オニヒゲ

Scientific Name / Coelorinchus gilberti Jordan & Hubbs, 1925

オニヒゲの形態写真

全長70cm前後になる。頭部が大きく後にいくほど細くなる。吻はよく尖る。鰓蓋骨にある鰓条骨は6本。鱗には小さな棘が並んでいてトゲトゲしい。発光器は肛門付近にしかない。頭部の下面には黒い皮弁やイボ状の丸いふくらみがある。
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全長70cm前後になる。頭部が大きく後にいくほど細くなる。吻はよく尖る。鰓蓋骨にある鰓条骨は6本。鱗には小さな棘が並んでいてトゲトゲしい。発光器は肛門付近にしかない。頭部の下面には黒い皮弁やイボ状の丸いふくらみがある。全長70cm前後になる。頭部が大きく後にいくほど細くなる。吻はよく尖る。鰓蓋骨にある鰓条骨は6本。鱗には小さな棘が並んでいてトゲトゲしい。発光器は肛門付近にしかない。頭部の下面には黒い皮弁や瘤上の丸いふくらみがある。鱗には小さな棘が並んでいて触るとトゲトゲしい。頭部の下面には黒い皮弁やイボ状の丸いふくらみがある。発光器は肛門付近にしかない。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★★
      究極の美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱新鰭区真骨亜区正真骨下区側鰭上目タラ目ソコダラ科トウジン属

    外国名

    Ogre grenadier

    Ogre grenadier Pan's-pipe grenadier
    備考「Ogre」は鬼、人食い鬼。「grenadier」の意味は近衛連隊、歩兵連隊。 

    学名

    Coelorinchus gilberti Jordan & Hubbs, 1925

    漢字・学名由来

    漢字 鬼鬚 Onihige
    由来・語源 現標準和名のトウジンは古い標準和名をヒゲ(鬚)であった。ソコダラのトウジン属も「ヒゲ属」で、この仲間のなかでも鱗が硬く刺々しい(荒々しい)ことから「鬼」を冠した。ヒゲは神奈川県三崎での呼び名。鼻(吻端)から上顎骨がまっすぐ後方に伸びていて、立派な鬚を生やした人のようであるからではないか? もしくは下顎に1本の鬚があるためか。

    地方名・市場名

    グンカン
    場所青森県 
    サイレン
    場所岩手県 
    ツクシ
    場所岩手県宮古市宮古漁協 
    トウジン
    場所宮城県石巻 
    ショウノフエ[笙の笛]
    備考別名。注:『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)にあるが本来、ショウノフエ(笙の笛)は雅楽の、竹を何本も束ねたもの)はニシキハゼ。 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 

    生息域

    海水生。水深260メートル〜930メートル前後。
    北海道〜土佐湾の太平洋沿岸、東シナ海北東部斜面域、九州。
    〜パラオ海嶺、台湾、南シナ海。

    生態

    基本情報

    岩手県、宮城県など遠洋漁業の基地となっている漁港などにまとまって水揚げされる。
    通常は練り製品などの原料となるものだが、少量だけ鮮魚で流通する。
    味がよいので知る人ぞ知る魚。もっと鮮魚として活用して欲しいものでもある。

    水産基本情報

    市場での評価 入荷は希。一定の評価はなく、非常に安いことが多い。
    漁法 底曳き網
    産地 宮城県、岩手県

    選び方

    体色の濃い黒っぽいもの。目が赤い、内臓が出ているなどもできるだけ避ける。

    味わい

    旬は不明。
    頭部が大きく非常に歩留まりが悪い。内臓が頭部近くにあり、三枚に下ろしたときの片身が後部にあるため、鮮度が長続きする。
    鱗が硬く棘々しく取りにくい。骨はあまり硬くなく小骨がない。白身で鮮度からして白濁している。身はしっかりして硬い。クセは全くなく、ほどよく脂分からの甘みがある。肝はあっさりしたなかに脂からくる甘みがあり、後に旨みがほどよく感じられる。

