タカサゴ

Scientific Name / Pterocaesio digramma (Bleeker, 1864)

代表的な呼び名グルクン

タカサゴの形態写真

30cm前後になる。独特の色合いに黄土色の明瞭な縦筋がある。尾鰭の先端部に暗色(黒い)斑紋がある。ニセタカサゴと非常に似ている。背上部から2本目の筋は側線よりも下を通る。
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30cm前後になる。独特の色合いに黄土色の明瞭な縦筋がある。尾鰭の先端部に暗色(黒い)斑紋がある。ニセタカサゴと非常に似ている。背上部から2本目の筋は側線よりも下を通る。尾鰭の先端部に暗色(黒い)斑紋がある。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目タカサゴ科クマササハナムロ属

    外国名

    学名

    Pterocaesio digramma (Bleeker, 1864)

    漢字・学名由来

    漢字/高砂 Takasago
    由来・語源/「たかさご」という言語は東京、小田原での呼び名と田中茂穂はしているが、相模湾北部に当時いたかは不明。“たか”は漁村用語で岩礁のこと、“さご”は「細魚」、「小魚」のこと。「岩礁帯にすむ小魚」の意味という説もある。ただ時代的に見て高砂(台湾)の方がふさわしいと思う。
    ■小種名の「diagramma」は標準和名のニセタカサゴ(ニセンタカサゴ)に使われたことがある。
    ■また古く タカサゴを「Caesio chrysozonus Cuvier et Valenciennes(chrysozonusは現ミナミタカサゴの小種名)」 としてしまったために、 「Caesio Lacepède, 1801」がタカサゴ属になる。のちにタカサゴ、ニセタカサゴなどは「Pterocaesio Bleeker, 1875(クマササハナムロ属)」であることがわかる。それ以後、タカサゴ、ニセタカサゴはタカサゴ属ではなくクマササハナムロ属となる。
    Bleeker
    Pieter Bleeker(ピーター・ブリーカー 1819-1878 オランダ)。医師、魚類学者。『東インドオランダ領の魚類図鑑』(Atlas Ichtyologique des Indes Orientales Netherlandaises 1862-1878)。軍医としてバタビア(現インドネシアジャカルタ)に赴任。インド洋、西太平洋の魚を採取。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。岩礁域、サンゴ礁域。
    長崎県福江・男女群島、有明海、宮崎県、鹿児島県南さつま市笠沙・太平洋沿岸、屋久島、琉球列島。
    少ない 相模湾、駿河湾和歌山県、四国の太平洋沿岸。若狭湾〜山口県の日本海沿岸。
    幼魚 三浦半島西岸。
    台湾、西太平洋、オーストラリア沿岸。

    生態

    沿岸のサンゴ礁、岩礁域
    雑食性。
    産卵期は5月から7月。

    基本情報

    沖縄ではグルクン、県魚ともなっている。
    ただし沖縄での「グルクン」はクマザサハナムロなどとの総称。
    沖縄では練り製品となったり、唐揚げにしたり、安くておいしい魚といったところ。
    他の地域ではあまり珍重しない。

    水産基本情報

    市場での評価 関東ではいまだ見ていない。
    漁法 追い込み漁、刺し網
    産地 沖縄県、鹿児島県、宮崎県
    タカサゴ タカサゴとニセタカサゴは非常に似ている。同定の決め手は側線が黄土色の縦縞よりも上にあること。
    ニセタカサゴ タカサゴとニセタカサゴは非常に似ている。同定の決め手は側線が黄土色の縦縞に重なるようにあること。。

    選び方

    味わい

    旬は不明
    鱗は薄く小さく取りやすい。皮はやや厚みがある。骨は中骨はやや硬い。
    透明感のある白身で血合いはあまりきれいではない。熱を通すと適度に締まる。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    タカサゴ(グルクン)の料理法・調理法・食べ方/揚げる(唐揚げ)、焼く(塩焼き)、生食(焼霜造り)
    タカサゴの唐揚げ
    タカサゴの唐揚げ 定番料理の唐揚げ。沖縄に行くと食堂などで「ぐるくんの唐揚げ定食」などというものがある。水分が多いのでじっくり揚げるとさくさくと余すところなく食べられる。皮に独特の風味があり、捨てがたい味わい。

    タカサゴの塩焼きタカサゴの塩焼き 水洗いして適宜に切れ目を入れて振り塩。脂がのっている時季なら1時間以上寝かせたい。これをじっくりと焼き上げる。脂がのっているものは中から脂が染み出してきて表面が揚げたように香ばしくなる。非常においしい。
    タカサゴの刺身タカサゴの刺身 三枚に下ろして、血合いがあまりきれいではないので、皮を生かすといい。皮はやや厚みがあり硬いので霜皮造りよりも焼霜造りに向く。皮目に独特の風味があり身に甘味があっていい味をしている。

    好んで食べる地域・名物料理

    関連コラム(郷土料理)

    記事のサムネイル写真奄美大島魚味噌(いゅうみすぅ)
    えず飢餓に脅かされてきた奄美大島で、貴重な栄養源となったのがソテツ(裸子植物門ソテツ綱ソテツ科ソテツ属)だ。利用するのは雄株の幹(ソテツは雌雄異株)と実(なり・・・ 続きを開く

    加工品・名産品

    沖縄では蒲鉾原料。
    奄美大島「いゆうみす(魚味噌)」 タカサゴやスズメダイ、イトヨしなどの白身魚をうきりで焼いて、ほぐし、「なりみす(ソテツの実を麹にしてつくった味噌)」に混ぜ合わせる。『聞書き 沖縄の食事』
    タカサゴの開き干し
    宮崎県で見つけたもの。他の地域でも作られていそうだが、定番的なものではない。非常に脂がのっており、身質もよい。非常に美味。[スーパーとむら 宮崎県日南市]

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/岩田昭人さん(三重県尾鷲市)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、「聞き書 沖縄の食事』(農文協)

    地方名・市場名

    アカジュー
    場所沖縄県 
    フゥーイゥズ
    場所沖縄県伊良部島 サイズ / 時期大型 参考『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03) 
    カブクヮヤーグルクン
    場所沖縄県八重山 
    カブクヮヤー カブクヮヤー
    場所沖縄県南城市知念漁協 
    ハラグルクン
    場所沖縄県宮古島 
    カブクヮーグルクン
    場所沖縄県沖縄本島 
    サネーラー
    場所沖縄県石垣島 サイズ / 時期幼魚 参考河村雄太さん 
    アカウルメ[赤潤目]
    場所鹿児島県奄美大島 
    ハーウルメ
    場所鹿児島県奄美大島 参考奄美漁業協同組合 
    タカサゴ
    場所鹿児島県種子島 参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 
    イソムロ
    場所高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協 
    グルクン
    場所鹿児島県種子島、沖縄 参考聞取、『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 
  • 主食材として「タカサゴ」を使用したレシピ一覧

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