35cm SL 前後になる。背部が赤く、全体的にも赤みがかる。側へんして細長い。背鰭前、頭部の正中線は黒い。眼後下縁に銀白色の三角形の斑紋がある。[33cm SL・重687g]
アカアマダイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
![35cm SL 前後になる。背部が赤く、全体的にも赤みがかる。側へんして細長い。背鰭前、頭部の正中線は黒い。眼後下縁に銀白色の三角形の斑紋がある。[33cm SL・重687g]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/6/Thumb630/akaamadai_1.jpg)
![35cm SL 前後になる。背部が赤く、全体的にも赤みがかる。側へんして細長い。背鰭前、頭部の正中線は黒い。眼後下縁に銀白色の三角形の斑紋がある。[20cm SL・重100g]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/6/Thumb630/akaamadai000.jpg)


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珍魚度・珍しさ
★★
少し努力すれば手に入る魚貝の物知り度
★★★
知っていたら通人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アマダイ科アマダイ属外国名
学名
Branchiostegus japonicus (Houttuyn, 1782)漢字・学名由来
漢字 赤尼鯛、赤甘鯛 Standard Japanese name / Akaamadai
由来・語源 古くはアカアマダヒ。アマダイは東京都での呼び名。本州、九州、四国で揚がるアマダイ科に3種あり、区別するために色合いから「赤」をつけたもの。
アマダイ3種について 〈アマダイは岸上(鎌吉)博士によると三種を區別することが出来て、アカ、キアマ、シラカワの三通りとなる。……〉。岸上鎌吉は3種もしくは2種であると考えていたが、田中茂穂は1種だと考えていた。『魚と人生』(田中茂穂 楽浪書院 1934)
魚鑑 〈あまだい 一名くづな駿河にておきつだい 雲州(いずも)に小びるという〉。
和漢三才図会 〈甘鯛(あまだい) 方頭魚(くずな)〉。
〈あまだい(くずな) 東京市場〉。『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)
アマダイの語源甘鯛 甘鯛とあるように肉に甘みがあるから。練り製品などにすると甘味があるため。
尼鯛 この魚の横顔が頬被をした尼僧に似ているから。Houttuyn
Maarten Houttuyn (Martinus Houttuijn マールテン・ホッタイン 1720-1798年)。オランダの医師、博物学者。リンネの継承者。ドクダミなどを記載。地方名・市場名
生息域
海水魚。水深20〜156メートル。
茨城県、千葉県外房〜九州南岸の太平洋沿岸。青森県津軽海峡〜九州西岸の日本海・東シナ海、瀬戸内海、[山口県宇部市]、東シナ海大陸棚。
渤海、黄海、済州島、浙江省、台湾北部。生態
■ 産卵期は秋から冬。
■ 水深30メートルから140メートルの砂泥地に生息。
■ 砂泥地の小山になっているあたりに巣穴を掘り、エサを待ち受けている。集団で巣穴を作る。
■ 縄張りを形成する。
■ 雄の方がやや大きい。
■ 1歳で16〜19センチ、2歳で22〜23センチ、3歳で25〜26センチ、4歳で30センチあまりになる。雄で最大60センチ弱、雌で45センチ前後。基本情報
