30cm SL 前後になる。全体に小さな櫛鱗(鱗の後方に棘を持っている)に覆われ、金属質に赤く体高が高く側へんする。口は前方斜め上に向いて開く。尾鰭以外の鰭が著しく大きい。腹鰭は永くその後端は臀鰭起部を遙かに越える。[20cm SL、体高9cm・272g]
チカメキントキの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
![30cm SL 前後になる。全体に小さな櫛鱗(鱗の後方に棘を持っている)に覆われ、金属質に赤く体高が高く側へんする。口は前方斜め上に向いて開く。尾鰭以外の鰭が著しく大きい。腹鰭は永くその後端は臀鰭起部を遙かに越える。[20cm SL、体高9cm・272g]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/447/Thumb630/20230101341.jpg)
![30cm SL 前後になる。全体に小さな櫛鱗(鱗の後方に棘を持っている)に覆われ、金属質に赤く体高が高く側へんする。口は前方斜め上に向いて開く。尾鰭以外の鰭が著しく大きい。腹鰭は永くその後端は臀鰭起部を遙かに越える。[成魚]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/447/Thumb630/tikamekintoki.jpg)
![30cm SL 前後になる。全体に小さな櫛鱗(鱗の後方に棘を持っている)に覆われ、金属質に赤く体高が高く側へんする。口は前方斜め上に向いて開く。尾鰭以外の鰭が著しく大きい。腹鰭は永くその後端は臀鰭起部を遙かに越える。[稚魚 41mm]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/447/Thumb630/tikamekintoki0.jpg)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ亜目キントキダイ科チカメキントキ属外国名
学名
Cookeolus japonicus (Cuvier, 1829)漢字・学名由来
漢字 近眼金時、近目金時 Standard Japanese name / Chikamekintoki
由来・語源 田中茂穂(1878~1974)の命名。キントキダイの仲間で目が大きく、目と吻が近い(間が狭い)という意味合い。
〈チカメキントキ(チカメキンメ) 近眼金時〉。『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)
「きんとき」について 「金時」という言葉は「赤」と同じ意味合いを持つ。例えば金時豆は「赤い豆」という意味。
これは坂田金時をモデルにした歌舞伎『怪童丸』が赤い衣装を身につけていたため。またカネヒラという地域もあるが、江戸浄瑠璃に「金平浄瑠璃」があり、坂田金時の子の坂田金平(公平。きんぴら、かねひらとも)が活躍する。「かねひら」も同様に「赤」を表す。Cuvier
バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
Tanaka
田中茂穂(Shigeho Tanaka 明治11-昭和49 1878-1974 高知県)。東京帝国大学にて魚類の分類を始める。日本近代魚類学の父。170種前後の新種を記載。献名された種も少なくない。地方名・市場名
生息域
海水魚。水深80-340m。
北海道襟裳岬〜[宮城県気仙沼]〜屋久島の太平洋沿岸、青森県〜九州北西岸の日本海・東シナ海沿岸、東シナ海大陸棚縁辺域。瀬戸内海には少ない。
韓国釜山、済州島、台湾海峡、広東省、インド-西太平洋。生態
産卵は6月〜8月ではないかと思っている。基本情報
北海道南部から熱帯域まで広く分布している。やや沿岸の岩礁域などにいて延縄、刺網、定置網などでとれる。キントキダイ科ではもっとも北に生息域を広げ、もっとも入荷量が多いが、これといって突出した産地はない。
本種はキントキダイ科の中ではもっとも一般的な食用魚である。関東などのスーパーでも比較的見る機会が多い。見た目は不思議だけど、実はありきたりな魚といってもいいだろう。
味は魚類中トップクラス。本種を知っているだけで、食生活が向上すると言っても過言ではない。
地方のスーパーなどではよく見かける魚ではあるが、関東ではあまり見かけない。
珍魚度 ぜんぜん珍しい魚ではなく食用魚だが、漁獲量は少なく、消費地のスーパーなどに並ぶことはほとんどない。ただときどきまとまって揚がることがあり産地などでたくさん並ぶことがある。水産基本情報
市場での評価 入荷量はあまり多くはない。やや高値。大きいほど高く、小さいものは安い。
漁法 釣り、刺網、定置網
産地 東京都小笠原ほか選び方
