エゾイソアイナメ
Scientific Name / Physiculus maximowiczi (Herzenstein, 1896)

30センチ前後になる。下あごに髭(ひげ)がある。細長く尾鰭(おびれ)が黄色い。東京湾以南の深いところにいるチゴダラとは外見では区別がつかない。
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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)
味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区正新骨下区側棘鰭上目タラ目チゴダラ科チゴダラ属
外国名
学名
Physiculus maximowiczi (Herzenstein, 1896)
漢字・学名由来
チゴダラの新参異名となったので以後、チゴダラに情報を移します
漢字 蝦夷磯鮎並
由来 磯鮎並(イソアイナメ)という魚がいるのだが、それよりも北方にいるという意味。ただイソアイナメ自体由来は不明。調べているところ。
北海道函館が基産地。
地方名・市場名 ?
生息域
チゴダラの新参異名となったので以後、チゴダラに情報を移します
海水魚。浅海域。
北海道、岩手県〜三重県の太平洋沿岸、青森県津軽海峡〜山口県の日本海沿岸。台湾南部。
生態
基本情報
チゴダラの新参異名となったので以後、チゴダラに情報を移します。分類上エゾイソアイナメは存在しません。本ページは過去のものとして残しています。
標準和名よりも「どんこ」の方が知られている。三陸を中心に好まれるもの。北海道、青森県、岩手県、宮城県、福島県では本種専門の漁がある。本体よりも肝が尊ばれる。焼きもの、汁物にしても肝をいかに使うかが大切となこと。どんこ汁(味噌仕立て)、さかさ焼き、なます、たたき(みそ、山椒などと肝、身をたたく)など、名物料理も多い。
肝(肝臓) なんと言っても肝が大切。あっさりして淡泊な身でもの足りなく感じさせるのを、補って余りある。
水産基本情報
市場での評価 北海道、東北太平洋側からときにまとまって入荷してくる。鮮度がよいものは安値ではあるが安定しているが、底曳き網などでとったものは非常に安い。釣りものは非常に良質で、もっと注目を浴びてもよい。
漁法 底曳き網、延縄
主な産地(市場で見た範囲で) 福島県、北海道、宮城県、岩手県
選び方
丸みがあって、触って張りのあるもの。特に腹が柔らかいものはだめ。また古くなると色合いがあせてくる。
味わい
旬は秋から冬
鮮度が落ちやすい。
鱗は柔らかく、取りやすい。鱗引きよりも金たわし、もしくはレンジブラシのようなものがやりやすい。骨は柔らかい。
白身で水分が多く、あまり繊維を感じないため、鮮度が落ちているとボロボロする。まったく身にも皮にもクセがない。
肝は寒い時期大きく、味が非常によい。熱を通すといいだしが出て、身はしまる。
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透明感のある白身だ。
栄養
危険性など
食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
チゴダラの新参異名となったので以後、チゴダラに情報を移します
汁(みそ汁、潮汁)、煮つけ、焼きもの(干もの)、さんが焼、たたき(みそたたき、なめろう)、そぼろ、昆布締め
昆布締め 刺身で味わいと、旨みが薄くもの足りない。生で食べるものではないともいえそう。ただしクセのない白身で、水分が多い割りに透明感があってきれいなので、昆布でしめてみた。三枚に下ろし皮と血合い骨を抜き、振り塩し、少し置いて、昆布にはさみ半日おく。
好んで食べる地域・名物料理
さかさ焼き 三陸岩手、青森などで作られるもの。鰓を抜いただけの「どんこ」を頭を下にして、いろりなどで焼いたもの。内臓を取り、肝とみそを合わせて、焼いても美味。
どんこなます 焼いた「どんこ」をほぐして、塩でしんなりさせた大根と合わせて三杯酢で和えたもの。
どんこそぼろ 福島県相馬市原釜で教えてもらったもの。三枚に下ろした身と肝をフライパンなどで煎りつけてそぼろ状にしたもの。本来は身だけを使い、みそと砂糖で味つけして、そぼろに炒るという。だが、ここに肝を加えるとまた味が一塩よくなる。
どんこたたき 生の肝(肝臓)と切り落とした刺身を和えたもの。クセのない甘味とうま味豊かな肝とあっさりと淡泊な身が相まって実においしい。産地でなければ食べられないもの。[寿々喜 岩手県久慈市]
どんこ汁 みそ仕立ての「どんこ汁」。しょうゆ仕立てとは別種のおいしさがあって、朝食にはもってこい。個人的にはご飯にかけてもうまいと思う。[六大工 岩手県上閉伊郡大槌町]
加工品・名産品
丸干し 内臓を取り去った状態で干し上げたもの。塩味。『山英(岩手県宮古市)』など
丸干しどんこ 肝もそのままに干し上げたもの。塩分濃度がほどよく、肝のうまさが堪能できる。産地ならではの名品だと思う。[山英 岩手県宮古市]
釣り情報
短冊エサの胴つき仕掛け、オキアミエサにもくる外道のひとつ。本種を狙う釣りはない。
歴史・ことわざ・雑学など
恵比須講 宮城県気仙沼市では「恵比須講(えびすこう)」にドンコを神棚に吊し、それをドンコ汁にして食べる習慣がある。
参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『ごっつぉうさんー伝えたい宮城の郷土食』(みやぎの食を伝える会編著 河北新報出版センター 2005)、『魚あらかると』(小野寺英彦 三陸新報社 2001)、『聞書き 青森の食事』(農文協)、『聞書き 岩手の食事』(農文協)、『聞書き 宮城の食事』(農文協)
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