【うなぎ屋料理】
・中部(名古屋など)では腹腹開きにして頭部を落とした状態で数尾を金串打ち長焼き。蒸さないでタレの入った壺にどぶんとつけて焼き上げる。名護屋のタレにはたまりしょうゆ、みりん、砂糖が使われている。
・岐阜県岐阜市では腹開き、頭を落とし、長いまま焼く。蒸さない。[岐阜県岐阜市]
・滋賀県高島市西友のものは腹開き。長焼き(頭つき1尾を切らないで長いまま焼く)。
・福岡県北九州市小倉では腹開き。蒸さない。

ニホンウナギの蒲焼き

蒲焼き
・関東では背開きにして、2等分、もしくは3等分して竹串打ちして焼く。焼き上がったら蒸す。蒸しの時間は各店で違う。蒸し上がったらたれにくぐらせて、焼く。タレには2〜3回くぐらせる。関東のタレの基本はみりんにしょうゆ半々。

ニホンウナギの蒲焼き

蒲焼き
関西では頭部から斜め腹開きにして、長いまま頭つきのまま金串に数本刺す。これを焼き上げる(地焼き)。タレは瓶などからかけ回す。この焼き上げた頭部を落としてうな重、まむしなどにするのだが、この頭が「半助」。

天然ウナギの蒲焼き

天然うなぎの蒲焼き
松野町を流れる広見川の天然ウナギを蒲焼きにしたもの。海に近い場所にいるものと比べて小振りで皮が柔らかい。非常に美味。[農家民宿 わらび 愛媛県北宇和郡松野町]

ニホンウナギのじゅんじゅん

じゅんじゅん(すき焼き)
ウナギを開き、そぎ切りにしてすき焼き地で煮たもの。「じゅんじゅん」は滋賀県琵琶湖周辺ですき焼きのこと。小振りの6Pを使ったものが私好み。ちなみに滋賀県ではイサザ、ナマズでも「じゅんじゅん」を作る。

ニホンウナギの湯引き

湯引き(刺身) 大分県日田市のウナギ料理のひとつ。刺身ともいう。そぎ切りにして湯にくぐらせたもの。ゆず胡椒もしくはわさびをつけて食べる。意外にもさっぱりしてうまみが強い。

うな茶

うな茶 愛媛県久万町(上浮穴郡久万高原町久万)では夏にとれるウナギを蒲焼きにして、これを「うな茶」にもする。ご飯を少し茶碗によそい、蒲焼きをのせ、またご飯をかぶせる。最後にまた蒲焼きをのせてお茶をそそぐ。これにふたをしてむらす。『聞き書 愛媛の食事』

うな茶2

うな茶 四万十川水系広見川でとったうなぎを蒲焼きにし、これをご飯にのせて地元ならではの番茶をかける。[農家民宿 わらび 愛媛県北宇和郡松野町]

うなぎ茶漬け

うなぎ茶漬け 〈ご飯にウナギの蒲焼きをのせて、熱い煎茶をかけて、ふたをして数分むらす。蒸らし終わったらわさびなどを天盛りして食べる。〉『うなぎの本』(松居魁 柴田書店 1977) 市販の蒲焼きを使えば家庭でも簡単に作れる。また東京都や関東周辺のうなぎ屋では定番的な品書き。

うなたま丼

うな玉丼(うなとじ丼) ウナギの蒲焼きを親子丼の要領で、下地(甘辛いしょうゆ味のたれ)で煮て卵でとじたもの。東京都内をはじめ関東のウナギ屋では定番的な品書きのひとつ。ウナギの量を節約できるので鰻重などよりも安い。

うざく

うざく
「うなぎの蒲焼き」と「きゅうりもみ」を合わせたもの。和えたものもある。「ざく」は大阪で「きゅうりもみ」のこと。もともとは大阪などの料理であった可能性大。[川上商店 大阪府大阪市鷲津東2-2-8 木津卸売市場]

