SL 30cm前後になる。吻棘はあまり長くない。第1背鰭に黒い斑紋があり、体側上部に黒いごま状に斑紋が散らばる。
ソコホウボウの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★
美味
分類
硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目ホウボウ科ソコホウボウ属外国名
学名
Pterygotrigla hemisticta (Temminck and Schlegel,1843)漢字・学名由来
漢字 底魴鮄、底竹麦魚
由来・語源 田中茂穂の命名。深海にいるホウボウという意味合い。
ホウボウは
形〈方頭(カナガシラ)〉に似て〈這う魚〉の意味。〈這う魚 はうさかな〉がホウボウに転訛した。
鰾(浮き袋)の振動による鳴き声が「ほうぼう」と聞こえるため。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。基本的に深海性。水深10メートルから500メートルの砂泥地。
鹿島灘〜土佐湾の太平洋沿岸、九州北岸(長崎県沖のどこか)、五島列島福江島、東シナ海大陸棚縁辺〜斜面。
朝鮮半島南岸・済州島、台湾、中国からベトナムの南シナ海沿岸をへてジャワ島、タイランド湾、フィリピン諸島、アラフラ海、ティモール海。生態
ー基本情報
深場の漁が行われている漁港で水揚げされている。量的に少なく、まとまらないので流通範囲は限られる。底曳き網や遠い漁場で揚がるので鮮度のいい物は稀。あまり高く売れないので漁場で廃棄されている可能性がある。本種はおいしい魚であることは間違いない。もっと認知度を上げたい。
血合いがあまりキレイじゃない上に野締めが多いのであまり評価はよくないが、総菜魚(おかずになる魚)とすると非常に優れている。お弁当やおかずに最適。水産基本情報
市場での評価 関東には稀に入荷してくる。安い。
漁法 底曳き網
産地 鹿児島県、静岡県、三重県、愛知県選び方
触って張りのあるもの。色合いが鮮やかなもの。味わい
旬は秋から春。梅雨から夏は卵巣が膨らみ、もしくは産卵後で味が落ちる。
本項の評価は産卵間近のものを中心にしている。旬のものは高評価できる可能性が高い。
鱗はほとんど気にならない。皮は厚みがあって強い。
透明感のある赤みがかった白身。熱を通すとやや硬く締まる。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ソコホウボウの料理法・調理法・食べ方/揚げる(フライ、唐揚げ)、ソテー(ムニエル)、煮る(煮つけ)、汁(潮汁、みそ汁)、生食(刺身、カルパッチョ)クリックで閉じます
ソコホウボウのフライ 手に入れた6月の固体は生殖巣が大きく、脂ののりはイマイチであった。ただし上質の白身であることは変わりない。フライにしてみると、表面のさくっとしかパン粉の香ばしさに、なかはしっとりとジューシー。非常にウマシ。
フィッシュ&ちぃっぷす 水洗いして三枚に下ろして腹骨・血合い骨をとる。適当に切り、塩コショウして小麦粉をまぶす。フィッシュ&ティップス用の衣(卵、小麦粉、ビール、酢を合わせたもの)をつけて揚げたもの。ジャガイモも一緒に揚げると簡単なランチになる。クリックで閉じますソコホウボウのムニエル 水洗いして三枚に下ろし、腹鰭・血合い骨を取る。皮を引き、塩コショウして小麦粉をまぶしてじっくりと多めの油でソテー。仕上げにマーガリン(バターでも)で風味づけする。産卵期間近で少々水っぽいのが、ムニエルにはよかったようだ。非常にうまい。クリックで閉じます
ソコホウボウの煮つけ やや水分の多い身質ではあるが、下ろしてきれいというか汚れない魚である。しかも比較的安い。いちばん向いている食べ方は煮つけだと思う。ここでは酒・砂糖・しょうゆでこってり甘辛な味つけにしたが、あっさり酒・しょうゆ味でもいい。身が硬く締まらず甘味があってとてもおいしい。総菜魚としては合格だ。クリックで閉じます
ソコホウボウのみそ汁 6月の長崎県産は卵巣も精巣も大きく膨らんでおり、脂が感じられなかった。この卵巣、精巣、肝なども一緒に入れたみそ汁は非常に味がよかった。液体を使って熱を通すと身が締まりすぎないのもいい。クリックで閉じます
ソコホウボウの潮汁 歩留まりがわるいものの、頭部の骨格やあらから実にいいだしが出る。またあらにつく筋肉も実に美味しい。みそ汁もいいが塩味がいい。塩味で煮込んだ潮汁。こしょうとあさつきを散らしてみた。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/田中水産(鹿児島県鹿児島市)、 魚喰民族 石田拓治さん(長崎県長崎市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本西部及び南部魚類図譜(グラバー図譜)』(倉場富三郎 長崎大学附属図書館 web版)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)