
20センチ前後になる。非常に大きい。黒く細長い。持つとふくらみを感じる。貝殻は厚みがあり硬い。周縁は刻まれない。
イガイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度 |
食べ物としての重要度 |
味の評価度 |
★★★★ 知っていたら達人級 |
★★ 地域的、嗜好品的なもの |
★★★★ 非常に美味 |
分類 |
軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱イガイ目イガイ超科イガイ科イガイ亜科イガイ属
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外国名 |
Hard-shelled mussel, Korean mussel
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学名 |
Mytilus coruscus Gould,1850
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漢字・学名由来 |
漢字 胎貝
由来・語源 『目八譜』より。音は「異貝」の意味。「否貝」の意味。アサリなど普通の二枚貝とは形、軟体の模様が違っているという意味合い。漢字は女性器・胎(子宮、胎児をも現す)に似た貝という意味合い。模式産地/函館
イノカイ/三重県熊野市 |
地方名・市場名 |
地方名・市場名は長いため下部に移動しました。クリックでジャンプします。
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生息域 |
北海道から九州の潮間帯から水深20メートルの岩礁域。 |
生態 |
性転換する。
産卵期は7月から9月。
足糸(そくし)を分泌して岩などに付着(ついている)している。 |
基本情報 |
ヨーロッパからの移入種であるムールガイ(ムラサキイガイ)に押されて陰が薄い。ムールガイが毎日のように市場をにぎわせているのに比べて、イガイの入荷量はごく少ない。
そのせいか関東、関西の市場ではイガイのことも「ムールガイ」と表記されている。今では産地周辺のみで消費されることが多いように思う。
味がよく、大振りで、しかも純天然ものなのだからもっと知られてもいい。産地だけのものとされるのはもったいない。
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水産基本情報 |
市場での評価 関東ではあまり見かけない。入荷してくるとやや高値となる。
漁法 潜水漁、見突漁
主な産地 北海道、三陸、茨城県、千葉県、瀬戸内海周辺など各地 |
選び方 |
持ち重りがするもの。殻が硬く閉じているもの。硬く閉じるもの。生きのいいもの。 |
味わい |
旬は冬から夏
貝殻はやや硬めながら、薄く簡単に割れる。
表面の汚れと、岩などに付着するための足糸を抜いてから料理する。
足糸などは残る場合が多いので、いちどゆでこぼしてから改めて抜き取る。
炊き込みご飯にするときは剥いて、足糸などを除去する。
身は火を通し過ぎると著しく縮む。
濃厚な旨みがあり、いいだしが出る。 |
栄養 |
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寄生虫 |
ー |
食べ方・料理法・作り方 |
イガイの料理法/蒸す(ワイン蒸し、酒蒸し)、汁(みそ汁、トマトスープ、ブイヤベース)、炊き込みご飯、煮もの(煮つけ、いり煮)、ソテー(バター焼き)
 瀬戸貝の酒蒸し
イガイの酒蒸し これは日本酒で蒸し上げたが、白ワインを使ってもいい。水洗いして足糸を抜く。これを日本酒で蒸し上げる。殻が開くとともに身がふっくらとして甘味と独特の苦みが楽しめる。
 イガイの和え物
イガイの和えもの ゆでたイガイはキュウリもみなどに使うと美味だ。またワカメなどと酢の物にしてもうまい。 イガイのみそ汁 むき身を適宜に切り、水から煮出してみそをとく。これだけで実にうまいみそ汁になる。イガイの身はぷりっとして歯触りがいい。 |
好んで食べる地域・名物料理 |
雑煮 山口県柳井市。雑煮に入れる。  瀬戸貝の煮もの
瀬戸貝の煮もの 正月のお節料理には必ず「瀬戸貝」の煮ものを添える。酒、しょうゆ味で比較的あっさりと煮上げたらとてもおいしいものだった。正月のご馳走になる意味がわかる。[山口県大畠町(現柳井市)]  瀬戸貝うどん
瀬戸貝うどん 瀬戸貝のゆで汁とカツオ節だしでつゆを作り、「瀬戸貝」の煮ものをのせたもの。瀬戸貝のだしだけでもかなり強いうまみがある。[山口県大畠町(現柳井市)] いがい飯(瀬戸貝飯) 鳥取県青谷町夏泊。「いがい」の炊き込みご飯。同じように山口県でも同じような炊き込みご飯「瀬戸貝飯」がある。イガイだけで作ってもいいがゴボウやニンジンを一緒に炊き込んだ方がうまい。  イガイとなすの煮もの
いがいとなすの煮もの ナスをしょうゆと砂糖で煮つけ、イガイを加える。ナスの甘辛い煮つけに本種のうま味がプラス。イガイがとてもナスと好相性だ。[鳥取市、愛媛県今治市大島町] 瀬戸貝そうめん お盆に作るもの。瀬戸貝の煮汁でそうめんを食べる。玉ねぎはつきもので、うま味豊かな味わい。夏バテにいい気がするのだけど、だからこそお盆に食べるのかも。[山口県熊毛郡上関町] |
加工品・名産品 |
淡菜 生のむき身を塩ゆでにして干したもの。中国などに輸出されていた。 |
釣り情報 |
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歴史・ことわざ・雑学など |
東海婦人 その形、「女陰に似たり」(大和本草)
淡菜 干したものを淡菜という。(出雲風土記)
剥き身の行商 「いがいは、むき身を細いかずら(葛)でつないで賀露(現鳥取市)から売りにくる。 |
参考文献・協力 |
協力/山下亮介さん(愛媛県松山市) 山下博由さん(貝類研究者)、長野淳さん(三重県熊野市)
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『日本語源大辞典』(小学館)、「聞き書 鳥取の食事』(農文協)、『新版 水産動物学』(谷田専治 恒星社厚生閣)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) |
地方名・市場名 [?] |
クロクチ 場所京都府伊根町、兵庫県香住 参考大西幸子さん ヒメガイ 場所富山県朝日町宮崎 参考富山伝統的食文化研究会 エガイ 場所山形県酒田市、鶴岡市、石川県輪島、京都府伊根町 参考大西幸子さん、早瀬千春さん シイリ シイレ 場所千葉県銚子市 備考「シュウリガイ」という地方も多く千葉県銚子でのシイレ、シイリもこの変化かも知れない。 |
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