ヨシキリザメ

Scientific Name / Prionace glauca (Linnaeus, 1758) 

ヨシキリザメの形態写真

3.8m TL 前後になる。瞬膜がある。鰓孔は体の側面に開き、頭部は比較的尖る、胸鰭は細長い。臀鰭があり背鰭は2基(大小2個)。第1背鰭起部は腹鰭起部よりもかなり前。尾鰭基底背面にくぼみがある。尾柄部に弱い隆起線があるが、幼魚にはない。[74cm TL ・1.7kg]
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3.8m TL 前後になる。瞬膜がある。鰓孔は体の側面に開き、頭部は比較的尖る、胸鰭は細長い。臀鰭があり背鰭は2基(大小2個)。第1背鰭起部は腹鰭起部よりもかなり前。尾鰭基底背面にくぼみがある。尾柄部に弱い隆起線があるが、幼魚にはない。[74cm TL ・1.7kg]瞬膜がある。尾鰭基底背面にくぼみがある。尾柄部に弱い隆起線があるが、幼魚にはない。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★★
      めったに出合えない
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★★
      重要
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    魚類 顎口上綱軟骨魚綱板鰓亜綱サメ区ネズミザメ上目メジロザメ目メジロザメ科ヨシキリザメ属

    外国名

    学名

    Prionace glauca (Linnaeus, 1758) 

    漢字・学名由来

    漢字 葦切鮫 Yoshikirizame
    由来・語源 東京と安房(千葉県)での呼び名。
    〈足切り鮫〉が語源。鱶鰭(ふかひれ)の原料なので鰭を切り取ってしまう。鰭は魚にとって足であるので〈足を切り取る〉から「よしきり」になった。〈あしきりざめ〉が〈よしきりざめ〉になったのは、植物の葦(あし)を〈よし〉と呼ぶのが〈あし〉が〈悪し〉に通じるのを嫌って、〈善し〉としたというのと同じ。『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)
    〈よしきりざめ 安房〉、『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)
    〈板鰓亞綱横口目星椎亞目ホシザメ科ヨシキリザメ屬 ヨシキリザメ〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
    〈ヨシキリザメ 葦切鮫 東京でヨシキリ、大阪でミズブカ又はアオブカ‥‥肉は頗不味で、従来は棄てていたことがあるが、今日では並製の蒲鉾材料として大切なものである。其鰭は鱶鰭中もっとも上等のもので‥‥〉。『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。外洋性。
    北海道全沿岸、陸奥湾、日本列島太平洋沖、希に山陰・瀬戸内海、東シナ海、。千島列島、カムチャツカ半島南東沿岸、台湾、中国南シナ海、西沙諸島、全世界の温帯〜熱帯域。

    生態

    卵胎性。1月〜2月に胎仔(子ザメ)を35匹前後産む。
    イワシ類やマグロ、頭足類(イカ)などをエサとしている。

    基本情報

    全世界の温帯域〜熱帯域に生息する大型のサメ。もっとも漁獲量の多いサメのひとつ。マグロ延縄漁の混獲魚で主に宮城県気仙沼に水揚げされている。国内の水揚げ量は500トン〜1600トンほどである。鮮魚として出回らないので一般的な知名度は非常に低い。
    鱶鰭材料としては最上級で、気仙沼などで加工され、輸出が行われている。頭部、内臓などは漁場で切り落とされ、筋肉、鰭、軟骨などが利用されている。
    和歌山県や三重県で作られている「さめのたれ(干もの)」の原料であり、関東ではおでんなどに使う、はんぺん、すじの材料としてよく利用されている。
    珍魚度 珍しい魚ではないが全身ちゃんとした状態で見ることは非常に難しい。比較的小型個体を探すしかないが、めったに出合えない。

    水産基本情報

    市場での評価 鮮魚としての流通は非常に少ない。練り製品、フカヒレ(鱶鰭)の材料である。
    漁法 延縄、刺網
    主な産地 宮城県

    選び方

    味わい

    旬は不明。
    鮫肌で血合いは弱め。とても水分の多い身だが、くせがなく上質な身をしている。
    臭味の有る無しなどは不明だが、大型の水揚げなどを見る限り、臭味などはまったくないようである。
    小型の個体の臭味もない。食材として使いやすいと思う。
    鮮魚としての味の評価は仔魚のもので、成魚のものではない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ヨシキリザメの料理・レシピ・食べ方/揚げる(フライ)、煮る(湯引き)、焼く(一夜干し)

