おはじき(お弾き)にして遊んだ貝
お弾きは、細螺弾の女児言葉
おはじき(御弾、お弾、オハジキ)は、大言海に〈細螺ノ介殻ヲ指先ニテ弾ク、小兒ノ遊戯〉とある。古くから浜の落ちている貝殻の美しい物を拾い、指ではじいて遊んだもの。本来日本各地で身近にある小型の貝などで遊んだものだが、今ではガラス製となっている。
ガラス製のものは、1960年代くらいまではいたって普通の玩具で、夜店やおもちゃ屋、文具店などで売られていた。実際に女児、女性が指ではじいて遊んでいたのをおぼえている。今では100円ショップなどにもあるが、実際に遊ぶために売られているのかわからない。
〈幾左古 正字は未詳 思うに幾左古は状蝸牛に似ているが、厚く堅くて彩文がある。殻の中には寄居虫(ごうな/ヤドカリ)のような虫がいる。伊勢・尾張および東海の諸浜に多くいる。土地の人は虫を取り去って洗浄し、これを玩具とする。〉『和漢三才図会』(寺島良安 正徳3年/1713 東洋文庫 平凡社)
おはじきに使われた貝類は、〈シャゴ(キサゴ)《伊予大三島北部》 スヰビウシ(ハナマルユキ)《奄美》 ネコジャ(メダカラ、オミナエシダカラ)《千葉県安房郡鋸南町岩井袋》〉『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988)
たくさんとれて小さいもので遊んでいたことがわかる。
〈この頃のこどもはどうか知らないが、年配の方なら大てい小さいころ、キサゴ(標準和名のキサゴ)のおはじきで遊んだ記憶がおありだろう〉。『原色・自然の手帳 日本の貝』(奥谷喬司、竹村嘉夫 講談社 1967) 奥谷喬司は1930年福岡県北九州市門司出身である。