半助豆腐

半助豆腐
大阪では頭をつけ、長いまま焼き、焼き上がったら頭を落とす。この落とした頭を「半助」という。これを豆腐と煮たもの。煮た鍋。

うなぎの肝焼き

肝焼き 肝を串に刺し焼いたもの。焼いてウナギの蒲焼きのたれをつけて、また焼く。肝には甘味とうま味があり、いい食感も楽しめる。ほんのりとした苦みもいい。関東のウナギ屋では定番的な品書きのひとつだ。

きんし丼(滋賀)

きんし丼
滋賀県『逢坂山 かねよ』のものは蒲焼きにだし巻き玉子をのせたもの。[逢坂山 かねよ 滋賀県大津市大谷]

きんし丼(京都)

きんし丼
京都ほかで錦糸卵をのせたものを「きんし丼」と呼ぶ。錦糸卵とウナギの蒲焼きが意外に相性がいい。[マキノ食堂 京都中央市場]

うなぎのヒレ焼き

ひれ焼き(鰭焼き)
割くときに切り取った鰭の部分を串にさして焼き、タレをつけて焼き上げたもの。関東周辺。

ひつまぶし

ひつまぶし
名古屋市周辺。ご飯の上に海苔を敷き、刻んだウナギの蒲焼きをのせたもの。まずはそのまま食べて、それが飽いたら茶をかけて食べる(茶漬けにする)。[あつた 蓬莱軒、いば昇]

うなぎの白焼き

白焼き
関東では背開きにして返しながら焼き、蒸す。これをあぶったもの。
関西では数尾一度に焼き、たれをかけないで焼き上げたもの。

う酒(うな酒、うなぎ酒)

う酒(うな酒、うなぎ酒)
茶碗蒸しに使うような大振りの筒状をした器にウナギの蒲焼きを入れて熱燗をそそぐ。『うなぎの本』(松居魁 柴田書店 1977) ※斎藤茂吉は昭和10年(1935)1月5日に小見川(千葉県香取市小見川町)の林屋という宿で「夜ハ鰻酒ヲシテ飲む」。

うな丼

三重県にはウナギ店が非常に多い。大阪風に地焼きにしるところ、東京風に蒸しがはいるところなど多彩。特に津市にウナギ店が多く、焼きが強いのが特長。

うな重

うな重
専門の重箱にご飯を入れ、タレをかけて蒲焼きをのせたもの。地域によって多少の違いあり。関西、関東、など地域によって様々。

かぶと揚げ

かぶと揚げ
福島県会津若松市「えびや」で食べた。骨が気にならないくらいにかりっと揚げたもの。

まむし

まむし
大阪では「うな丼」を「まむし」という。ご飯とご飯の間にウナギの蒲焼きが挟んでいたもので、ご飯にまぶしながら食べるので「まぶし」が「まむし」になった。

肝すい

肝すい
この割いたウナギの肝を吸いの種としたものを肝吸いという。
かぶと焼き(兜焼き) 関東ではウナギの頭部を兜という。これを生の状態から焼き上げてタレに漬け込んで焼き上げる。
【県別うなぎ飯】
う雑炊 雑炊を作り、ウナギの蒲焼きを加えて卵をかけまわしたもの。『うなぎの本』(松居魁 柴田書店 1977)
【その他ウナギ料理】
肝わさ ゆでた、もしくは軽く煮た肝と腸などを適宜に切り、わさびしょうゆをかけたもの。[いずもや 日本橋]
【駅弁】
うなぎめし 明治40年(1907)年に宮城県遠田郡美里町にある小牛田駅で初めて売り出された。まだウナギの養殖が確立する前ではないかと思うので興味深い。『うなぎの本』(松居魁 柴田書店 1977)
注 今はない。
うなぎぼく飯 「ぼく」という大型のウナギの蒲焼きを適宜に切り、青ネギを散らしている。[船宿 静岡県湖西市新居町]
ひつまぶし釜飯 陶製のお釜にご飯を入れ、錦糸卵、1㎝前後に刻んだ鰻の蒲焼き、しいたけ、にんじんの煮もの、ウズラ卵などをのせたもの。守口漬けが添えられているのがいい。[だるま 愛知県名古屋市]