ムラサキイガイ

Scientific Name / Mytilus galloprovincialis Lamarck,1819

ムラサキイガイの形態写真

10cm SL 前後になる前後。貝殻は薄く光沢があり黒く紫かがり、硬く割るとパチリと音がする。イガイの硬質だがもろいのと対照的だ。殻長部分にある歯(開くときに支点になる)は弱く、近くにきざみはない。後背縁は広い。殻頂部は鈍い。足糸がある。[若い個体]
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10cm SL 前後になる前後。貝殻は薄く光沢があり黒く紫かがり、硬く割るとパチリと音がする。イガイの硬質だがもろいのと対照的だ。殻長部分にある歯(開くときに支点になる)は弱く、近くにきざみはない。後背縁は広い。殻頂部は鈍い。足糸がある。[若い個体]10cm SL 前後になる前後。貝殻は薄く光沢があり黒く紫かがり、硬く割るとパチリと音がする。イガイの硬質だがもろいのと対照的だ。殻長部分にある歯(開くときに支点になる)は弱く、近くにきざみはない。後背縁は広い。殻頂部は鈍い。足糸がある。10cm SL 前後になる前後。貝殻は薄く光沢があり黒く紫かがり、硬く割るとパチリと音がする。イガイの硬質だがもろいのと対照的だ。殻長部分にある歯(開くときに支点になる)は弱く、近くにきざみはない。後背縁は広い。殻頂部は鈍い。殻長部分にある歯(開くときに支点になる)は弱く、近くにきざみはない。後背縁は広い。殻頂部は鈍い。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★
      知っていたら通人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱イガイ目イガイ超科イガイ科イガイ亜科イガイ属

    外国名

    Móscioli
    言語イタリア語 場所イタリア 
    Moule méditerranéenne Moule commune
    言語フランス語 場所フランス 

    学名

    Mytilus galloprovincialis Lamarck,1819

    漢字・学名由来

    漢字 紫貽貝 Murasakiigai
    由来・語源 大正時代に船の船底などに付着して移入。最初は兵庫県で見つかる。本種のムラサキイガイは近縁種のヨーロッパイガイにつけらてたもので、和名でも学名でも混乱していた時期がある。模式産地/ヨーロッパ 別名、チレニアイガイ。
    チレニアイガイ 地中海の海域である チレニア海 (Tyrrhenian Sea)から来ている。イタリア半島の西、南はシチリア島、西はサルデーニア島、コルス島に囲まれた海域である。この海域の名のついた貝にはチレニアイモガイ、チレニアキヌタアゲマキなどがある。
    命名者について
    ■1935年、金丸但馬の命名とあるが、こちらもヨーロッパイガイ(Mytilus edulis)との混同が見られる。イガイに似ていて貝殻が紫色であるため。『日本及び周辺地域産軟体動物総目録』(肥後俊一、後藤芳央 エル貝類出版局)
    ■分類学者、西川輝昭は〈「ムラサキイガヒ」は, 平瀬與一郎(1910) が千島産の標本を M. edulis (ヨーロッパイガイ)と呉同定し, それに対 して創設 した和名である。〉としている。『ムラサキイガイかチレニアイガイか-動物和名選定のケ ーススタ ィ』 1997
    このヨーロッパイガイ(Mytilus edulis)とチレニアイガイ(本種ムラサキイガイ Mytilus galloprovincialis)との混同は長く続く。
    イガイの語源
    音は「異貝」の意味。「否貝」の意味。アサリなど普通の二枚貝とは形、軟体の色などが違っているという意味合い。漢字は女性器・胎(子宮、胎児をも現す)に似た貝という意味合い。

    地方名・市場名

    シューリ
    場所岩手県宮古市 参考荷 
    オキシウリ[沖しうり] シウリ シウリガイ
    場所青森県 参考野呂恭成さん 
    シュリガイ
    場所青森県下北周辺 参考20191217_18むつ市・大間町 
    シュウリガイ
    場所岩手県宮古市など 
    カラスガイ
    場所東京湾、相模湾など 備考釣り餌として。 

    生息域

    海水生。潮間帯、硬質底。
    国内では北海道南部から九州の潮間帯から水深10メートルに付着。
    原産地は地中海周辺、ヨーロッパ。
    全世界の温帯域。

    関東周辺での生息状況 東京湾や相模湾などでも無数に見つかる。イガイは少し深い場所にいて潜水漁などで採取しなければならないが、本種は磯などのタイドプール、岸壁、漁網などに付着しており採取は簡単である。東京湾奥部のかなり水質の悪い場所にも群生していることがある。貝毒などの問題があるので、採取すると必ずしも食べられるとは限らない。

