アズマニシキはやっかいな存在か?

ホタテガイはいやだろうな


アズマニシキは本州、四国、九州の浅い海域に普通で、足糸を出して貝や岩などにくっついて生きている。古くは東京湾など日本各地で食用になっていて、関東などではホタテガイよりも一般的であった。ちなみにホタテガイが今のように国内全域で食べられるようになったのは1970年以降だ。
青森県陸奥湾からホタテ稚貝の入荷が続いている。殻付きとゆでたものが来るが、殻付きの方が小さい。ホタテガイの出荷は稚貝→ボイルホタテ→成貝となる。
ホタテガイを養殖するとき成長にともない間引く必要がある。先にも述べたようにホタテガイ養殖では、稚貝から出荷が始まる。小さいものの成貝にはない味が楽しめ、個人的にはあっさり上品な味わいでとても好きだ。
その稚貝に、昔はキヌマトイガイやナミマガシワ、アズマニシキなどが無数についていたが、最近付着数が少なくなってきている。これなど明らかに養殖業者の方達が手間を惜しまずかき落としているのだと思う。
ただ、個人的な意見だが、ナミマガシワ、アズマニシキはもっとたくさん付いていて欲しいと思っているのだ。昔、ホタテガイよりもアズマニシキの方が多いんじゃないか? と思うような荷が来ていてうれしくて小躍りしたことがある。それほどアズマニシキは可愛らしい。
本来はもっと大きくなる二枚貝だが、ホタテガイについているのは1g前後で大きくても3gくらい。

今季は地味なものが多い

貝殻の赤いものや黄色いもの、褐色のものなど色変する。ホタテの稚貝に付着しているアズマニシキに、今度のには地味なのが多いなとか、きれいなのが多いなとか、独りごちて楽しめるのがアズマニシキというものの存在価値かもしれない。


アズマニシキは実にうまい

しかもアズマニシキだけで汁を作ったら本家、くっついて迷惑をかけているホタテよりも味がいい気がするのである。当然、アズマニシキがついていても問題はない。
味的にもプラスだと思う。それが証拠にアカザラガイという本種の亜種がいるのだが、気仙沼などで養殖が行われているのだ。こちらもいい味で、同じように貝柱を主に食べるがホタテガイに負けぬ味である。
今年の稚貝はいつまで入荷してくるのだろう。稚貝にアズマニシキ、ナミマガシワがついててうれしい、と感じてくれる人が多くなるといいのにな。



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