チゴダラ

Scientific Name / Physiculus japonicus Hilgendorf, 1879

代表的な呼び名ドンコ

チゴダラの形態写真

40cm SL 前後。腹鰭は普通で6〜7軟条で皮膜がある。吻は丸く下あごに1本の髭(ひげ)がある。頭部の無鱗域は狭く、吻端近くまで鱗がある。第1背鰭は糸状に伸びない。発光器(写真の黒く丸いもの)は腹鰭起底を結ぶ線よりも後ろにある。[鹿児島県甑島産 32cm SL・364g]
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40cm SL 前後。腹鰭は普通で6〜7軟条で皮膜がある。吻は丸く下あごに1本の髭(ひげ)がある。頭部の無鱗域は狭く、吻端近くまで鱗がある。第1背鰭は糸状に伸びない。発光器(写真の黒く丸いもの)は腹鰭起底を結ぶ線よりも後ろにある。[鹿児島県甑島産 32cm SL・364g]40cm SL 前後。腹鰭は普通で6〜7軟条で皮膜がある。吻は丸く下あごに1本の髭(ひげ)がある。頭部の無鱗域は狭く、吻端近くまで鱗がある。第1背鰭は糸状に伸びない。発光器(写真の黒く丸いもの)は腹鰭起底を結ぶ線よりも後ろにある。[神奈川県小田原。21cm SL・97g]40cm SL 前後。腹鰭は普通で6〜7軟条で皮膜がある。吻は丸く下あごに1本の髭(ひげ)がある。頭部の無鱗域は狭く、吻端近くまで鱗がある。第1背鰭は糸状に伸びない。発光器(写真の黒く丸いもの)は腹鰭起底を結ぶ線よりも後ろにある。[気仙沼で沖どんこと呼ばれている個体。47cm SL・1.384kg]40cm SL 前後。腹鰭は普通で6〜7軟条で皮膜がある。吻は丸く下あごに1本の髭(ひげ)がある。頭部の無鱗域は狭く、吻端近くまで鱗がある。第1背鰭は糸状に伸びない。発光器(写真の黒く丸いもの)は腹鰭起底を結ぶ線よりも後ろにある。[静岡県沼津産]40cm SL 前後。腹鰭は普通で6〜7軟条で皮膜がある。吻は丸く下あごに1本の髭(ひげ)がある。頭部の無鱗域は狭く、吻端近くまで鱗がある。第1背鰭は糸状に伸びない。発光器(写真の黒く丸いもの)は腹鰭起底を結ぶ線よりも後ろにある。[北海道函館]頭部の無鱗域は狭く、吻端近くまで鱗がある。発光器(写真の黒く丸いもの)は腹鰭起底を結ぶ線よりも後ろにある。口は袋状に伸びる。下顎に1本の髭がある。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区正新骨下区側棘鰭上目タラ目チゴダラ科チゴダラ属

    外国名

    学名

    Physiculus japonicus Hilgendorf, 1879

    漢字・学名由来

    漢字 稚児鱈 Standard Japanese name / Chigodara
    由来・語源 タラ似て小さいという意味合い(?)。神奈川県横浜が基産地。
    〈タラ科チゴダラ屬チゴダラ Physiculus japonicus HILGENDORF〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)。この1938年時点ではタラ科イソアイナメ属にエゾイソアイナメ(Lotella maximowiczi/現チゴダラのシノニム)がある。
    エゾイソアイナメ Physiculus maximowiczi (Herzenstein, 1896) は2020年にチゴダラの新参和名となる。種として消滅。
    Hilgendorf
    Franz Martin Hilgendorf(フランツ・ヒルゲンドルフ 1839-1904 ドイツ)。動物学者。お雇い外国人教師として来日。第一大学区医学校で日本で初めて博物学の講義を行う。魚類の採取を積極的に行い。魚河岸や江ノ島に通い。函館など日本各地を旅行した。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深3- 650m。
    北海道オホーツク海沿岸・北海道〜高知県柏島の太平洋沿岸、北海道〜山口県の日本海沿岸、[鹿児島県甑島周辺]。
    〜パラオ海嶺、済州島、台湾。

    生態

    産卵期は下ろした経験からすると春だと思う。
    エサは小魚、甲殻類など。

    基本情報

    古くはエゾイソアイナメ、チゴダラの2種とされたが、近年チゴダラ1種となり、エゾイソアイナメは新参和名で無効となる。ここでは東京湾以南のチゴダラと以北のエゾイソアイナメとして別々に集めていた情報を合体させている。
    北海道〜九州南岸までの日本各地に生息しているもので、取り分け三陸などで珍重されている。相模湾以南は深場の底曳き網などで揚がるが非常に目立たない存在でしかない。
    三陸などではスーパーでも普通に見られるが、関東などでは希に売られていることがある程度でしかない。
    珍魚度 珍しい魚ではない。太平洋側に多く、また西日本では深場の底曳き網などで揚がるが広く流通することはない。東北太平洋側では一般的なので、探さなくてはならない。