    ヨシキリザメのフライ 水分の多い身だが、ほどよく筋繊維が束になり、臭味やくせがない。フライ材料に向いていそうだ。切り身にして塩コショウする。小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせてパン粉をつけて揚げる。香ばしいパン粉に閉じ込められた身は揚げることで適度に締まり、ほどよいうま味と甘味が感じられる。非常においしい。

    ヨシキリザメの塩干し(干もの) 切り身にして焼いてみようと思って振り塩をして焼いたら一向に焼けた感じがしない。仕方がないので丸2日冷蔵庫で干す。これでやっと短時間で焼き上げることができた。見た目もきれいである。しかもほどよく繊維質でうま味がある。
    ヨシキリザメの湯引き 小型だったのでホシザメと同じように湯引きにしてみた。同の部分を切り落とし、皮付きのままゆでる。表面の鱗を箸などでつついて、こそげ落とせるようになったら冷水に落とす。粗熱がとれたら鱗を手でこそげ落とし、水分をよくきり食べやすい大きさに切る。これを塩水で完全に火を通す。酢みそで食べると、イヤミのない味わいであるが、ホシザメと比べると味がない。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品



    おでん 東京風おでんの定番種の「はんぺん」と「すじ」はヨシキリザメ、アオザメが使われている。東京だけではなく関東周辺の定番的なおでん種で、人気が高い。

    はんぺん ヨシキリザメ、アオザメなどの身の筋などを丁寧に除き、すり身にして成形して山芋とまぜてゆでて作る。ふんわりとしていてそのまま食べても、焼いて食べても、おでんに入れても非常にうまい。[日本ばし 神茂 東京都中央区日本橋]
    すじ(筋蒲鉾) はんぺんなどを作ったとき取り除いた筋、軟骨などにでん粉をつなぎにしてゆでて作る。関東ではおでん種として有名であり、人気が高い。
    いらぎみりん干し(さめのたれ) 本種は三重県、和歌山県で作られている「さめのたれ」の主な原料となっている。宮城県産ヨシキリザメを薄く切り、しょうゆ、塩、砂糖などで味つけして干したもの。やや強く干してあってとてもおいしい。塩干しもある。[平元商店 和歌山県東牟婁郡串本町古座]

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/日比野友亮さん(北九州市立自然史・歴史博物館)、さんの水産(■https://www.sanno-suisan.com/)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『平成 30 年度国際漁業資源の現況 ヨシキリザメ』(水産庁、水産研究所 2018)

    地方名・市場名

    オバサン
    場所千葉 参考文献 
    グタ
    場所千葉県銚子 参考文献 
    ミズサベ ミヅサベ
    場所和歌山県太地 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アオナギ
    場所宮城県仙台、福島県小名浜、三陸 参考文献 
    アオイラギ
    場所山口県小野田 参考文献 
    アウナジャア オナジャ ミジブカ
    場所沖縄 参考文献 
    ゲイシャ
    場所沖縄本島 参考『沖縄水産試験場 沖縄で漁獲される主要魚の名称一覧表』 
    カシー
    場所沖縄県八重山 参考『沖縄水産試験場 沖縄で漁獲される主要魚の名称一覧表』 
    カシサバ
    場所沖縄県宮古 参考『沖縄水産試験場 沖縄で漁獲される主要魚の名称一覧表』 
    ナンザサバ
    場所沖縄県知念漁協 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 
    オーナンジャー
    場所沖縄県知念漁港・八重山 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012)、『沖縄水産試験場 沖縄で漁獲される主要魚の名称一覧表』 
    アオノチョウマン アオノチヨオマン
    場所石川県宇出津 参考文献 
    バカ
    場所神奈川県国府津 参考文献 
    カツオザメ
    場所神奈川県小田原市 参考文献 
    ヨシキリザメ
    場所神奈川県江ノ島 参考文献 
    フカ
    場所福岡県玄海 参考文献 
    グタベ
    場所福島県小名浜 参考文献 
    ミズ ミヅザメ
    場所紀州(三重県西部・和歌山県)各地 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アオブカ
    場所関西、摂津地方、土佐高知、鹿児島 参考文献 
    アオザメ
    場所静岡県妻良 参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 
    アオ
    場所静岡県戸田 参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 
    アオタ
    場所高知県高知市 参考文献 
    コンジョウブカ コンジヨオブカ
    場所高知県高知市、九州 備考「紺青ぶか」で青い色のサメ。 参考文献、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) 
    ミズブカ
    場所水族志 備考別名。 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    ヨシキリ
    場所千葉県銚子、東京都東京市場、神奈川県三崎 参考文献 
  • 主食材として「ヨシキリザメ」を使用したレシピ一覧

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