初めて手に入れた天然ヒオウギの刺身の味は
やはりうれしさひとしお、初めての天然ヒオウギ

神奈川県小田原市、小田原魚市場の活魚槽に、生きている天然もののヒオウギを見つけて、思わず興奮した。
過去に左右揃いの死貝はいただいている。
磯に入るのが好きで入れそうなら必ず入って、磯の生き物を探す。
ヒオウギは探しても、探しても、見つからない。まるで小船のようである。
同じように探しに探していたチリボタンを見つけたとき、次はヒオウギだ、と思って20年以上経っている。
そしてしかも、今回の個体は非常に大きく、殻長135mmもある。
たぶん、サザエ、イセエビの刺し網のものらしくナガニシと一緒に活かされていた。
見つけたからと言って手に入るとは限らない。さんの水産になんどもお願いして競っていただく。
言うなれば他力本願での採取だが、競り落とせたとき、素直に「わーい!」 と飛び上がる。
刺身にするのは貝柱とひもとでホタテガイと同じ

貝の収集家ではないので、撮影する以上に食べてみる。
ヒオウギは大きな意味(イタヤガイ科)ではホタテガイの仲間である。この仲間は本来2つあるはずの貝柱のひとつが退化して、残った片方が貝殻の中央に移動してとても大きくなっている。
足がない分(あるのかも知れないけど)、貝柱が大きいので、刺身にするのも主に貝柱である。
味は養殖ものと変わらず、おいしい

さて、ヒオウギガイの刺身は、イタヤガイ科の中でももっとも味がいいと思っている。同じ大きさなら、イタヤガイ・ヒオウギ・ツキヒガイがおっつかっつの味でホタテガイが少し劣る。
ちなみに前3種はどれがいちばんだ、と思うほど食べていない。
さて、天然もののヒオウギの刺身の味は? やはり非常においしい。
でも養殖と比べると、同じかも知れない。
ホタテガイは天然もの(地撒きも含めて)の方が貝柱の食感が豊かであるが、固着生活のヒオウギでは変わらないようだ。
とにもかくにも、うま味成分が多く、複雑なアミノ酸からくる甘味が豊かである。
あえて養殖ものと比べるとしたらひも(外套膜)の食感と、貝柱のわきの筋っぽい部分の味がいいことかも。
いずれにしてもまた刺網にかからないかな? ヒオウギちゃん。
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