SL 50cm前後になる。頭部は少し盛り上がり、吻までの中間地点で少ししゃくれる。吻部は丸味を帯びる。体側に横帯、尾柄部の斑紋がない。第2背鰭の後方、尾鰭の前にオレンジ色から黄色い斑紋があるが、はっきりしない個体もある。ひげは鰓蓋後縁を超え、ウミヒゴイ類の中でも長い。
マルクチヒメジの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)



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魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ヒメジ科ウミヒゴイ属外国名
学名
Parupeneus cyclostomus (Lacepède, 1801)漢字・学名由来
漢字 丸口比売知 Marukuchihimeji
由来・語源 吻部分が丸味を帯びているためかも。
〈スズキ目ヒメジ科マルクチヒメジ〉。『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)Lacepède
Bernard Germain Lacepède(ベルナール・ジェルマン・ド・ラセペード 1756-1825 博物学者、音楽家。フランス)はビュフォン(Georges-Louis Leclerc de Buffon 博物学者。リンネとは違った配列を試みた)の後継者。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。サンゴ礁平面域、礁湖。水深125mまでのサンゴ礁外縁。
八丈島、小笠原諸島、屋久島、琉球列島。
少ない/伊豆半島東岸〜高知県柏島までの太平洋沿岸
台湾、イースター島をのぞくインド-太平洋。生態
魚食性。基本情報
主に鹿児島県島嶼部、沖縄県で食べられている魚である。沖縄でとれるヒメジ科ウミヒゴイ属の中でも大きくなるもののひとつ。
他のヒメジ類と一緒に「たかかしー」、「じんばや」として取引されている。ウミヒゴイ属の魚は大きい方が高いので、目立つ存在でもある。
くせのない白身で、多様な料理に使える。味の点でも申し分のない魚である。水産基本情報
市場での評価 沖縄のヒメジ類でも少ないもの。やや高値。
産地 刺し網、定置網、釣り
産地 沖縄県選び方
ー味わい
旬は不明。春に卵を持っているので、産卵後はまずいかも。
鱗は大きく薄く取りやすい。皮はウミヒゴイ属の中では厚みがあるが薄く熱に弱い。骨はあまり硬くない。
透明感のある白身でまったくクセがない。皮、骨などからいいだしが出る。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
マルクチヒメジの料理法・レシピ・食べ方/生食(刺身、焼霜造り、セビチェ)、焼く(塩焼き)、煮る(まーす煮、煮つけ)、ソテー(バター焼き)、クリックで閉じます
マルクチヒメジの刺身 水洗いして三枚に下ろす。皮を引き素直に刺身にする。本種の沖縄県での産卵期は不明だが、本州のホウライヒメジが夏に旬を迎えるのに対して、春に向けて秋から春に旬を迎えるのかも知れない。秋の個体は脂がのっていて身に甘味があった。
マルクチヒメジの焼霜造り(タカカシの刺身) 単純に刺身にしても、嫌みのない白身で悪くはない。ただ、脂のない時季のものを使うと少し単調な味わいになる。皮を生かすことで別種の味わいにしてみる。焼いてもまだ皮は硬いが味に奥行きがあっておいしい。クリックで閉じますタカカシ料理
マルクチヒメジのセビチェ 刺身にしたときの切れ端などを集めて置く。やや細かく切り、塩・ライム・辛い唐辛子で1時間程度しめる。辛味と酸味で爽やかな味わいになる。スピリッツの肴に向いている。クリックで閉じますマルクチヒメジの塩焼き ウミヒゴイ属だけではなくヒメジカの塩焼きはとてもうまい。皮に独特の甘いと感じさせる風味と、身質がいいためである。切り身にして振り塩をして1時間前後寝かせる。これを焼き上げる。クリックで閉じますマルクチヒメジのあら煮(煮つけ) 比較的大きな魚なので刺身したときなどはたっぷりあらが出る。集めて置き、湯通しする。冷水に落として残った鱗とぬめりを流す。水分をよくきり、酒・砂糖・醤油・水が沸いた中で煮る。こってり甘辛に似てご飯のおかずにしてみた。実にうまし。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012)