8cm SH 前後になる。イタヤガイ科ではやや縦長で左殻は右殻よりも少し膨らむ。足糸湾入は深く、広く開口する。放射肋が無数にあり、鱗片が不規則にある。鱗片はときに棘条に立ち上がる。[岩手県大槌町産]
アズマニシキの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱イタヤガイ目イタヤガイ上科イタヤガイ科カミオニシキ亜科カミオニシキ属外国名
学名
Azumapecten farreri nipponensis Kuroda, 1932漢字・学名由来
漢字 吾妻錦、東錦 Standard Japanese name / Azumanishiki
由来・語源 『目八譜』より。あくまでも江戸時代に武蔵石寿などが考え出した名だと思われる。東の意味は不明だが、命名したときの貝殻が関東周辺のものだったからかも。「にしき」は赤や黄色など色違いが出やすいためではないか?Kuroda
黒田徳米(くろだ とくべい Kuroda Tokubei 1886-1987 兵庫県淡路島)。貝類学者。日本貝類学会創設者で、会長にもなった。同郷の平瀬與一郎の平瀬商店に丁稚奉公にあがり、貝類の収集、のちに分類にたずさわる。
武蔵石寿
武蔵石寿(むさし・せきじゅ 玩珂停、明和3-万延元年 1766-1861)。石寿は号、本名は武蔵孫左衛門。450石取りの旗本。赭鞭会。本草学、貝類。西洋の新しい分類学も取り入れようとしていた。『目八譜』(掲載1064種)、『甲介群分品彙』(掲載605種)、『介殻稀品撰』など。現在使われている標準和名の多くがここから来ている。地方名・市場名
生息域
海水生。50mよりも浅い岩礫底。
東北から九州。
朝鮮半島、沿海州に棲息。生態
ー基本情報
本州以南の磯などに普通に見られる。比較的大形の二枚貝で日本各地において食用となっていた。
日本各地で食用とされてきたが量的に少なく、ほぼ流通の場には出ない。東京湾横須賀などでも漁師さんが好んで食べていたのだというが、今はとれないとも。
韓国ではイタヤガイ科は「가리비(カリビ)」と呼ばれ食用となっているが、そのひとつだ。
珍しさ度 珍しい二枚貝ではなく日本各地の磯に普通。ただ流通しないので自分で採取するか海辺などで探すしかない。水産基本情報
市場での評価/流通上見ていない。
漁法/採取
産地/選び方
原則的に生きているもの。貝柱が痩せていないもの。味わい
旬は不明。
貝殻が硬く堅牢だが薄い。貝柱はやや大きく、熱を通しても硬く締まらない。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
アズマニシキの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身)、ソテー(バター焼き)、焼く(焼き貝)クリックで閉じます
アズマニシキの刺身 ホタテガイ同様、他の軟体部分に比べて貝柱が大きく、刺身で食べられる。
貝を剥き、貝柱だけにして、貝柱の硬い筋と皮膜を取り去る。ざっと塩水で洗い水分をよくきる。あとはそのままでえもいいし、大きさによっては二等分する。
甘味うま味はホタテガイに劣らず、食感は本種の方が強いようだ。表面をあぶってもいい。アズマニシキのバター焼き むき身にして食塩水で軽く洗う。水分をよくきりバターでさっと短時間ソテーする。イタヤガイ科は総てバターと相性がいい。ニンニク風味などを利かせてもいい。しょうゆをたらすとご飯にも合う。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー関連コラム(郷土料理)
アズマニシキとアカザラガイの違いはほとんどない
近年は選別が行き届いているので、ホタテの稚貝に付着物はないが、昔はよくアズマニシキが付着していた。表面の放射肋や鱗片を見てもアカザラガイとの違いはわからなかっ・・・ 続きを開く加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)