千葉県産ナガラミ

もっともきれいな食用貝


八王子総合卸売協同組合、マル幸に千葉県九十九里産ナガラミが来ていた。
標準和名はダンベイキサゴで、天保期の武蔵石壽の頃からの名である。江戸時代の博物学の徒がなぜナガラミではなくダンベイキサゴとしたのか? たぶん喜佐古(きさご)という古名に惹かれたからだと思っている。
ナガラミは「流み」で、波打ち際で波にもまれて動く様を「流れる」としたのだと考えている。
現在、流通上見かけるのはほとんどが千葉県産、希に静岡県、神奈川県、愛知県などからも来る。不思議なことに数年に一度、大量に発生したり、ほとんどいなくなったりする。相模湾の茅ヶ崎などで本種を取る市民の方をたびたび見かけているが、年々でとれる量が違うという。
四国生まれなので初めて食べたのは静岡県島田市。初めて聞取などをしたのは同県相良、吉田、御前崎、大井川などである。
だれもが口を揃えて子供の頃はおやつにしていたという。波打ち際でもとれて、自家消費していたという人もいて、産地では日常的な食用貝であることがわかる。

塩ゆでするのがいちばん


さて九十九里から来た、ナガラミをザルなどに入れてざくざくと洗う。
鍋に水・塩を入れて冷水から3〜4分ゆでて鍋止めする。
丼などにゆで汁ごと入れて出す。
あとは急がぬように、慌てぬように、くるくると身を取り出して食べるだけだ。砂を噛んでいたらゆで汁で洗って食べる。
身を取り出しやすく、食べ始めるとついつい手が伸びる、そんな味で、酒の肴というよりもおやつかな?


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