キタノクロダラ

Scientific Name / Lepidion schmidti Svetovidov, 1936

キタノクロダラの形態写真

86cm SL 前後になる。細長く頭部はやや大きい。第1背鰭軟条は長く伸びる。腹鰭は糸状ではなく皮膜があり普通。臀鰭軟条は少なく39-42(写真は39)。鋤骨歯帯はブーメラン型(ソコクロダラは円形)。[相模湾 73cm SL・3.5kg]
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86cm SL 前後になる。細長く頭部はやや大きい。第1背鰭軟条は長く伸びる。腹鰭は糸状ではなく皮膜があり普通。臀鰭軟条は少なく39-42(写真は39)。鋤骨歯帯はブーメラン型(ソコクロダラは円形)。[相模湾 73cm SL・3.5kg]鋤骨歯帯はブーメラン型(ソコクロダラは円形)。臀鰭軟条は少なく39-42(写真は39)。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★★
      正に珍魚・激レア生物
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区正新骨下区側棘鰭上目タラ目チゴダラ科ソコクロダラ属

    外国名

    学名

    Lepidion schmidti Svetovidov, 1936

    漢字・学名由来

    漢字/北の黒鱈 Standard Japanese name / Kitanokurodara
    由来・語源/ソコクロダラ属で、ソコクロダラよりも北に生息域を持つため。

    地方名・市場名

    イトヒキダラ
    場所神奈川県小田原市 参考聞取 

    生息域

    海水魚。水深315-2000mの低層。
    青森県八戸沖、東北地方太平洋側、房総半島、相模湾、駿河湾、三重県浜島。
    千島列島北部、コマンドルスキー諸島、光孝海山(天皇海山)、オーストラリア南東岸・南岸。

    生態

    基本情報

    三重県熊野灘以北の太平洋の深海に生息している深海魚で、チゴダラ科ではソコクロダラとともに最大級である。ソコクロダラに非常に似ていて、外見では見分けにくい。生息域も重なる海域があるが、本種の生息域は北に広がる。
    刺網や釣りなどでごく希に水揚げがある。ほぼ珍魚なので揚がっても地方名はない。
    産地でも知らず知らずの内に消費されているはずである。
    珍魚度 食用だが、非常に深い海底にいて、希に釣りや刺網にかかるくらいでしかない。探してもめったに手に入らない。

    水産基本情報

    市場での評価/非常に希にしかとれないので流通しない。
    漁法/釣り
    産地/神奈川県

    選び方

    触って張りのあるもの。

    味わい

    旬は不明である。寒い時季の個体は身に張りがあって美味であった。
    鱗は細かく取れやすい。皮は厚みがあるものの熱には弱い。骨は柔らかい。
    身に水分が多く、筋繊維が脆弱、血合いの赤い白身である。熱を通しても柔らかく硬く締まらない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    キタノクロダラの料理・レシピ・食べ方/生食(昆布締め、塩締め酢洗い、刺身)、煮る(鍋、煮つけ、マッシュドポテト)、焼く(西京焼き、塩焼き)、ソテー(ムニエル)、揚げる(フライ、フリッター)
    キタノクロダラの昆布締め 食べた感じはタラ(マダラ)に似ている。問題は筋繊維が弱くマダラ以上に脆弱なことである。単に刺身にしても嫌みはないけれど味もない。これを塩と昆布で補った。適度にしまって食感が生まれ、昆布の味がほどよく感じられる。
    水洗いして三枚に下ろす。皮を引き、冊にして振り塩をする。水分が出て来たら拭き取り、もどした昆布に巻き込んで半日以上寝かせる。これを刺身状に切る。

