
体長10センチ前後になる。細長く断面は円形に近い。側面に銀色の帯がある。
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魚貝の物知り度 |
食べ物としての重要度 |
味の評価度 |
★★★ 知っていたら通人級 |
★★ 地域的、嗜好品的なもの |
★★★★ 非常に美味 |
分類 |
顎口上綱硬骨魚綱ニシン・骨鰾下区ニシン上目ニシン目ニシン科ウルメイワシ亜科キビナゴ属
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外国名 |
Banded blue sprat
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学名 |
Spratelloides gracilis (Temminck and Schlegel)
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漢字・学名由来 |
漢字 吉備奈子、黍魚子、黍女子。
由来・語源 鹿児島では「帯」のことを「きび」というから、魚体に走る青白色の縦縞を「帯」と考えて「帯の魚」。
漢字は当て字(?)。
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地方名・市場名 [?] |
キミイワシ 場所三重県尾鷲市 ハマゴイワシ 場所静岡県沼津市・西伊豆 カナギ キッポ キビナ キミイワシ キミナゴ コオナゴ ジャムシキビナゴ シュレン スルル スルルガ ハマゴ ヤス リンチン 参考文献より。 |
生息域 |
海水魚。南日本(関東、山陰以南)。東南アジア、インド洋、紅海、東アフリカ。
外洋に面した沿岸域で群れている。 |
生態 |
入江、比較的岸近くにはいって5月〜8月に産卵する。 |
基本情報 |
伊豆半島以西でよく食べられているもの。
特に鹿児島県ではなくてはならない郷土食材。
様々な料理に活躍する。
関東などには三枚に下ろした刺身の加工品がしばしば入荷してくる。
スーパーなどでは鮮魚よりも目立つことがある。
また日本各地で干ものなど様々に加工されて名物として売られている。 |
水産基本情報 |
ニシン科の食用魚。南日本に生息するもので鹿児島県などで特に珍重する。刺身、干物、唐揚げなど。加工品としては西伊豆の干物が有名。 |
選び方 |
ー |
味わい |
旬は早春から初夏
いわゆる背の青い魚で、骨が軟らかく旨みが強い。
熱を通して骨離れがいい。 |
栄養 |
ー |
寄生虫 |
ー |
食べ方・料理法・作り方 |
調理法
刺身、煮る(塩煮、魚すき、いり焼き、きびすき、柳川風)、揚げる(天ぷら、唐揚げ)、焼く(干もの、塩焼き)
揚げる 開いて天ぷら、丸のまま唐揚げにしてもいい。独特の風味があり実にうまい。
 キビナゴのすき焼き
魚すき しょうゆ、みりん、酒、少量の砂糖で味つけした地で、丸のままのキビナゴを煮ながら食べる。  キビナゴの柳川風
キビナゴの柳川風
丸のままはすき焼きに、開いたものはドジョウのように柳川風にしてうまい。ドジョウよりもあっさりしているので万人向きだろう。  キビナゴの刺身
刺身
鰭を取り、包丁で丁寧に開いて腹骨をすいたもの。産地では必ず作られるもので鹿児島県では名物になっている。  キビナゴの干もの
丸干し 干ものは西伊豆などでは名物となっている。自宅でも簡単に作れるもので、骨が軟らかいので食べやすく、また味がいい。 |
好んで食べる地域・名物料理 |
九州、高知県など九州各地。
塩だき 塩ゆでにするだけ。ゆずや、かぼすなどで食べる。鹿児島県阿久根市、甑島など。
しょうゆだき 薄いしょうゆ味であっさりと煮たもの。鹿児島市、阿久根市、甑島。  キビナゴの唐揚げ
キビナゴの唐揚げ
とれたてのキビナゴを唐揚げにしたもの。産地では人気の高い料理。[すくも湾栄喜女性部 高知県宿毛市]  キビナゴのきんぴら
きんぴら(ちんぴら) キビナゴの素干しをから煎りして、しょうゆ、砂糖、酒などを煮つめたタレを絡ませたもの。本来は正月に食べるもので、年末にとれる小振りのキビナゴを使って作る。 |
加工品・名産品 |
干もの 静岡県西伊豆、三重県、九州、などで丸干しになる。  キビナゴの刺身
開いて、刺身に加工したもの。鹿児島県などで加工されているもので、とても便利。ショウガなどの薬味で食べてもいいし、これをいり焼き、天ぷらなどに利用してもいい。  キビナゴの干もの
がらんつ干し
「がらんつ」というのは鹿児島県阿久根市などでからからに干し上げた小魚のことをさすという。田作りなどと同様にから煎りして食べる。[マルフク川畑水産 鹿児島県阿久根市]  キビナゴのちりめん
ちりめん
稚魚をゆでて干し上げたもの。カタクチイワシ、マイワシなどと同様に「ちりめん」として美味。[河原海産 高知県宿毛市]  キビナゴの一夜干し
一夜干し
丸干しだが数尾を串に刺して干し上げている。塩加減も絶妙でうまい。産地で干ものを作らない地域はない。[宇和田海産 宮崎県延岡市]  キビナゴのけんぴ
きびなごケンピ
キビナゴを揚げて甘辛いタレにつけたもので、かりっとしている。この食感を高知の銘菓「けんぴ」に模したもの。[八重丸水産 高知県幡多郡大月町橘浦]  キビナゴの煮干し
煮干し
そのまま軽く煎って食べてもいい。やや黄色みがかったきれいなだしがとれる。素麺、うどんなどの小麦粉系のつゆに向く。  キビナゴの素干し
素干し キビナゴの汚れなどを洗い流して、強く干し上げたもの。から煎りにして正月に関東の「ごまめ」のような料理にして食べたりする。 |
釣り情報 |
ー |
歴史・ことわざ・雑学など |
■ 鹿児島県を始め九州では郷土料理に多用されている。
■ 伊豆に海水浴に訪れると海面を泳ぐキビナゴによく出合う。体長はせいぜい2〜3センチほどで銀色の縦じまが美しい。 |
参考文献・協力 |
『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『かごしま食暦』(所崎平 南日本新聞社)、『日本漁具・漁法図説』(金田禎之 成山堂)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会) |
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