SL 6cm前後。しっかりした貝殻で、巻き紙を縦にして下をすぼめたような形。眼と眼柄がとても発達して大きく、これを貝殻から外に伸ばすための外唇の切れ目(Stromboid notch)がある。外見がイモガイに似ているのは、危険な巻き貝への擬態とされている。
マガキガイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門腹足綱前鰓亜綱盤足目ソデボラ超科ソデボラ科(スイショウガイ科)マガキガイ属外国名
学名
Strombus luhuanus Linnaeus, 1758漢字・学名由来
漢字 籬貝 Magakigai
由来・語源 『目八譜』(武蔵石寿著、服部雪斎ほか画 弘化2年[1845])による。貝表にある文様が、竹などで組んだ垣根に似ているから。Linnaeus
Carl von Linné(カール・フォン・リンネ 1707-1778 スウェーデン)。二名法を確立。
目八譜
1843(天保14)、武蔵石寿(武蔵孫左衛門)が編んだ貝の図譜のひとつ。図は服部雪斎が描く。武蔵石寿は貝類を形態的に類別。1064種を掲載する。現在使われている標準和名の多くが本書からのもの。貝類学的に非常に重要。
武蔵石寿
武蔵石寿(むさし・せきじゅ 玩珂停、明和3-万延元年 1766-1861)。石寿は号、本名は武蔵孫左衛門。450石取りの旗本。赭鞭会。本草学、貝類。西洋の新しい分類学も取り入れようとしていた。『目八譜』(掲載1064種)、『甲介群分品彙』(掲載605種)、『介殻稀品撰』など。現在使われている標準和名の多くがここから来ている。地方名・市場名
生息域
房総半島以南、熱帯太平洋。
潮間帯の岩礁底から水深50メートルの砂地。生態
小石などのある潮溜(しおだまり)に柄の長い触角をだしている。
ギザギザのついた蓋(ふた)を海底にひっかけて動く。
産卵期は初夏。基本情報
熱帯では一般的な食用巻き貝。九州、沖縄県では浅い場所にいるので磯遊びでとったりする。
近年ではやや減少気味で、沖縄などでは養殖が試みられている。
この貝を有名にしたのが高知県でのチャンバラガイという呼び名。味がよく名前がユニークなので人気が高い。
そのためか関東周辺だけではなく全国的にこの高知県での呼び名・チャンバラガイと呼ばれ始めている。これは非常に憂うべきことだ。やめた方がいい。水産基本情報
選び方
原則的に生きているもの。味わい
本州や四国の太平洋側では春〜夏。
貝殻から取り出しやすく、身もそこそこに大きい。
熱を通して食べる。
身には適度な甘みがあり、貝臭さはほとんど感じられない。
ワタが非常にうまくて、身の方が脇役的だ。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
好んで食べる地域・名物料理
静岡県から沖縄までの各地。加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/日高勝巳さん(宮崎県日南市)、長野淳さん(三重県熊野市)、宍喰漁業協同組合(徳島県海部郡海陽町宍喰町)、河村雄太さん(沖縄県石垣市)
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『貝の和名』(相模貝類談話会)、『自然観察シリーズ 日本の貝』(奥谷喬司 小学館)、『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012)地方名・市場名 ?
チャンバラガイ
場所東京都伊豆大島、高知県、愛媛県南部 備考「ちゃんばら」という言葉は映画からくる言葉で、言葉としては新しい。生きのいいときに長い爪状のふたをよく動かす。この様子が「ちゃんばら」の刀を振り回しての立ち回りを思わせるため。あきらかに奇をてらって観光的に作り出した呼び名だ。 参考聞取