ミナミカゴカマス

Scientific Name / Rexea solandri (Cuvier, 1832)

代表的な呼び名ギンサワラ

ミナミカゴカマスの形態写真

65cm SL 前後、最大110cm SL になる。全身銀色で側へんし細長い。側線は2本に枝分かれする。
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65cm SL 前後、最大110cm SL になる。全身銀色で側へんし細長い。側線は2本に枝分かれする。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目クロタチカマス科カゴカマス属

    外国名

    学名

    Rexea solandri (Cuvier, 1832)

    漢字・学名由来

    漢字 南籠魳 Standard Japanese name / Minamikagokamasu
    由来・語源 カゴマカスの仲間で南半球にいる。
    Cuvier
    バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深100-800m。
    ニュージーランド、オーストラリア南部と東南部、タスマニア、マダガスカル、大陸棚とその斜面。

    生態

    基本情報

    ミナミカゴカマスはニュージーランド、オーストラリア沿岸に生息している深海魚だ。クロタチカマス科のなかでも非常に大型になり体長180センチの記述もある。一般的に60〜90センチ。
    強い血合い骨があるが前半だけで後半にはない。あまり骨の気にならない魚である。
    商品名は「銀鰆(ギンサワラ)」としてニュージーランドなどから冷凍輸入されてる。
    非常に味のいい魚でフィレで加熱して食べると魚類中トップクラスの味である。歩留まりもいいので冷凍物としての人気が高く、近年手に入れにくくなっている。
    珍魚度 食用として切り身を手に入れることはそれほど難しくないが、鮮魚で丸のままのものを手に入れるのにはニュージーランドなどに行く必要がある。

    水産基本情報

    市場での評価/冷凍フィレだけでの流通。冷凍フィレとしてはとても高価。
    漁法/底曳き網
    産地/ニュージーランド

    選び方

    冷凍ものなので黄ばんでいないもの。

    味わい

    旬は不明。
    鱗はないに等しい。皮はやや厚く硬い。骨は、特に血合い骨が大きくて気になるが、意外に塩焼きなどにすると取りやすい。体の後半は小骨がない。
    血合いの弱い純白の身で熱を通しても硬く締まらない。
    冷凍されたものなので、ていねいに水分を取ることが重要である。

    フィレ 細長く切り身にしたときの歩留まりが非常にいい。腹腔膜は黒い。強い骨が体の前半のみ中央部分にあるが、見つけやすい。骨の除去は簡単である。
    切身 非常に切り身にして美しい。血合いはほとんどなく切った面が美しい。白濁しているのは脂があるからだ。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ミナミカゴカマスの料理・レシピ・食べ方/焼く(塩焼き、みそ漬け、幽庵焼き)、揚げる(フライ、竜田揚げ)、ソテー(ムニエル)、煮る(煮つけ)

    ミナミカゴカマスの塩焼き 脂が乗っているので焼いても硬く締まらない。豊潤とさえいえそうである。皮目の独特の風味も非常に好ましい。ギンダラと比肩するおいしさだ。
    前半部分の血合い骨が強いところを使った。切身にして水分を布巾などにくるんで抜く。振り塩をして1時間程度置き、焼く。

    ミナミカゴカマスのみそ漬け 漬け魚に使われる魚であるが、自家製ならもっと淡いつけ方で作れる。西京味噌とみりんだけの単純な味わいだが、実にうまい。
    後半部分を切身にする。布巾にくるんで冷蔵庫に数時間置き水分を抜く。これをみそ(西京味噌)・みりんの地に1日漬け込む。
    ミナミカゴカマスの祐庵焼き 脂があるので焼いても硬く締まらない。身自体にも旨味があるが、発酵調味料と合わさると、独特の味わいを作り出す。
    切り身にしてペーパータオルにくるんで少し冷蔵庫で寝かせる。これを酒・みりん・醤油同割りに漬け込む。2時間から6時間で出来上がる。今回は柚子の果汁を加えてみた。
    ミナミカゴカマスのフライ 身にほどよい甘味があり、筋繊維が口の中で簡単にほどける。脂があるので身が豊潤である。強いうま味もある。皮目に独特の風味があるので、少しだけおいしさに個性がある。
    フィレの真ん中あたりを使った。血合い骨を抜き、水分をていねいに布巾などにくるみ抜く。塩コショウして小麦粉をまぶし、溶き卵をからめ、パン粉をつけて揚げる。

    ミナミカゴカマスの煮つけ 骨の多い前側を煮つけにした。骨が長いので意外に骨を除けやすい。いいだしが出て煮汁が非常に味わい深い。身のほぐれ感が心地よく、旨味もある。
    切り身にして湯通しする。冷水に落とし表面のぬめりを取る。これを酒・砂糖・醤油・水で煮上げる。
    ミナミカゴカマスのムニエル 脂ののった身にバターでボクには重い味になったが、ある意味万人が好む味だと思う。ほどよく繊維質の身が柔らかくて旨味が強い。
    切り身にしてペーパータオルなどにくるんで少し冷蔵庫で水分を抜く。塩コショウして小麦粉をまぶし多めの油でこんがりソテー、バターで風味づけする。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    漬け魚(粕漬け、みそ漬け)の材料として人気が高い。

    ミナミカゴカマスの粕漬け 漬け魚としては非常に高級である。上質な白身で皮目に独特の風味がある。脂がのっているので柔らかい。非常に美味である。

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/星野健一郎さん(株式会社フーディソン) 
    『新顔の魚 1970-1995』(阿部宗明 財団法人伊藤魚学研究振興財団 まんぼう社)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)、fishbase
  • 主食材として「ミナミカゴカマス」を使用したレシピ一覧

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