軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱イガイ目イガイ上科イガイ科Mytilus属
★★★★ 知っていたら達人級
学名 | Mytilus galloprovincialis Lamarck,1819 |
外国名 | 英名/Blue mussell フランス名/Moule commune |
同科同属 | 他のイガイ目の貝にはここから! |
漢字・由来 | 漢字/紫貽貝 由来・語源/イガイに似ていて貝殻が紫色であるため。 イガイの語源 音は「異貝」の意味。「否貝」の意味。アサリなど普通の二枚貝とは形、軟体の模様が違っているという意味合い。漢字は女性器・胎(子宮、胎児をも現す)に似た貝という意味合い。 |
代表的な呼び名 | ムールガイ |
地方名・市場名 |
一般には「ムールガイ」。 |
形態 | 殻長10センチ前後。貝殻は薄く光沢があり黒く紫かがる。![]() |
生息域 | 海水生。原産地は地中海周辺、ヨーロッパ。 全世界の温帯域。 国内では北海道から九州の潮間帯から水深10メートルに付着。 ![]() 関東周辺では海辺に出ると、間違いなくたくさんのムラサキイガイに出くわす。 |
生態 | 産卵期は冬から春。 ■孵化後幼生期(プランクトン)を経て、足糸で岩などに付着する。 |
基本情報 | 大正時代に国内に入ってきた移入種。 短期間で日本中に生息域を広げた。 ヨーロッパなどでは食用貝として重要なもので、実際に非常に美味。 本来、国内にもイガイがあり、また北方系のエゾイガイなどもいる。 これらも食用となっていたのが、ムラサキイガイに圧倒されている。 食用としているイガイ類でももっとも多く、国内産のイガイなどはむしろ珍しくなっている。 そのためにフランス語のムールが一般化して、国内産のイガイにまで適応されるように。 最近ではスーパーなどにも並んでいて、手頃に買い求めることが出来る。 フレンチやイタリアンにこだわらないで気軽にみそ汁煮でも、バター焼きなどにも利用して欲しいもの。 |
水産基本情報 | 市場での評価/流通漁は多く、アサリなどとともにほとんど毎日のように入荷を見る。ただし安い。和よりもフレンチの食材。 漁法/養殖 産地/宮城県、愛知県 |
ノート | ■フレンチ、イタリアンの基本的な料理材料。 ■原産地は地中海周辺、ヨーロッパ。 ■船の船底に付着して移入してきた。 ■1920年くらいから神戸港で見られていたという。その後急速に広がっていく。 ■工業用の冷却水路、カキ養殖などでは邪魔者扱いされる。 |
選び方 | 原則的に生きているもの。触って反応する(貝殻を閉じようとする)もの。身がふっくらしているもの。 |
味わい・栄養 | 旬は冬から春。 貝殻は薄く、簡単に割れる。 岩などに付着するための足糸があり、貝殻表面にもいろんな付着物がある。 足糸は引き抜いき、表面の汚れを洗ってから利用する。 貝らしい旨みがあり、ほどよく柔らかい。 熱を通すと身が縮む。 非常に濃厚な旨みがある。 いいだしが出る。 |
切り身、下ろした状態の図鑑 | |
調理法 | ワイン蒸し、鍋(ブイヤベース)、パエリア、グラタン、パスタ、汁(みそ汁、塩味) |
食べ方 | ![]() ワイン蒸し◆非常に濃厚な旨みがある。当然、いいだしが出るので貝のなかからしみ出る液体にアルコール分のあるワインや日本酒などを加えて蒸し煮にする。 なかでも白ワインとの相性は抜群にいい。仕上げにオリーブオイルを使ったり、ローズマリー、ディル、ニンニクなどで香り付けするとグレードアップする。 ![]() スープ◆トマトとの相性は抜群によい。一度ゆでて、残った足糸や付着物などを濃してしまう。身は貝殻から離しても、そのままでもよい。漉したゆで汁と水煮トマトで野菜を煮る。最後に身をもどすと出来上がる。 パスタ◆ワイン蒸しにパスタを加えるだけで、なかなか見栄えのする料理になる。 グラタン◆牛乳、生クリームとの相性も抜群によい。ホワイトソースを作り茹で汁と合わせて、身、チーズなどをのせてグラタンとしてもよい。 汁◆安いものなので、気軽にみそ汁にしてもよい。この場合、一度ゆでて、漉し、足糸や汚れを取り去る。ゆで汁に味噌を溶き、身を戻すとよい。 ■すしネタとしては寿司図鑑へ! |
好んで食べる地域 | |
加工品・名産品 | |
釣り | 当然釣りの対象ではないが、クロダイ、イシダイなどの釣り餌として重要。 |
参考文献 | 「ムラサキイガイの日本での初発見年と移入初期の分布について」(論文 奈良大学岩村敬二、福井市自然史博物館石田惣)、『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『食材魚貝大百科』(平凡社)、『貝』(奥谷喬司 日本出版社)、『海辺の生物』(西村三郎、山本虎夫 保育社)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) |