本州以南のやや沖合い深い海域の砂地などに普通。底曳き網や釣りで揚がる。国内の沿岸でとれるアマダイ3種であるシロアマダイ、アカアマダイ、キアマダイの中で、もっとも水揚げ量が多い。生息する水深もこの順番で浅く。値段もこの順番で高いが、その差は近年縮まってきている。
アカアマダイは底曳き網で揚がるものは干ものなどにも加工されるが、釣り物でていねいに仕立てられたものは魚類中もっとも高価だ。需要を満たすために中国などからの輸入されていたこともある。
古くは主に関西以西で食べられていて、関東ではあまり食べられていなかった。水分が多く柔らかい身なので、取り扱う場合熟練を要するからだ。これが関西料理の進出とともに関東でも高級魚となっている。
主に割烹料理店などで焼きものなどになる。
特に京料理(京都)には欠かせないもので、産地である若狭から一塩されてきたものを非常に珍重していた。
現在でもアカアマダイ(ぐじ)をもっとも大量に取り扱うのは京都ではないかと思われる。
珍魚度 珍しい魚ではない。ただし関東ではスーパーなど一般的な小売店では売られていない。むしろ西日本の方が小売店で手に入れやすい。また非常に高価だがお金さえ出せば手に入る。水産基本情報
市場での評価 西日本で高く、東日本で安い魚であった。それが現在では関東でももっとも値段の高い魚のひとつ。キロ当たり10000円以上と言うことも珍しくない。京都などで普通に見られる一塩ものの「ぐじ」は関東にはほとんど来ない。
漁法 釣り、底曳網
主な産地 長崎県、島根県、山口県、京都府、福井県、石川県日本海に多い。選び方
触って硬いもの。鮮やかな赤で目が澄んでいるもの。味わい
旬は秋から春。
小さくても料理法によってはおいしい。
鱗と骨が硬く身は柔らかい。鱗は鮮度の非常にいいものは引けるが、普通は引くのでは亡く包丁ですき引きする。中骨や血合い骨などは非常に硬い。
白身だが水分が多く脆弱、ほどよく繊維質であるが手荒に扱うと崩れやすい。水分を抜いて料理するのが基本。
骨の硬さと身の脆弱さが下ろすのを難しくしている。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ぐじ(アカアマダイ)の料理法・レシピ・食べ方/焼く(若狭焼き、干もの)、蒸す(酒蒸し、かぶら蒸)、煮る(ぐじかぶら、煮つけ)、揚げる(天ぷら、フライ、唐揚げ)、生食(昆布締め、刺身、セビチェ、タルタル)、汁(潮汁、みそ汁、だし)、生食(鮮度のいいもの)クリックで閉じますぐじのかぶら蒸し
ぐじのかぶら蒸し(アカアマダイのかぶら蒸し) 材料は聖護院かぶら(天王寺かぶらなどでも)とアカアマダイのみ。薬味にわさびを使う以外余計なものは無用。まずはタワシなどでヌメリを取る。これを背開きにして鰓、内臓などを除き、ていねいに血液などを洗い流す。振り塩をして一晩寝かす。骨のない方を適宜に切り、熱湯をかけて鱗などをこそげ落とす。よく水分を切り、蒸し碗に入れて、泡立てた卵白と下ろして水分を絞った聖護院蕪を合わせたものを乗せて蒸す。蒸し上がったら酒塩八方(カツオ節出し、酒、塩)をくずでとろみをつけたものをはり、わさびをのせる。
ぐじの酒蒸し(アカアマダイの酒蒸し) 水洗いして鱗を引き。開いて振り塩にする。これを合わせて一晩寝かせる。3枚に下ろして小骨を抜き、適宜に切り器に昆布をしき、アカアマダイの切り身をのせて蒸す。皮目の甘味が豊かで独特の香りがある。しっとりとした身が味わい深い。クリックで閉じますぐじの酒蒸し
ぐじの若狭焼き(アカアマダイの若狭焼き) タワシなどでぬめりを取る。鱗つきのまま開いて、水分をよく拭き取り、振り塩をする。開いたのをとじて一晩寝かせる。この一塩のアマダイを皮目に甘口の日本酒を塗りながら焼く。鱗は引いてもいい。頭部の皮はやたらにうまい。クリックで閉じますぐじの若狭焼き
