ムシクイアイゴ

Scientific Name / Siganus vermiculatus (Valenciennes, 1835)

ムシクイアイゴの形態写真

35cm SL 前後になる。体高があり体側背の方に虫食い状の線状斑紋がある。尾鰭は浅い湾入。背鰭に欠刻がない。[32cm SL・1.24kg]
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35cm SL 前後になる。体高があり体側背の方に虫食い状の線状斑紋がある。尾鰭は浅い湾入。背鰭に欠刻がない。[32cm SL・1.24kg]35cm SL 前後になる。体高があり体側背の方に虫食い状の線状斑紋がある。尾鰭は浅い湾入。背鰭に欠刻がない。[32cm SL・1.24kg]
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ニザダイ亜目アイゴ科アイゴ属

    外国名

    Vermiculated spinefoot
    言語英語 
    臭肚 象魚 蠕紋籃子魚
    言語中国語 場所台湾 

    学名

    Siganus vermiculatus (Valenciennes, 1835)

    漢字・学名由来

    漢字/虫食藍子 虫食阿乙呉 Mushikuiaigo
    由来・語源/
    〈軆は褐色で,頭部及び腹部を除いた軆全部に蠕蟲状の靑色線で模様づけられてゐる. 尾鰭全軆に褐色點がある。〔臺灣,Philippine,東印度諸島……〕 ムシクヒアヰゴ(新稍) Siganus vermiculatus VALENSIENNES〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
    当時は台湾での個体をもとに和名をつけたのではないかと考える。

    虫食状 体側背の部分の特徴的な線形の斑紋を虫食い跡に見立てたもの。1938年の魚類検索では蠕蟲状(蠕虫、すなわち線形動物や環形動物)の形の線形斑紋としているが、和名は虫食いの跡を思わせるので「虫食藍子」としている。
    Valenciennes
    アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。

    地方名・市場名

    カーエー
    場所沖縄県石垣島 備考石垣島ではめったに出合うことのない珍しい魚なので、本種だけの呼び名はない。アイゴ類の総称として。 参考河村雄太さん 

    生息域

    海水魚。サンゴ礁、内湾、汽水域。
    屋久島、沖縄島、八重山諸島、[屋久島]。
    台湾、タイランド湾、東インド洋〜西太平洋(アンダマン海〜ニューギニア島東端、マリアナ諸島を除く)

    生態

    稚魚はマングローブに生息。
    成魚になるとサンゴ礁や沿岸域に移動する。
    藻食性。
    産卵期は春だと思われる。

    基本情報

    琉球列島で水揚げされる魚ではあるが、希に取れる程度の魚である。アイゴ類は沖縄県では盛んに食べられているが、本種は個体数が少ないようで、めったに水揚げがなく、ほとんど知られていない。ゴマアイゴなど大型のアイゴ類は高値がつくので高級魚だと考えている。
    珍魚度 ほとんど珍魚といっていいだろう。産地である沖縄で探しても手に入れるのは難しい。

    水産基本情報

    市場での評価/主に沖縄県で食用として水揚げがあるが非常に少ない。大型になるので高値がつくはずだ。
    漁法/刺突量
    産地/沖縄県

    選び方

    触って張りのあるもの。退色していないもの。

    味わい

    旬は不明。
    鱗は細かく取りにくい。皮は厚みがあって強い。骨はあまり硬くない。
    血合いの赤い白身で熱を通しても硬く締まらない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ムシクイアイゴの料理・レシピ・食べ方/揚げる(素揚げ)、煮る(まーす煮、煮つけ)、汁(みそ汁)、焼く(塩焼き)、生食(刺身)

    ムシクイアイゴの素揚げ アイゴ類のを含むニザダイ亜目の定番料理が素揚げである。皮がしっかりしていて上質の身だから作ることができる。
    水洗いして三枚に下ろす。この場合鱗はついていてもいい。水分をよくきり、やや低めの温度でじっくりと揚げる。
    揚げると皮はかりっと香ばしく、身はふっくらと柔らかくなって中は豊潤となる。口に入れると口中にうま味と香ばしさが広がって無類の味になる。

    ムシクイアイゴのまーす煮 沖縄の郷土料理、「カーエーのまーす煮」である。水洗いしてここでは二枚に下ろす。骨つきの方を強めの塩水で終始強火で水分を飛ばしながら煮上げる。皮がゼラチン質になり、身は適度に締まる。嫌みのない味わいながら、後口に甘味が感じられる。
    ムシクイアイゴの煮つけ 頭部を梨子割りにする。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、酒・砂糖・醤油・水を沸かした中にいれて煮上げる。味つけはお好みで。煮ると分厚い皮がゼラチン質になり、ぷるんとした食感と甘味うま味が楽しめる。身は適度にしまり、これもまたうまい。
    ムシクイアイゴのみそ汁 沖縄では郷土料理のひとつでもある魚汁(みそ汁)である。あらなどを集めて置く、食べやすい大きさに切り、湯通しして冷水に落として表面のぬめりと残った鱗を取る。水分をよくきり、水から煮出してみそをとく。みそを溶いてから少し煮てもいい。実にうま味豊かでご飯のおかずになる。
    ムシクイアイゴの塩焼き 頭部を梨子割りにする。振り塩をして1時間以上寝かせる。これをじっくり焼き上げる。頭部の骨は複雑なので手で解体しながら食べる。この骨に着いた身がとても味わい深い。残った骨に湯をそそいで骨湯にしても美味。
    ムシクイアイゴのバター焼き 沖縄県のバター焼きは皮付きの魚のムニエルと考えるといいかも。水洗いして三枚に下ろす。切り身にして塩コショウする。小麦粉をまぶして(本種の場合まぶさなくてポワレにしてもいい)じっくりソテーする。仕上げにバターで風味づけする。醤油をたらすとご飯にも合う。
    ムシクイアイゴの刺身 水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨と取り、皮を引いて平造りにする。血合いが美しく透明感がある。見た目は非常に美しい。ただ今ひとつ味がない。産卵期で味の落ちている時季なのかも知れない。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/河村雄太さん(沖縄県)
    『日本の海水魚』(岡村収、尼岡邦夫編・監修 山と渓谷社)、『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 2013年02月26日)
  • 主食材として「ムシクイアイゴ」を使用したレシピ一覧

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