目に透明感があり、張りのあるもの。赤が鮮やかで濃いもの。古くなると退色する。味わい
旬は10月から5月くらいまでだと思っている。成熟がすすみ過ぎると味が落ちる。小さくても味がいい。
鱗は全身にあり、ザラザラと紙やすりのようで小さくて硬く散りにくい。小さいものは鱗をとらない。大きいものは刺身にするときは取らなくてもいい。煮つけや焼き物にするときには鱗を取る。鱗引きよりもブラシ、タワシの方が取りやすい。
皮は厚く丈夫。骨はあまり硬くない。
白身で血合いが非常に美しい。アラからは非常にいいだしが出る。
料理の方向性鱗は強く小さく取りにくく皮が硬い。生食にするなら鱗は散らず、そのまま皮を引く。煮もの、汁ものにするなら皮にもうま味があるので鱗を取る。白身で血合いがきれい。熱を通しても硬く締まらないのでソテーや揚げ物にもなる。料理を選ばない魚だ。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
チカメキントキの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身)、煮る(煮つけ、鍋)、焼く(丸焼き、塩焼き)、汁(みそ汁、潮汁)、揚げる(皮唐揚げ、唐揚げ、フライ)クリックで閉じます
チカメキントキの刺身 本種は年間を通してあまり味が落ちない。血合いがとてもきれいなので、刺身にしたときの見栄えも非常にいい。
鱗は取らないで周りに切れ込みを入れていき、三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、皮を引く。刺身状に切る。
白身ではあるが、脂が皮下に層を作ることがあり、また身に混在している。滑らかな舌触りでとてもおいしい。
チカメキントキのカルパッチョ 三枚に下ろして皮を引く。できるだけ薄く切り、にんにくをなすりつけオリーブオイルを垂らし、塩を振った皿に並べていく。上からもオリーブオイル、白コショウ、塩を振り、スプーンなどで馴染ませて好みの野菜などを乗せる。基本的に塩とオリーブの味わいで、魚の身のうま味、ほんの微かな甘味が浮き上がってくる。白ワインに合う。クリックで閉じます
チカメキントキのポキ(ポケ) ハワイの料理だが、ミクロネシアなど熱帯の多くの島々で作られているようだ。刺身などででた半端な部分を細かく切る、ねぎや好みの野菜と和え、ごま油と塩、もしくは醤油を加え混ぜる。醤油を利かせるととてもご飯に合う。クリックで閉じますチカメキントキの鍋 小振りのものは水洗いしてぶつ切りに、大型はあらだけでも十二分にうまい鍋になる。湯通しして冷水に落とし残った鱗やヌメリを流す。水分をよくきり、昆布だしに酒・塩の味つけで煮ながら食べる。いいだしが出る上に、煮上げた味わいも素晴らしい。もっと鍋材料として認識されてもいい。クリックで閉じますチカメキントキの煮つけ 面倒だが鱗をていねいに取り水洗いする。鰭は煩わしいと感じたら切り取るといい。肝は絶品なのでとっておく。これらを湯通しし、冷水に落としてヌメリなどを流す。水分をよくきり、酒・しょうゆ・水で煮る。味つけは甘いのが好きなら砂糖やみりんを加える。また濃厚なたまり醤油を使っても面白い。クリックで閉じますチカメキントキの丸焼き 根っからの不精者に向いた料理。丸のまま、鱗も取らずに焼くと、硬い鱗と皮によって蒸し焼き状態になる。コツは焼く前に水分をよく拭き取って置くだけ。皮を外すと真っ白な身から香りのいい湯気が立つ。これだけで食欲をかき立てられる。しょうがしょうゆ、柑橘しょうゆで食べて頂きたい。クリックで閉じますチカメキントキの塩焼き 焼くと皮目が香ばしく、中はしっとりと上がる。大振りのものは鱗を引き、振り塩をする、1時間以上寝かせて、じっくりと焼き上げる。塩焼きとしては最上級の味だと思う。皮目の香ばしさよりも、適度に繊維を感じさせてくれて、身離れのいい身に魅力を感じる。クリックで閉じますチカメキントキのみそ汁 大型はあらを小振りのものは水洗いしてぶつ切りにする。これを湯通しし、冷水に落として残った鱗やヌメリを流して水分をよくきる。これを水から煮出してみそを溶くだけ。ねぎでも小松菜でもなんでもかんでも好きな野菜を加えるといい。たっぷり作ると汁というよりもご飯の主菜になる。クリックで閉じますチカメキントキのフライ 三枚に下ろして、皮を引き(皮はそのままでもよい)、中骨を抜く。これにパン粉をまぶして揚げると見事なフライになる。熱を通しても硬くならない上に、適度にジューシーでとてもおいしい。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/岩崎薫さん(神奈川県)
『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)地方名・市場名 ?