ぐじの塩焼き(アカアマダイの塩焼き) 若狭焼きは熟練を要すので、一般的には塩焼きがいちばん作りやすい。切り身にして振り塩をする1時間以上寝かせる。一日以上寝かせるとより味わい深い。焼き上げると皮に甘味のある香りがする。身はふんわりと柔らかく、口の中でほとよくほどけていく。非常においしい。クリックで閉じます
ぐじの開き干し(アカアマダイの一夜干し) 小振りなものは開き干しにするといい。鱗を引き水洗い。水分をよくきり立て塩にするか、振り塩をしてビニールなどで密封する。これを冷蔵庫、寒い時期には屋外などで半日干す。じっくり焼き上げて食べる。身に呈味性分からくる甘味が豊かで、皮の独特の香り、風味が魅力的だ。クリックで閉じますぐじの天ぷら(アカアマダイの天ぷら) 皮のうまさを楽しむものである。三枚に下ろし腹骨・血合い骨を取る。弱めの振り塩をして少し置き、表面に出て来た水分を拭き取る。適当に切り、小麦粉をまぶして、衣をつけて高温で短時間揚げる。揚げたての香りが実にいい。皮目の香ばしさに甘さと風味、身の豊潤なところなど文字に出来ないくらいにうまい。クリックで閉じますアカアマダイのフライ 原則的に皮付きで揚げるべきだと思う。ただし皮なしでも十二分にうまい。三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。塩コショウして小麦粉をまぶす。衣をからめてパン粉をつけてやや高めの温度で揚げる。口に近づけただけでうまいと思うほど香りがいい。身は脆弱だけど豊潤で甘味が強い。クリックで閉じますぐじの姿揚げ(アカアマダイの姿揚げ) 手のひらサイズの小振りのは開いてじっくり二度揚げすると中骨、頭部の一部の骨以外は香ばしく食べられる。身に甘みがある。小振りのを背開きにして振り塩。少し置き、水分をよく切る。片栗粉をまぶしてじっくりと二度揚げする。クリックで閉じますぐじの姿揚げ
ぐじの焼きだし汁(アカアマダイの焼きだし汁 一汐にした頭部や尾に近い部分を使う。じっくり香ばしく焼く。冷まして昆布と一緒にだしを取る。昆布を途中で鳥だし、このまま酒・塩で味つけする。これを碗によそおい、くずしながら食べる。クリックで閉じますぐじの潮汁(アカアマダイの潮汁) 鮮魚でも一塩ものでもいい。料理に使った後のあらを集めて湯通しする。冷水に落としてぬめりや血液、残った鱗などを流す。水分をよく切り、昆布だしで煮だして酒、塩で味つけする。クリックで閉じますぐじの潮汁
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ぐしの刺身(アカアマダイの刺身) 島根県大田市産の高鮮度のものを刺身にしたもの。驚くべきうまさで食感もいい。アカアマダイは水分が多く、時間が経つと脆弱になる。刺身はよほど鮮度がよくないとつくれない。身に強い甘味と強いうま味がありとても美味。
ぐじの皮霜造り(アカアマダイの皮霜造り) 鮮度のいいのが手に入ったら、鱗を引き水洗い。3枚に下ろして、腹骨、血合い骨を取る。脱水シートかペーパータオルにつつんで水分を抜き、皮目に湯をかけて氷水に取り、水分をよくきり刺身状に切る。皮目の甘味と香りを生かしたいときに。クリックで閉じますぐじの皮霜造り
ぐじの昆布締め(アカアマダイの昆布締め) 水洗いして皮を引く。すき引きしたものは皮付きのままでもいい。適宜に切りつけてもどした昆布の上にのせてしめる。昆布が余分な水分を抜き、適度な食感を生み出す。アカアマダイ自体の甘味に昆布のうま味が相乗効果で非常にうまい。クリックで閉じますぐじの昆布締め
