である。江戸期初期もしくは織豊時代ということだろうか。本来、アワビはメガイアワビ、クロアワビ、マダカアワビが原材料だったが、近年は本種をはじめ輸入ものの方が多くなっている。

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/千葉県立博物館 黒住耐二
    『原色圖鑑 世界の貝』(鹿間時夫、堀越増興 北隆館 1963)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)、『世界海産貝類コレクション大図鑑』(菱田嘉一 電気書院)
  • 主食材として「アカアワビ」を使用したレシピ一覧

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