    水産基本情報

    市場での評価 北海道三陸からの入荷が多い。
    漁法 底曳き網
    産地 静岡県、愛知県、三重県、高知県

    選び方

    丸みがあって太っているもの。触って張りのあるもの。

    味わい

    旬は晩秋から冬。
    鱗は細かく取りやすい。皮は厚みがあるが弱い。骨は柔らかい。
    透明感のある白身だが繊維質に欠け、水分が多いので熱を通すと¥とボロボロして食べづらい。刺身にしても水っぽい。
    それをおぎなって余りあるのが肝。そのため、いろいろ料理法が編み出されている。醤油よりも味噌の方が相性がいい。

    本種の価値は肝にある。旬である晩秋から冬にかけて肝が膨らむ。基本的に肝を使わない「どんこ料理」はない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    チゴダラ(どんこ)の料理・レシピ・食べ方/煮る(鍋、煮つけ)、汁(みそ汁、潮汁)、生食(みそたたき、刺身)、焼く(さんが焼、丸干し)、揚げる(フライ)、ソテー(ムニエル)
    どんこ料理
    チゴダラの肝みそ鍋 肝とみそを合わせて叩いた、肝みそ味で煮ながら食べる濃厚な鍋である。口中では濃厚なのに後口は重くないのが不思議。ご飯にとても合う。
    水洗いして肝と胃袋は取り分けておく。身は適当に切る。肝はさっとゆでて氷水に落とし粗熱を取る。肝とみそ、ねぎを合わせて叩く(肝みそ)。鍋に昆布だしを入れ身やあらを入れ、肝みそを乗せて火をつける。肝みそを少しずつ溶きながら食べる。[気仙沼産沖どんこ]

    チゴダラの肝みそ鍋の後鍋 あらかた食べ終わったら、残っている骨をていねいにより分ける。ここに追いネギをし、卵を割り入れる。火をつけて卵をくずしながら煮て、好みの火の通り方になったら火をとめる。
    チゴダラの肝みそ鍋後鍋 後鍋は酒の肴にもなるし、ご飯のおかずにもなる。いずれにしても絶品というか箸が止まらぬ状況に陥ること間違いなし。
    どんこ料理チゴダラの煮つけ 三陸でも駿河湾周辺でも煮つけは本種の定番的な料理である。寒くなると真子や白子を持っているので一緒に煮付けるといい。水洗いして肝、真子、白子などを分けておく。身は適当に切り。湯通しして冷水に取り、残った鱗やのめりを流す。水分をよくきり、酒・砂糖・醤油・水で肝や真子などと一緒に煮る。煮ても軟らかく、身離れがいい。肝が入ると味がなお一層深くなる。[気仙沼産沖どんこ]
    どんこ料理チゴダラの潮汁 昆布だしに塩・酒であっさりした味わいの汁を仕立ててみた。水洗いして肝は取り分けておく。適当に切りゆどうしして氷水に落としてぬめり、残った鱗などを流す。水分をよくきり、昆布だしの中で煮だして、七部通り火が通ったら肝を加え、酒・塩で味つけする。
    どんこ料理チゴダラのみそたたき(なめろう) 鮮度のいいものだけで作りたい。三枚に下ろして皮を引き、身を細かく切る。肝はゆでて冷まし、身に混ぜ、みそ、ねぎを合わせて切れる包丁で細かくたたく。
    どんこ料理チゴダラの肝たたき 岩手県、宮城県などで一般的に作られているものでもある。鮮度のいいものを水洗いする。肝は取り分けておく。腹骨と血合い骨を取り、皮を引き、やや小振りに切る。肝は原則的に湯通ししているが、産地では生で使うこともあるようだ。肝と身、ネギなどを粗く叩く。淡泊な身に肝のとろっとして甘味のある味が相まってとても味わい深い。
    どんこ料理
    チゴダラの刺身 大型個体で作りたい。水洗いして肝は取り分けておく。三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。皮を引き、刺身状に切る。肝は軽く湯通しして粗熱を取り、添える。
    小型個体は血合いが少し赤く透明な身をしているが、沖合いにいる大型個体は血合いが弱く、身が白濁している。浅場にいる個体とまったく違う身質をしている。刺身として普通に食べてもうま味豊かでとても味がいい。肝を溶かし込んで食べるとまさにご馳走である。[気仙沼産沖どんこ]