ぐじのタルタル風(アカアマダイのタルタル風) 生を使ってもいいし、一塩ものを使ってもいい。3枚に下ろして、細かく切る。塩でしめて、軽く水洗いして水分を切る。これを酸味のあるキウイ、うま味のあるトマト、ジェノベーゼソース、オリーブオイルと合わせてタルタル風に。クリックで閉じますぐじのタルタル風
ぐじの煮つけ(アカアマダイの煮つけ) 小振りのは鱗を引き水洗い、鍋に入る大きさに切る。これを酒、砂糖、しょうゆで甘辛く煮る。酒、塩でさっぱりと煮てもおいしい。甘辛く煮るとご飯にとても合う。クリックで閉じますぐじの煮つけ
ぐじかぶら(アカアマダイと聖護院蕪のたき合わせ) 水洗いして鱗をすき引きにする。開いて振り塩をして一晩寝かせる。じっくりと香ばしく焼き上げて聖護院蕪と煮る。薄味で煮て美味。頭部などを焼いてかぶらを煮る。また単純にしょうゆ味で煮ても美味しい。クリックで閉じますぐじかぶら
好んで食べる地域・名物料理
京都、大阪では「グジ」と呼び珍重する。ぐじの若狭焼き 若狭湾から山陰で作られている一汐ものの「ぐじ(アカアマダイ)」を酒を塗りながら焼き上げたもの。身は練り絹のように滑らかで味わい深い。京都府では鮮魚の「ぐじ」よりも「一塩もの」を好むようだ。クリックで閉じますぐじの若狭焼き
関連コラム(郷土料理)
冷や汁(焼く) 愛媛のさつま
愛媛県南西部の「さつま」はマダイやマアジなど新鮮な魚を焼き、麦みそと一緒にする。 これをすり鉢の内側に均等に塗り、七輪の上に逆さにしてあぶり焼く。 ここに水、も・・・ 続きを開く加工品・名産品
釣り情報
相模湾でアマダイが釣りの対象魚となったのは1980年代の後半からではないか? 近年は釣りとしても人気が高い。それまでは冬期にマダイのコマセ釣りの外道のひとつであった。釣り方はコマセを使わない片天秤仕掛けの2本針、餌はオキアミ。歴史・ことわざ・雑学など
アマダイ3種 国内で主に食用となるアマダイには3種あり、「シロアマダイ(白)、アカアマダイ(赤)、キアマダイ(黄)」。昔はシロアマダイが最高値、最上位にあるとされたが、近年はアカアマダイと変わらない。ともに非常に高価。またキアマダイは珍しく、一定の評価はないが、これもまた高級魚。古くからの3種の順位づけは間違い。
関東のアカアマダイ 神奈川県相模湾では1980年くらいまではアカアマダイの価値をほとんど知らなかった。あまり利用していなかった。1980年代関東ではあまり一般的ではなかった。利用していなかった。1975年の『魚河岸の魚』にほとんどみそ漬けか開き干しに加工されるとある。
関西 関西では古くから高級魚。京料理などには欠くことの出来ないもの。
南大阪の年取魚 「古くから魚屋が樽で塩漬けしたグレを12月25日より販売、今でも売る。ただし、泉州でも正月の祝い鯛は様々で、例えば貝塚市では甘鯛、堺市では焼き真鯛を用いる。」[大阪府泉佐野市]『南大阪の伝統食』(小林宏編著 大阪公立大学協同出版会)
若狭ぐじ 若狭(福井県)名物で「若狭ぐじ」という。
興津鯛 静岡県静岡市(旧清水市)興津の名産とされる。それで「興津鯛(オキツダイ)」。徳川家康に、おきつという奥女中が献上し、賞味されたから「おきつ鯛」。
夏目漱石と甘鯛 明治43(1910)年静岡県大仁、菊屋旅館にて、〈甘鯛の頭付にて粥二椀〉『漱石日記』(夏目漱石 平岡敏夫編 岩波文庫 1899-1916 明治32-大正5)関連コラム(歴史)
参考文献・協力
協力/下野雅美さん(京都府宮津市)、金栄丸(和歌山市雑賀崎 金栄丸では魚の販売もやっています)
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)、『南大阪の伝統食』(小林宏編著 大阪公立大学協同出版会)