クログチ

Scientific Name / Atrobucca nibe (Jordan and Thompson, 1911)

クログチの形態写真

45cm SL前後になる。全体に黒ずんでいて、シログチよりもほっそりして頭部が小さい。胸鰭が長く第一背鰭よりも後方にまで届き、鰭の上部が黒い。口の中が黒い。下顎の感覚管孔は1対。[39cm SL・919g]
クログチの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
45cm SL前後になる。全体に黒ずんでいて、シログチよりもほっそりして頭部が小さい。胸鰭が長く第一背鰭よりも後方にまで届き、鰭の上部が黒い。口の中が黒い。下顎の感覚管孔は1対。[39cm SL・919g]45cm SL前後になる。全体に黒ずんでいて、シログチよりもほっそりして頭部が小さい。胸鰭が長く第一背鰭よりも後方にまで届き、鰭の上部が黒い。口の中が黒い。下顎の感覚管孔は1対。[39cm SL・919g]下顎の感覚管孔は1対。口の中が黒い。尾鰭の後縁は三角形を描く。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ニベ科クログチ属

    外国名

    黑喉 黑加網
    言語中国語 場所台湾 

    学名

    Atrobucca nibe (Jordan and Thompson, 1911)

    漢字・学名由来

    漢字 黒愚痴 Standard Japanese name / Kuroguchi
    由来・語源 グチの仲間(ニベ科)で口の中が黒く、胸鰭なども黒いため。
    〈ニベ科ニベ属クログチ〉『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
    Jordan
    David Starr Jordan〈デイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン) 1851-1931 アメリカ〉。魚類学者。日本の魚類学の創始者とされる田中茂穂とスナイダーとの共著『日本魚類目録』を出版。

    地方名・市場名

    チョウセングチ
    場所長崎県長崎市場 参考文献 
    カマガリ
    場所大分県臼杵市 備考あまりにもおいしいので、「釜ごとご飯を借りるほど美味しい魚」という意味。 
    クイチ
    場所宮崎県 
    ニベ
    場所徳島県海部郡海陽町『宍喰漁業協同組合』 
    メイゴ
    場所静岡県静岡市 
    ハマニベ
    場所別名 参考文献より。 

    生息域

    海水魚。40m-200m。
    相模湾〜土佐湾の太平洋沿岸、東シナ海大陸棚域、少ないが瀬戸内海。
    朝鮮半島南岸、済州島、黄海、中国東シナ海・南シナ海沿岸、台湾、フィリピン諸島、スラウェシ縞北東端、アラフラ海、南アフリカ東岸。

    生態

    基本情報

    相模湾以南に生息するが、漁業的には駿河湾以南である。
    東日本よりも西日本でよく食べられている。東海以西、九州などに行くとよく見かける。身は刺身に皮は別立てで売られているのを見たことがあるが、この皮がうまそうで旅の最中であるのがうらめしく感じたことがある。大分県臼杵市などでは「釜借」といって珍重する。
    関東では静岡県以西に多く馴染みがない。味のほどを知る市場人が少ないので安い。
    珍魚度 全国流通することはあまりない。産地周辺で食べられている。消費地ではかなりがんばって探す必要がある。

    水産基本情報

    市場での評価 入荷量は少なく、関東ではあまり目にしない。あまり高くない。
    漁法 釣り、定置網、巻き網
    主な産地

    選び方

    触って硬く、銀色で黒くくすんでいないもの。鰓が鮮紅色のもの。

    味わい

    旬は11月後半から6月くらいまでだと思っている。
    鱗は小さく薄く取りやすい。皮は薄くやや弱い。骨はあまり硬くない。
    血合いが赤く、透明感のある上質な白身。熱を通しても硬く締まらない。
    あらなどからいいだしが出る。
    真子、白子も美味。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    クログチの料理法・レシピ・食べ方/生食(刺身、皮霜造り、焼霜造り、カルパッチョ、セビチェ)、ソテー(韓国風焼き魚、ムニエル)、焼く(塩焼き)、煮る(煮つけ、真子煮つけ)、揚げる(フライ、唐揚げ)
    クログチの刺身
    クログチの刺身 大型はニベ科のなかでももっとも血合いが美しい。刺身にするとマダイやイサキなどを思わせる。
    水洗いして三枚に下ろして、腹骨・血合い骨を取る。皮を引き、普通に刺身にする。
    ニベ科とは思えない美しい身で、脂がのってほどよく軟らかく、身に甘みがある。