    どんこ料理チゴダラのフライ タラ目であるためか身質はスケトウダラに近い。当然、フライ材料としては最上級といえそうである。水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。皮を引いて塩コショウする。小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせパン粉をつけてやや高温で揚げる。揚げると身がふんわりして甘味がある。
    どんこ料理チゴダラの竜田揚げ 小型を水洗いする。適当に切り、水分をよくきる。酒・みりん・醤油の地に1時間以上つけ込んで、再度水分をきり、片栗粉をまぶして二度揚げする。表面はさくっと香ばしく、身は適度にしまり上品な味わいになる。
    どんこ料理チゴダラのさんが焼き 千葉県の郷土料理で「なめろう」をまとめて焼き上げたもの。フライパンでソテーするとより簡単。焼くとふっくらとふくらんで中が豊潤で甘味がある。
    どんこ料理チゴダラのムニエル 大型を三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、塩コショウする。小麦粉をまぶして多めの油でソテーする。仕上げにバターで風味づけ。皮は香ばしく、身はスケトウダラに似て上品で食べやすい。[気仙沼産沖どんこ]

    好んで食べる地域・名物料理

    さかさ焼き 三陸、岩手、宮城などで作られるもの。内臓をずぼ抜きした「どんこ」の腹にみそと肝を入れて、いろりなどで頭を下に(逆さにして)焼いたもの。

    どんこ肝あえ(みそたたき) 水揚げされたばかりのドンコ(チゴダラ)の身と肝を一緒にしてたたいたもの。みそを加えてたたいたものもある。岩手県、宮城県の比較的食堂・居酒屋などでよくみかけるもの。チゴダラの淡泊な身にうま味豊かな肝が加わって非常にうまい。[横田魚店/宮城県気仙沼市]
    どんこ刺身 チゴダラの刺身も三陸、岩手県、宮城県では普通に見られる。非常に淡泊な味わいなので、肝醤油で食べるなど共通している。三陸の「どんこ好き」がよくわかる。[横田魚店/宮城県気仙沼市]
    どんこ汁 みそ仕立ての「どんこ汁」。しょうゆ仕立てとは別種のおいしさがあって、朝食にはもってこい。個人的にはご飯にかけてもうまいと思う。[六大工 岩手県上閉伊郡大槌町]
    どんこそぼろ 福島県相馬市原釜で教えてもらったもの。三枚に下ろした身と肝をフライパンなどで煎りつけてそぼろ状にしたもの。本来は身だけを使い、みそと砂糖で味つけして、そぼろに炒るという。だが、ここに肝を加えるとまた味が一塩よくなる。[福島県相馬市原釜]

    加工品・名産品


    丸干しどんこ 本州三陸地方でで作られているもの。肝もそのままに干し上げたもの。塩分濃度がほどよく、肝のうまさが堪能できる。産地ならではの名品だと思う。[山英 岩手県宮古市]

    釣り情報

    駿河湾、相模湾では短冊エサの胴つき仕掛けの深場釣りの外道。

    歴史・ことわざ・雑学など



    えびす講に食べる 宮城県気仙沼市では旧暦の10月20日(新暦の11月半ば)、旧暦の11月20日(12月中旬)にえびす講を行う。このときに食べるのが「どんこ(チゴダラ)」料理である。ちょうど厳寒の季節を控えて「どんこ」に脂がのり、肝が膨らむ時期でもある。えびす(恵比寿・夷)は七福神の1神であり、商売繁盛、五穀豊穣、大漁をもたらすとされる。[宮城県気仙沼]

    参考文献・協力

    協力/魚介類・濱喜(宮城県気仙沼市海の市)、岩崎薫さん
    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)

    地方名・市場名

    ノドクサリ
    場所千葉県銚子市 参考文献 
    ウミナマズ
    場所和歌山県田辺 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    イタチ
    場所新潟県出雲崎、静岡県沼津市戸田 参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場、文献 
    スケソウ タラ
    場所神奈川県小田原 参考文献 
    シンギョボ グゾボ グホゾ
    場所福島県小名浜 参考文献 
    グホウ
    場所茨城県水戸 参考文献 
    テダル
    場所茨城県水戸周辺 参考文献 
    ノドクロ ノドグロ
    場所静岡県沼津市 参考聞取 
    オキナマズ ナマズ
    場所高知 参考文献 
    ドンコ[鈍子]
    場所岩手県花巻市、宮城県気仙沼市・花巻市、福島県全域、千葉県銚子 
    ヒゲダラ
    場所神奈川県三崎 参考『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年) 
    ヒゼンダイ
    場所鹿児島 参考文献 
  • 主食材として「チゴダラ」を使用したレシピ一覧

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