    身質フィレ 血合いが弱く、見た目にも美しい白身。熱を通しても硬く締まらず、甘味がある。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    オニヒゲの料理法・食べ方/汁(みそ汁)、煮る(煮つけ)、生食(なめろう・みそたたき、刺身)、焼く(若狭焼き)、ソテー(みそたたきをハンバーグのようにソテ、ムニエル)、揚げる(フライ、天ぷら)
    オニヒゲのみそ汁オニヒゲのみそ汁 肝をたっぷり入れたみそ汁は、同属のトウジンとともに魚類中最上級の味。肝は汁にして嫌みがなく、クセもない。微かに甘みがあり、まったりとして後味がいい。身や骨からいいだしがでて、こちらも上品でいながら旨みがある。

    オニヒゲの煮つけ煮つけ 面倒でも鱗を引き、水洗い。肝は大事に扱って分けておく。身を湯通しして冷水に取り、鱗などをこそげ落とす。酒、砂糖、しょうゆ、水(酒・塩でも酒・みりん・しょうゆでもいい)の地で煮て、仕上げに肝を加える。肝のうまさは本体以上だ。身は煮ても硬く締まらず、甘味がある。煮つけ魚としても非常に優れている。
    オニヒゲのみそたたきオニヒゲのなめろう(みそたたき) 千葉県で「なめろう」、宮城県などでは「みそたたき」。刺身よりも、みそ、肝も加えて叩く方がいい。肝が非常にうまいので、肝をゆでる。身はたたき、ネギなどを刻む。これをみそと合わせて切れ味のいい包丁でたたく。肝の味は天下一品で、逆に身は脂はあるが旨みに欠ける。このふたつを合わせた味わいがいいのだ。これを焼いたものを「さんがやき」というが、これも美味。
    オニヒゲの刺身オニヒゲの刺身 脂の甘みのある、しっかり食感の感じられる刺身になる。鮮度にもよるがなかなか捨てがたい味わい。ゆでた肝を溶かし込んだしょうゆ、「肝しょうゆ」で食べてもうまい。
    オニヒゲのムニエルオニヒゲのムニエル 皮を剥き塩コショウして小麦粉をまぶしてソテーしたもの。オリーブオイルでソテー、熱が通ったらフィレを取りだしバターを加えて、ポワロを炒めてつけ合わせにした。ソテーすると適度に締まり、実にうまい。
    オニヒゲのさんが焼きオニヒゲのさんが焼き 「なめろう」を焼いたもので千葉県では「さんが焼き」というが、最近ではフライパンなどでソテーすることが多い。ソテーするとふんわりと仕上がり、中は非常に芳醇になる。軟らかくこくがあってとてもうまい。
    オニヒゲのフライオニヒゲのフライ クセがなく脂が身に混在しているのを、揚げると身はジューシーで柔らかく、非常にフライ材料として優れている。沖縄風に厚い衣で天ぷらにしてもいい。比較的まとまってとれる魚なので、フィレ加工にしてもいいと思う。
    オニヒゲの唐揚げオニヒゲの唐揚げ オニヒゲを水洗いして皮付きのまま適宜に切る。片栗粉をまぶしてじっくりと二度揚げにする。皮はやや硬いが揚げることで香ばしく揚がる。身はさくっとして甘味が感じられて美味。
    オニヒゲの肝みそ焼きオニヒゲの肝みそ焼き 水洗いして肝は分けておく。三枚に下ろして水分をよく切り、皮目を下にしてじっくりと焼き上げる。焼き上がりに肝みそ(肝、みそ。みりん、酒、砂糖を合わせたもの)を塗りこんがりと焼き上げる。こくのある肝みそが淡泊な身と一緒になってとても味わい深い。
    オニヒゲの幽庵焼きオニヒゲの幽庵焼き 水洗いして三枚に下ろす。よく水分を切り、幽庵地に1日ほどつけこむ。塩分濃度が高いほど漬け込み時間は短くていい。また柚子などの香りをつけてもいい。これを焦がさないようにじっくりと焼き上げる。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)
  • 主食材として「オニヒゲ」を使用したレシピ一覧

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