    生態

    産卵期は冬から春。
    ■ 孵化後幼生期(プランクトン)を経て、足糸で岩などに付着する。

    基本情報

    大正時代に国内に入ってきた移入種。はじめは「Mytilus edulis(ヨーロッパイガイ)」と混同されていたが、後にフランス西岸から地中海・黒海に生息していた本種(チレニアイガイ)であると判明する。短期間で日本中に生息域を広げたのはイガイが潮下帯を好み、本種が潮間帯の上部でも生きられたからだろう。。
    ヨーロッパなどでは食用貝として重要なもので、実際に非常に美味。本来、国内にもイガイがあり、また北方系のキタノムラサキイガイなどもいる。これらも食用となっていたが、ムラサキイガイに圧倒されている。
    国内で食用としているイガイ類でももっとも流通量が多く、国内産のイガイなどはむしろ珍しくなっている。そのためにフランス語のムールが一般化して、国内産のイガイにまで適応されるように。最近ではスーパーなどにも並んでいて、手頃に買い求めることが出来る。
    フレンチやイタリアンにこだわらないで気軽にみそ汁煮でも、バター焼きなどにも利用して欲しいものだ。

    水産基本情報

    市場での評価 流通漁は多く、アサリなどとともにほとんど毎日のように入荷を見る。ただし安い。和よりもフレンチの食材。
    漁法 養殖
    産地 宮城県、愛知県

    選び方

    原則的に生きているもの。触って反応する(貝殻を閉じようとする)もの。身がふっくらしているもの。

    味わい

    旬は冬から春だと思う。
    貝殻は薄く、岩などに付着するための足糸があり、貝殻表面にもいろんな付着物がある。
    足糸は引き抜いき、表面の汚れを洗ってから利用する。
    貝らしい旨みがあり、ほどよく柔らかい。熱を通すと身が縮む。
    非常に濃厚な旨みがあり、いいだしが出る。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ムラサキイガイの料理・レシピ・食べ方/煮る(ワイン蒸し、酒蒸し)、汁(スープ)、パスタ、ご飯など

    ムールガイのワイン蒸(ムラサキイガイのワイン蒸し) 非常に濃厚な旨みがある。当然、いいだしが出るので貝のなかからしみ出る液体にアルコール分のあるワインや日本酒などを加えて蒸し煮にする。 なかでも白ワインとの相性は抜群にいい。
    1 足糸が出ている個体はできるだけ引っ張って取る。流水で洗い水分を切っておく。
    2 フライパンに多めのオリーブオイルとにんにくを入れて火をつけ香りづけする。
    3 貝とバター、ワインを加えて火を通る。仕上げに香りのあるペーパータオル芹やディルなどを振る。
    貝もおいしいが火を通すときに出た貝のエキス、バターやオリーブオイルが乳化した汁が非常にうまい。これでパンなどを食べる。


    ムールガイと生トマトのパスタ(ムラサキイガイと生トマトのパスタ) 軟体部分以上に出てくるエキスがうまい。足糸を取り、水洗いしておく。フライパンにニンニク、オリーブオイルを入れて熱しニンニク風味がついたところに入れる。貝が開いたら取りだし、生トマトを細かく切ったものを加えて塩コショウして味を調える。茹で上がったパスタを加えて和え、皿に盛り、貝を飾る。
    ムールガイのトマトスープ(ムラサキイガイのトマトスープ) トマトとの相性は抜群によい。足糸を取り、水洗いする一度ゆでて、残った足糸や付着物などを濃してしまう。身は貝殻から離しても、そのままでもよい。フライパンににんにくとオリーブオイルを熱して香りをだす。香りのある玉ねぎなどを炒め、漉したゆで汁と水煮トマトを加えて煮る。最後に身をもどすと出来上がる。溶けるチーズなどをのせて、天火で焼くとなおうまい。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    当然釣りの対象ではないが、クロダイ、イシダイなどの釣り餌として重要。

    歴史・ことわざ・雑学など

    ■ フレンチ、イタリアンの基本的な料理材料。
    ■ 原産地は地中海周辺、ヨーロッパ。
    ■ 船の船底に付着して移入してきた。
    ■ 1920年くらいから神戸港で見られていたという。その後急速に広がっていく。
    ■ 工業用の冷却水路、カキ養殖などでは邪魔者扱いされる。

    参考文献・協力

    『くらべてわかる 貝殻』(文/黒住耐二 写真/大作晃一 山と溪谷社 2121)、「ムラサキイガイの日本での初発見年と移入初期の分布について」(論文 奈良大学岩村敬二、福井市自然史博物館石田惣)、『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『食材魚貝大百科』(平凡社)、『貝』(奥谷喬司 日本出版社)、『海辺の生物』(西村三郎、山本虎夫 保育社)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)、『原色圖鑑 續世界の貝』(鹿間時夫 北隆館 1971)、『世界海産貝類大図鑑』(R.T.アボット、S.P.ダンス 監修訳波部忠重、奥谷喬司)
  • 主食材として「ムラサキイガイ」を使用したレシピ一覧

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