SW 40mm前後になる。いわゆるカタツムリ形。表面はつやつや平滑(なめらか)でキサゴのなかでは大型になる。表面に螺溝(渦巻き状に現れる筋)がない。
ダンベイキサゴの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門腹足綱前鰓亜綱古腹足目ニシキウズガイ科Umbonium(サラサキサゴ)属外国名
学名
Umbonium giganteum (Lesson,1833)漢字・学名由来
漢字 団平喜佐古、団平細螺、団平扁螺 Danbeikisago
由来・語源 『目八譜』より。『丹敷能浦裏』には「オオシタダミ」。
「だんべい」とは船底が平たい荷を運ぶ頑丈な川船のこと。本種の裏側、へその周辺が大きく平たいからか。もしくは「だんべい」には大きいという意味があり、キサゴの中でもっとも大型であるためか。
武蔵石寿は国内でももっとも早く、貝の分類を始めたとされているので、いくつかあるキサゴ(現サラサキサゴ属)の中でも大きいということを表現したかったのかも知れない。
「きさ」とは木目のことで「ご」は貝を表す語尾ではないかと思う。
「きさご」について〈幾左古 正字は未詳 思うに幾左古は状蝸牛に似ているが、厚く堅くて彩文がある。殻の中には寄居虫(ごうな/ヤドカリ)のような虫がいる。伊勢・尾張および東海の諸浜に多くいる。土地の人は虫を取り去って洗浄し、これを玩具とする。〉『和漢三才図会』(寺島良安 正徳3年/1713 東洋文庫 平凡社)目八譜
1843(天保14)、武蔵石寿(武蔵孫左衛門)が編んだ貝の図譜のひとつ。図は服部雪斎が描く。武蔵石寿は貝類を形態的に類別。1064種を掲載する。現在使われている標準和名の多くが本書からのもの。貝類学的に非常に重要。地方名・市場名
生息域
海水生。外洋に面した砂地、水深5〜30メートルに生息。
男鹿半島、鹿島灘以南の九州南部の砂浜に棲息。生態
基本情報
比較的暖かい外洋に面した砂地などにいるきれいな巻き貝だ。キサゴ類は古くから食べられてきた巻き貝だが、現在キサゴ類でも唯一通常流通するのがダンベイキサゴである。
日本各地で古くは子供のおやつになるほどとれていたが、全国的にみると減少傾向にあるものと思われる。
キサゴ類のなかでも大型になり、味もいいことから人気が高い。
珍魚度 主に千葉県で漁獲されているもので、関東周辺、東海地方以外ではあまり見かけない。流通していない地域でも探せば手に入る。水産基本情報
選び方
原則的に生きているもので、足などを盛んに出して動いているもの。味わい
旬は春から秋。
貝殻が薄く、身(可食部)は多い。
熱を通しすぎるとやや硬くなるので要注意。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
好んで食べる地域・名物料理
ながらみ 静岡県では古くはたくさんとれて、子供のおやつとしてゆでていたほどだったという。[静岡県島田市・大井川町]加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
おはじき はじき(御弾、お弾、オハジキ)は、大言海に〈細螺ノ介殻ヲ指先ニテ弾ク、小兒ノ遊戯〉とある。古くから浜の落ちている貝殻の美しい物を拾い、指ではじいて遊んだものとある。そのもっともよく遊ばれた巻き貝が本種などキサゴ類である。
流み 現在はナガラミという地域の方が多い。漢字にすると「流み」ではないかと思う。「み」は貝を洗わす尾語。外洋の砂地にいて波打ち際で、波にもまれている様を見て、「波に流されている」ようだと感じたのだと、あくまでも想像でしかないが考えている。参考文献・協力
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)、『日本語源大辞典』(小学館)地方名・市場名 ?
ナガラミ
場所千葉県、東京都、神奈川県茅ヶ崎・藤沢、静岡県島田市・白須賀・御前崎・舞阪、愛知県豊橋市 備考ナガラミ、またナガラメと呼ぶ地域が多い。 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)