甲長8cm、甲幅10.5cm前後になる。甲はほぼ五角形。甲羅には小さなつごつした瘤がある。短くて硬い毛が生えている。目よりも前方にある額角は4つあり、中の2つがやや小さい。[雌]
トゲクリガニの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
動物界節足動物門甲殻綱十脚目短尾下目クリガニ科クリガニ属外国名
学名
Telmessus acutidens (Stimpson, 1858)漢字・学名由来
漢字 棘栗蟹 Togekurigani
由来・語源 クリガニ科なので、クリガニはわかるが、棘の意味は不明である。Stimpson
William Stimpson(ウイリアム・スティンプソン 1832-1872 アメリカ)。動物分類学・海洋生物学。スナガニ、ババガゼ、サルエビなど。「stimpsoni 」は献名されたもの。地方名・市場名 ?
生息域
海水生。
北海道西岸、津軽海峡、本州、瀬戸内海。生態
ー基本情報
水産基本情報
市場での評価 周年見られるが、3月〜5月に多い。雄の方が流通量が多く、雄よりも雌の方が高い。年年値を上げているのは認知度が上がっているためだろう。特に春、浅場にきた雌の内子は最上級の味。この時季の雌はとても高い。
漁法 カゴ漁、カニ網
産地 青森県、岩手県、宮城県選び方
原則的に生きているもの。持って重みを感じるもの。味わい
旬は雌の内子は春〜初夏。
殻はケガニと比べると硬い。脚の筋肉はそれほど多くはない。甲羅下の筋肉はたっぷりとしていて殻が軟らかいので食べやすい。
みそ、内子は非常に味わい深い。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
トゲクリガニの料理・レシピ・食べ方/ゆでる(塩ゆで)、汁(みそ汁)クリックで閉じます
トゲクリガニの塩ゆで もっとも基本的な料理法である。大きさにもよるが20〜30分くらいでゆであがる。これに陸上げをして、冷水をかけて粗熱をとり、甲羅を上に向けて置く。雌と雄では味わいが違う。雄は筋肉がおいしく、雌は内子が魅力。ケガニに似ているなどと言われるが、味の点で決して負けてはいないと思う。
好んで食べる地域・名物料理
湾内がに 青森県青森市では4月〜6月初旬くらいまで陸奥湾内で揚がる、ものを「湾内がに」という。桜の咲く季節でもあるので、どことなく華やかである。1989年の5月に青森の駅前市場へ魚を見に行った。じっくり北国の市場を散策したのは初めてであったのだが、市場に溢れたクリガニが市場中を逃げ回り、ときに足元を当たっていくのに驚かされた。それを市場のおばさんが見て笑いながらなにか言っている。「捕まえたらもって帰っていいよー」と言っているらしいので、あえて探すとなかなか捕まえられない。歩き疲れてさっきの店を見るとゆであげられたばかりの本種が山盛りになっている。これを1杯だけ買って帰りの東北自動車道のパーキングエリアで食べた。今でも思い出すのは店先の試食で殻をどんどん剥いてくれて「『わんないがに』おいしいだろ」と何度もくり返す、まっかなほっぺのおばさんの顔だ。加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ケガニに負けない 童謡ににケガニになれないクリガニというのがあるが、どうしてもケガニと比べられる。ケガニよりもひと回り小さくて、甲羅が5角形に見える。
瀬戸内海 広島県など瀬戸内海にもいることはあまり知られていない。『大柿町の海辺の生き物』大柿町海辺の生き物調査団著(広島県江田島市大柿町)というまことに楽しい図鑑がある。大柿町は瀬戸内海厳島、倉橋島に挟まれた島であるが、ここ大柿町でトゲクリガニが載っている。参考文献・協力
『大型甲殻類図鑑Ⅰ・Ⅱ』(三宅貞祥 保育社)