20cm前後になる。身体は縦偏(薄く)して、細長い。オスの第一背鰭には未成熟のときには斑紋があり、大きくなると消える。メスの尻鰭は白く、オスは黒い。オスの尾鰭は下の部分が黒く、正中線上から斜め後方に走る黒い筋がある。[写真は雄で第1背鰭に大きな斑紋はなく、尻鰭が黒い。体側に斜めの黒い筋が走る]
ネズミゴチの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ネズッポ亜目ネズッポ科ネズッポ属外国名
学名
Repomucenus curvicornis (Valenciennes, 1837)漢字・学名由来
漢字 鼠鯒 Nezumigoti
由来 鼠顔(ネズミ)のコチの意味。別名、ノドグサリ。ただ一般的には「めごち」の方が有名である。標準和名のメゴチがいるので、このあたりがややこしい。
ネズミゴチを 〈てぐりごち 安房〉 (手繰り網でとれるコチ)が 『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)
WoRMS/Callionymus curvicornis Valenciennes, 1837地方名・市場名
生息域
海水魚。内湾の岸近くの浅い砂地。
陸奥湾、北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、北海道噴火湾〜九州南岸の太平洋沿岸、[鹿児島県南さつま市笠沙]、瀬戸内海、屋久島。
朝鮮半島南岸、済州島、台湾南部、広東省・江西省。生態
産卵期は春と秋の2回。3月から5月と、9月から11月。
オスが求愛行動をとり、カップルができるとランデブーしながら放卵、射精する。基本情報
内湾の浅場などにいる小魚。内湾の乱開発や、汚染でとれる量が減ってきている。
三河湾、大阪湾、瀬戸内海など、このような小魚を食べる食文化は各地に残っている。
関東の東京、千葉県などもそのひとつ。そこで生まれたのが江戸前天ぷらである。
煮つけなどでも食べられているが、なんといっても天ぷらにして初めて価値が出る魚。
東京では「めごち」、大阪では「天ごち」などという。内湾の小魚、エビなどが少なくなり、天ぷらが高級料理となってしまっているが、本種も高値が続き、大型は超高級魚といったところだ。
当然、ネズミゴチも高値で安定、ときに超高級魚になってしまっている。水産基本情報
市場での評価 関東では重要な魚のひとつ。「メゴチ」の中ではもっとも高い。価格は高値安定。
漁法 底曳網
主な産地選び方
腹など触って硬いもの。体色の腹側は白く、背はくっきり黒いもの。味わい
旬は春と夏から秋
寒い時期をのぞく味は落ちない。
体表に滑りが多い。鱗は気にならない。皮は薄いがしっかりしている。
透明感のある白身で甘味がある。また皮には独特の風味がある。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ネズミゴチの料理法・調理法・食べ方/揚げる(天ぷら、唐揚げ)、煮る(煮つけ)、焼く(干もの)クリックで閉じますめごちの天ぷら
めごちの天ぷら(ネズミゴチの天ぷら) まさに江戸前の味といったもので、古くから天ぷらの定番的な種。皮目に独特の風味があって非常にうまい。近年は他のネズッポ科の魚も使われているが、やはり本種がいちばんうまいと思う。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
ー釣り情報
浅い砂地で船釣り、投げ釣りなどでねらえる。エサはジャリメ、アオイソメで、軽い錘で2本バリが基本。シロギス釣りの代表的な外道でもある。歴史・ことわざ・雑学など
■ 天ぷらの「メゴチ(女鯒or目鯒)」の代表的なもの。天ぷら材料として重要。
■ コチ科(カサゴ目)ではなくネズッポ科(スズキ目)。コチとは縁がない。
■ 築地市場などでの「めごち」はネズミゴチ、トビヌメリ、ヌメリゴチ、セトヌメリ。参考文献・協力
協力/金栄丸(和歌山市雑賀崎 金栄丸では魚の販売もやっています)
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『魚の分類の図鑑』上野輝彌・坂本一男 東海大学出版局)、『魚類図鑑』(蒲原稔治 保育者)、『日本の海水魚』(岡村収、尼岡邦夫編・監修 山と渓谷社)