    キタノクロダラの塩〆酢洗い 基本的に塩味と上品で嫌みのない白身の融合である。塩がうま味を引き出し、酢で洗うことでより身を引き締める。後から微かに来る酸味がとても好ましい。
    水洗いし三枚に下ろす。強めの振り塩をして寝かせ、出て来た水分を拭き取る。刺身状に切り、生酢で洗って数分置き、酢を拭き取る。
    キタノクロダラの刺身 鮮度がよいと食感があり、刺身も悪くない。ただしマダラに似て筋肉には取り立てて味がない。嫌みがないともいえるだろう。
    水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取る。皮を引いて刺身状に切る。身割れしやすいので気をつけるべきだ。
    キタノクロダラの鍋 今回は昆布だしだけの鍋である。いいだしが出て、つゆがとてもおいしい。皮や身にも味がある。問題は身質でマダラのような筋繊維に欠けている。身よりもむしろ皮周辺がおいしい。また肝も美味である。
    水洗いしてあらを集めて置く、昆布締めなどにしたときの身も。湯通しして冷水に落としてぬめりや残った鱗を流す。水分をよくきり、昆布だし・酒・塩で煮ながら食べる。
    キタノクロダラの煮つけ(兜煮) 身質はマダラに似て筋繊維が弱いので脆弱だ。ただ頭部の身はしっかりしており煮つけると適当にしまる。もちろん肝の味もいい。
    水洗いして頭部を梨子割りにする。湯通しして冷水に落としてぬめりや鱗を流す。水分をよくきり酒・砂糖・醤油・水で甘辛く煮つける。
    ブランダードキタノクロダラのマッシュドポテト じゃがいもの味と本種のおいしさが合体する。筋繊維が少ない分、じゃがいもとよりたやすく一体化する。煮たときのハーブブイヨンの味、牛乳の滑らかさがありとても味わい深い。
    三枚に下ろし骨のない身の部分を使う。大きさはまちまちでいい。じゃがいもと一緒にブイヨンでつぶしながら煮る。牛乳を加え煮て、コショウを振る。もの足りなかったら塩を足す。
    キタノクロダラの西京焼き 単純に塩焼きにすると少しもの足りない。これを白みそ(西京味噌)で補う。くせのない、少し水っぽい白身が調味料の力で締まり、味わい深くなる。
    水洗いして三枚に下ろして切り身にする。振り塩をして少し置き、出て来た水分を拭き取る。これを西京味噌・みりんの地に1日程度漬け込み、焦がさないように焼き上げる。
    キタノクロダラの塩焼き かまの部分を焼き上げたものだが、意外に食べでがある。皮目に好ましい香りがあり、身に微かな甘味がある。強く焼き上げると身の脆弱さも補える。
    水洗いしてかまに振り塩をする。1時間以上寝かせて、出て来た水分を拭き取り、こんがりと焼き上げる。
    キタノクロダラのムニエル 長時間ソテーして香ばしくしてあるので、表面は少し硬いくらい。身は豊潤で、バターとの相性も悪くはない。身質の脆弱さからほぐれ感がいいとは思えないのが残念。
    皮つきの切り身に塩コショウする。小麦粉をまぶして、多めの油でじっくりソテー、仕上げにバターで風味づけ為る。
    キタノクロダラのフライ 身はしっとりしているものの、脆弱でほぐれ感があまりよくない。ただし油で揚げた分、身のうま味は増している気がする。しっかり揚げた方がうまい。
    切り身の皮を引く。塩コショウし小麦粉をまぶし、溶き卵にくぐらせてパン粉をつけて揚げる。
    キタノクロダラのフリッター 骨のない部分なので気軽に軽く食べられる。表面の衣は薄いがさくっとした食感があり、中は柔らかい。少々水っぽい身だが、マヨネーズなど好みのものを漬けながら食べるとおいしい。
    骨のない身の部分を集めて置く。塩をして少し置き水分を拭き取る。コショウをして小麦粉をまぶし、ビールで錬った衣をつけて揚げる。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/さんの水産(神奈川県小田原 ■https://www.sanno-suisan.com/)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)
  • 主食材として「キタノクロダラ」を使用したレシピ一覧

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