    クログチの焼霜造りクログチの焼霜造り 三枚に下ろして皮をあぶって休息冷凍庫であら熱を取る。ニベ科の皮には独特の風味があるが、焼くことで立つので、湯をかけるよりもあぶったほうがいい。また皮自体にも甘味とうま味が感じられる。身には甘みがあって、美味である。

    クログチの塩焼き ニベ科の魚の定番的な料理法は塩焼きである。大型のものは切り身や頭部だけでも、小さなものは丸のまま焼き上げるといい。
    ここでは頭部とカマを半割にしたものに振り塩をする。1時間以上置いてからじっくりと焼き上げる。
    焼き上げた香りからして御馳走である。皮と皮の直下に強いうま味があり、身は上質で簡単にほぐれる。

    クログチのフライ クログチを水洗いし、三枚に下ろす。皮つきのまま塩コショウし、小麦粉をまぶし、溶き卵をまとわせてパン粉をつけて揚げる。皮に独特の風味があり、身はしっとりとして豊潤で柔らかい。肴らしいうま味も豊かでとてもおいしい。
    クログチの唐揚げ 小型のものは水洗いして適当に切る。大型はかまや尾鰭近くなどを使うといい。食べやすい大きさに切り、水分をよくきる。片栗粉をまぶして少し置き、低温で揚げはじめ、一度取り出して二度揚げする。これで骨まで食べられる。揚げ上がりに振り塩をする。
    クログチの煮つけクログチの煮つけ 水洗いして鍋に合わせて切る。湯通しして冷水に落として鱗やぬめりをとる。水分をよくきり、酒、砂糖(黒砂糖)、しょうゆの味つけで煮る。酒・塩、酒・みりん・しょうゆでもおいしい。クログチの身は煮ても硬く締まりすぎずとてもおいしい。
    クログチの真子の煮つけクログチの真子の煮つけ ニベ科の魚の卵巣はみな非常に美味である。水洗いするときていねいに真子を取り出す。これを適宜に切り、醤油・みりん・酒・水の煮汁の中で花を咲かせるように火をとおしたもの。味つけは自分好みでご自由に。甘い方がご飯にあう。
    クログチのソテー赤酢ソース 切り身にしてソテーする。そこに赤酢のソースをかけたもの。赤酢ソースは赤酢・醤油・砂糖・酒・魚醬少々を合わせて少し煮つめたもの。なんに使ってもおいしい。切り身は塩をして少し置いてからソテーすると皮目が香ばしくなる。
    クログチのムニエルクログチのムニエル 三枚に下ろして皮つきのまま塩コショウする。これに小麦粉をまぶして最初は油で、仕上げにバターを使ってソテーしたもの。皮目に独特の風味があって香ばしくて、身が柔らかく甘味があってとても味がいい。
    クログチの韓国風焼き魚 韓国でニベ科の魚が高いのはごま油でソテーしたり、コチュジャンなど辛みをつけた煮汁で煮て食べるからだ。このような料理法だと魚自体に豊かなうま味と風味が必要となる。水洗いして内臓をずぼぬきする。水分をよくきり、塩コショウする。小麦粉をまぶして多めのごま油でじっくりとソテーする。仕上がりで好みで唐辛子などを振る。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    静岡県駿河湾ではコマセマダイの外道。

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)
  • 主食材として「クログチ」を使用したレシピ一覧

関連コンテンツ