9cm前後になる。
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魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区ニシン・骨鰾下区骨鰾系コイ目ドジョウ科アジメドジョウ属外国名
学名
Niwaella delicata (Niwa,1937)漢字・学名由来
漢字 味女鰌
由来・語源
「アジメ」なる称呼は岐阜県下美濃・飛騨の各地、福井県九頭竜川の上流や長野県下木曽地方などにおいて、あまねく行われているものであり、淡水魚の方言として、かくも普遍的なのは、むしろ異例に属するものと思われる(中略)。著者(丹羽彌)は「アジメ」は「味女(あぢめ)」であり、あたかも「ヤマメ」が「山女」と書かれて「山間渓流に住む見目麗しき魚」の意を表すものと回されているように、「味女」も「美味にして且つ姿優しき魚」の意を表すものと解するのが適当であろうかと考えている。(丹羽彌)地方名・市場名 ?
生息域
淡水魚。山間部の河川上流、中流域、早瀬〜平瀬の礫底。
日本固有種。富山県、長野県、岐阜県、福井県、滋賀県、京都府、三重県、大阪府。生態
産卵期は長良川上流、九頭竜川上流域では、11月に伏流水のある場所に集まり越冬、ことから冬から春ではないかという。
岩などについた藻類を食べている。基本情報
国内の山間部などに少ないながら生息している。
絶滅危惧種である。
流通は食習慣を残すためのみで地域的なものとしておきたい。水産基本情報
市場での評価 流通しない。
漁法 筌、たきわけ(滝分け、滝脇)、登り落ち
産地 岐阜県、福井県選び方
原則的には生きているもの。生きている内に冷凍したもの。味わい
旬は夏〜秋。
産卵期には食べない方がいい。
やや骨が硬いがくせのない白身でうま味がある。
注/できるだけ採取はしないこと。食習慣の残る場所でのみ食べるべきだ栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
好んで食べる地域・名物料理
甘露煮●福井県九頭竜川上流部などで食べられている。酒、砂糖などをたっぷり使った煮つけ。
あじめめし 〈秋の取り入れが終わると、アジメをとってきてアゲや大根と混ぜて味つけ(炊飯するという意味か)する。〉『萩原文庫4 萩原の四季と味』(はぎわら文庫編集委員会 岐阜県益田郡萩原町 1981)加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
■ 木曽川水系などで漁のために作られるのを「あじめ穴」という。川底から湧水のある場所を探して、湧水孔を掘り下げ、その周辺を礫岩で囲んだもの。むしろなどで河川の水と湧水が混じらないようにして、湧水をもとめて来るアジメドジョウを筌(あじめうけ)で取る。
■ 飛騨一宮 水無神社のお使い/水無神社(岐阜県高山市一之宮町)の社前から宮川の上流域にかけて、川の水は伏流水となって、普段河原にほとんど水を見ることがないのは「宮川をへだてて対岸にある寺の住職の説教を聞こうとするのに、社前(寺前か?)を流れる宮川の瀬音が高くて聞き取りにくく、残念に思っておられたところ、一夜、宮川に住むアジメが神意を奉じていっせいに河底にもぐり込み、宮川の水を一夜にして河底を流れる伏流にしてしまい、その時から今見るような一面の水無し河原と化してしまった」。それ以来アジメは飛騨一宮 水無神社のお使いとなる。(『あじめ』)
■ 尾張藩藩祖徳川義直/寛永の頃の碩学 堀杏庵(きようあん)によって記された『山中日録』に中山道大井の宿(岐阜県恵那市大井)において、同地なる木曽川支流阿木さんのアジメを藩祖徳川義直の食前に供した。
■ 『斐太後風土記』(宮田礼彦 1874)は飛騨国3部の産物を調べたもの。大野郡白川郷海上村に「……マス二十五本 ハエ五百五十 アヂメ五升 ザツコ五十」とある。『明治初期・飛騨地方における生産魚類の分布論的研究』(秋道智彌 国立民族学博物館)参考文献・協力
『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『日本の淡水魚』(川那部浩哉、水野信彦 編・監修 山と渓谷社)、『あじめ』(丹羽彌 大衆書房 1951)