53cm SL 前後になる。全体の色合いは褐色でも明るい。鱗に大小があり、小紋を思わせる文様がある。上から見ると鰓蓋から分にかけて直線的で正三角形に見える、目と目は離れてて目は小さい。
ヨシノゴチの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目コチ科コチ属外国名
学名
Platycephalus sp.1漢字・学名由来
漢字 よしの鯒 Yosinogoti
由来・語源/漢字は不明。山口県宇部市の呼び名「よしの」からだと思う。
コチについてコチは古くは1種類 (Platycephalus indicus (Linnaeus, 1758)) とされていた。
漢字
■ 「鯒」は敵に遭うと飛び跳ねるように逃げる。この様を「踊る」として文字を作った。
■ 「牛尾魚」とも書く。牛の尾の形なので。
由来・語源
■ 大言海に“笏(こつ)”に似ているため。“笏(こつ)”は衣冠束帯(貴族の正装)のとき右手にもっていた細長い木の板。字音が“骨”に似ているため「しゃく」と読ませるようになった。
■ 「こち」は「こつ」で頭を表す方言。
■ 「こち」は「骨」で骨っぽいことから。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。水深25-40mの泥地・酢・混じりの泥地。
[山口県下関市豊浦町川棚]、神奈川県三崎、[兵庫県淡路島]、瀬戸内海、[広島県、山口県宇部市]、大阪湾、熊本県八代海、九州南西岸、東シナ海西部。
渤海、黄海・仁川蘇萊浦市場、台湾。生態
産卵期はコチよりも早い春だと思う。3月、4月上旬の瀬戸内海のものは、マゴチの生殖巣は膨らんでおらず、ヨシノゴチの雌は抱卵していて、かなり卵が大きくなっていた。
胃袋には比較的泥っぽい海底にいるテッポウエビ、アカハゼが入っていた。基本情報
瀬戸内海や八代海などの内湾にいるのだと思う。瀬戸内海でのコチの呼び名に本種らしきものが存在する。マゴチと一緒に入荷してくることからも生息域は重なるようだ。
生息域もまだわかっていない魚で、多くの地域でコチと区別されないで利用されている可能性がある。
関東では数回流通上で見ているが、コチとして販売していた。
値段は産地では安く、関東ではやや安い。水産基本情報
選び方
ー味わい
旬は冬から春。マゴチよりも産卵期が早いために旬も早いのだと思う。
鱗は細かく取りやすい。皮は厚みがあって強い。骨はあまり硬くない。血合い骨は非常に抜きにくい。
コチ同様にくせのない白身。やや水っぽくて旨みが少ない。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ヨシノゴチの料理法・調理法・レシピ/煮る(煮つけ、湯引き)、汁(潮汁、かけ飯)、揚げる(フライ、唐揚げ)、ソテー(ムニエル)、生食(刺身、肝たたき)、焼く(塩焼き)クリックで閉じます
ヨシノゴチの刺身 活を活け締めにし、送ってもらったものを刺身にしてみた。三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。血合い骨は抜きにくい。やや薄めに切りつける。マゴチと比べると味が落ちるとされているが、春が旬で、マゴチの盛漁期である晩春や初夏に同時にとれると、その時、本種の味が落ちているためかも知れない。3月の固体は身に張りがあり、うま味も豊かであった。肝も絶品なので生のままでも、湯通ししてもいいので添えるといい。
ヨシノゴチの肝たたき(肝あえ) 三枚に下ろして皮を引き、細かく切る。肝は湯引き、もしくは生でたたいておく。これを和える。旬なのか肝が膨らんで実に味がいい。これを旬の身に和え混だもの。酒の肴として抜群にいい。クリックで閉じますヨシノゴチの鍋韓国風 水洗いして適当に切り、湯通しして冷水に落とす。残った鱗やぬめりを流し、水をきっておく。これを煮干しだしに酒・塩のつゆで煮ながら食べる。野菜は好みで、韓国のあまり辛くない唐辛子で辛味をつける。淡泊な味わいなのでちりよりもだしを使った鍋がいい。クリックで閉じますヨシノゴチの煮つけ 頭部が大きいので、頭部を煮物や焼き物に使うことが多い。頭部の鱗をタワシなどでできるだけていねいに取る。湯通しして冷水に落として残った鱗とぬめりを流す。これを酒・醤油・水で煮る。頬(隠れ肉)など思った以上に食べられる部分が多く、とてもおいしい。クリックで閉じますヨシノゴチの真子煮つけ 春の固体は抱卵しているものが多い。真子をていねいに取りだし、適当に切る。鍋に酒・砂糖・醤油・水を煮立てておき、そこに落としていく。未熟なものの方がおいしい。卵粒が細かく煮てもパサつかず、ほくほくと甘味がある。クリックで閉じますヨシノゴチの皮湯引き コチ科の皮は厚みがあり、熱を通すとゼラチン質の部分がぷるんとした独特の食感になる。皮は塩水のなかで数秒湯通しする。冷水に取り、縦方向にせん切りにしていく。柑橘類と醤油、酢みそなどで食べるとおいしい。クリックで閉じますヨシノゴチのフライ 三枚に下ろして体の後半部分の皮を引く。身側から包丁目を入れて塩コショウ、小麦粉をまぶし、衣(卵・小麦粉・水)をからめパン粉をつけてあげる。かまぼこ形をしているので小麦粉、パン粉をつけながら軽く押しつぶして平らにして揚げるといい。クリックで閉じますヨシノゴチのムニエル 淡泊でいやみのない白身で、熱を通してもあまり硬く締まらない。ムニエルやフライに向いているとみた。三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。塩コショウして少し置き、小麦粉をまぶして多めの油でソテー、仕上げにバター(マーガリン)で風味づけする。クリックで閉じますヨシノゴチの韓国風焼き魚 尾に近い方を三枚に下ろし、塩コショウする。小麦粉をまぶしてごま油でソテーする。焼き上がったらコチュジャン酢もしくはシラチャーソースで食べる。淡泊な味わいの魚にパンチをきかす。ビールに合う。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ーこちのかけめし(鯒のかけ飯) 岡山県の郷土料理だが、瀬戸内海なのでマゴチと本種が同じように使われていたと思われる。ゆでて、魚とゆで汁を分ける。ゆで汁は濾しておく。身を骨から外し、ほぐして、ゴボウ、ニンジンなどと油で炒め、ゆで汁を加えて酒・醤油などで味つけする。これをご飯にかけて食べる。クリックで閉じます関連コラム(郷土料理)
ゆでるタイプの「かけ飯」
岡山中央市場や書籍、また旧児島湾周辺で教わったものだ。要するに白身魚を使った、汁かけ飯である。いろいろ取材した限りでは岡山市、玉野市などでの家庭料理であるようだ・・・ 続きを開く加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/魚かつ(山口県宇部市)・青山鮮魚(山口県宇部市)
『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)