12cm SH 前後。イタヤガイ科では大型で、扇形、やや縦長。自然界で育ったものは鱗片が強い。貝殻の表面には規則的な放射肋があり、黄、橙、紫、赤、褐色など色彩の変化が大きい。
ヒオウギの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)






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珍魚度・珍しさ
★★
少し努力すれば手に入る魚貝の物知り度
★★★
知っていたら通人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★★
究極の美味
分類
軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱ウグイスガイ目イタヤガイ上科イタヤガイ科カミオニシキ亜科ヒオウギ属外国名
学名
Mimachlamys nobilis (Reeve,1852)漢字・学名由来
漢字 緋扇貝 Standard Japanese name / Hiougi, Hiougigai
由来・語源 『丹敷能浦裏』より。
アヤメ科の植物にヒオウギがあるので、標準和名はヒオウギガイとするべきだと考えている。Reeve
Lovell Augustus Reeve (ロベル・オーガスタス・リーブ 1814-1865)、イギリス。貝類学者。
丹敷能浦裏
にしきのうらづつみ。介類(貝類)569種を掲載。彩色された貝の図と解説を載せた江戸時代の図譜。
ヒガイ、ホネガイ、カキツバタ、クレハガイ、アザミガイ、タケノコガイ、ヨウラクガイ、ミルクイ、キサガイ、シオサザナミほか。地方名・市場名
生息域
海水生。房総半島〜沖縄。
20メートルより浅い岩礁域。生態
生殖腺の色(白-雄、橙色-雌)基本情報
房総半島以南の岩礁域で見つけられる。
食用とされているのは、ほぼ養殖されたもの。主に西日本で養殖されており、色鮮やかなのでお歳暮、正月用として人気があり、各地で観光客などにも一役買っている
また焼いたり、刺身にしたり、同様に観光資源のひとつとなっている。
あまり生産量が多くないので一般的な流通は少なく、地域的な存在でしかない。
珍しさ度 自然界で探すのは比較的難しい。養殖ものは探せば手に入る。水産基本情報
市場での評価 流通量は少ない。値段はやや高値。
漁法 養殖
産地 三重県、熊本県、愛媛県ほか選び方
触って強く閉じようとするもの。貝柱の太いもの。味わい
旬は不明。
貝殻は厚みがあって硬い。貝柱は甘みがあって食感も強い。
うろ(肝膵臓で濃緑色で丸味がある)以外は食用になる。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ヒオウギの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、あぶり、ひも塩もみ)、ソテー(アヒージョ、バター焼き)、汁(みそ汁)、焼く(焼き貝)クリックで閉じます
ヒオウギの刺身 イタヤガイ科の貝柱はどの種もとても味わい深いが、本種は中でも突出して味がいい。ホタテガイと比べて貝柱こそ小さいものの、うま味の量はこちらの方が上である。活きのいいものは食感もいい。
剥き身にして、塩水などで水洗いし、貝柱だけにする。貝柱の周りの皮膜、硬い筋の部分を取る。食べやすい大きさに切る。
ヒオウギガイのあぶり あぶると表面の火の通った部分と中心の、生の部分との味の差が面白い。表面の香ばしさや香りに中心部分の甘味で味に奥行きがでる。クリックで閉じます
剥き身にして、塩水などで水洗いし、貝柱だけにする。貝柱の周りの皮膜、硬い筋の部分を取る。食べやすい大きさに切り、バーナーで表面をあぶり氷水に落として水分をきる。ヒオウギガイひものきゅうりもみ 数がまとまったときだけの料理だ。貝柱はこりこりとして食感がよく、噛めば噛むほど味が出る。そこに酢ときゅりが合わさると、とてもおいしい一品になる。クリックで閉じます
貝柱を集めて置く。すり鉢などに入れ、塩を加えて表面のぬめりなどを取る。氷水に落としてヌメリなどを流して水分を切る。適当に切ってきゅうりもみと合わせて三杯酢を加える。ヒオウギガイの貝焼き 焼き上がったときの醤油の香ばしさ、貝の香りは得も言われぬ。貝柱の甘さに、生殖巣のうま味、貝柱の食感と味は複雑だ。クリックで閉じます
片側の貝殻を外してウロ(肝膵臓)を取り除く。強火で焼き、味つけに醤油と酒をたらす。ヒオウギのバター焼き ソテーをして適度に熱の通った貝柱は生以上に甘味が感じられる。バターとの相性もよく、フライパンに残ったバター自体がうまい。パンにもご飯にも合う。クリックで閉じます
むき身にして適宜に切り、バターでさっとソテーする。あまり火を通しすぎないのがおいしく食べるコツ。白ワインやパンに合う。好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『水産無脊椎動物Ⅱ 有用・有害種各論』(奥谷喬 恒星社厚生閣)、『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)