魚の呼び名10 「おばさん」は悪口なのか
何かと比べて見た目が悪く、おいしくない、からか
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どうも最近、「おばさん」という言語はよからぬ方にとらえられているようだ。
どっかの知事のように、確かに明らかに悪意から出た「おばさん」はいけないけど、ボクの年代は、「歌のおばさん」を見ていたせいで、悪い意味には思えないし、どこかしら優しいというイメージに繋がる。
そんないろいろ考えさせる「おばさん」と呼ばれる魚や貝がいる。
軟体類巻き貝のイボアナゴもそのひとつだ。
魚ではアカザ、ヨシキリザメだ。
「しおのおばさん」はアイブリ。
「めっきのおばさん」はオキアジのことだ。
まずはイボアナゴウ(写真)に対する「おばさん」を解説すると、明らかに対比する生き物がいる。
その生き物はトコブシである。
「流れ子のおばさん」は「流れ子」、すなわちトコブシのおばさんで、実を言うとイボアナゴウはトコブシと比べると味では劣るし、見た目的にも美しくない。
おいしいけど、スター的なおいしさを誇るトコブシと比べると落ちるから「おばさん」なのである。
失礼な話だけど、若い女性に比べて、歳を取った女性はあまり魅力がないという意味でもある。
徳島県海部郡海陽町竹ヶ島の呼び名だが、トコブシとイボアナゴウが一緒にとれる地域だからこそ生まれた呼び名だ。
当然、トコブシの方が高い。
[聞取]
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アカザは刺されると痛いからではなく見た目から
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アカザを「おばさん」と呼ぶのは静岡県大井川・金谷周辺だ。
これは頬が膨れている頭部の印象からだろうか?
刺されると痛いということとは関係なさそうである。
参考/『静岡県の淡水魚-静岡県の自然環境シリーズ-』(静岡県生活環境部自然保護課 第一法規出版)
ヨシキリザメは動きが鈍いし、ぐんにゃりしている
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千葉県でのヨシキリザメの呼び名、「おばさん」は大きい割りに体がひ弱で闘争心がないためかも知れない。
比較する魚はサメ類だと思うが種まではわからない。
神奈川県国府津で「ばか」というのは他のサメと比べると動きが鈍いためだろう。
また水揚げの姿がぐんにゃりして見ため的によくないせいかも。
お年をめした女性には申し訳ないが、そうとしか思えない。
参考/『魚名集覧』(渋沢敬三)
オキアジは他のアジ科の若い衆のようにキラキラ感がない
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和歌山県田辺市では、オキアジを「めっきのおばさん」という。
「めっき」と呼ばれる魚はアジ科で体高のあるカスミアジ、ギンガメアジ、ロウニンアジ、などの若い個体のことだ。
銅などに「鍍金」すると銀色に輝くことから来ている。
みなきらめいているのに、本種の若い個体は黒く煤けており、見た目が非常に悪い。
徳島県県南では「だいこく(大黒)」、「だいこくめっき(鍍金)」と呼ぶが、大黒にも黒く煤けたという意味合いがありそうである。
参考/『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店)
