殻長60mm前後になる。長卵形で後背部が長く殻頂から前方部分がイシガイと比べると短い。腹縁はやや丸みを帯びる。擬主歯は三角形で放射状の溝がある。(イシガイは薄く溝がない)
タテボシガイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門二枚貝綱古異歯亜綱イシガイ目イシガイ上科イシガイ科イシガイ亜科イシガイ属外国名
学名
Nodularia nipponensis (Martens, 1877)漢字・学名由来
漢字 立烏帽子貝 Standard Japanese name / Tatebosigai
由来・語源 滋賀県琵琶湖周辺での呼び名。平安時代から使われていた冠の立烏帽子(たてえぼし)に似ているため。
Unio douglasiae biwae Kobelt, 1879→Nodularia nipponensis (Martens, 1877)地方名・市場名 ?
生息域
淡水生。水路や湖沼。
北海道〜滋賀県。生態
雌雄異体、メスは精子を水管から取り込むと、体内で受精。
産卵孵化、グロキディウムというという幼生になるまで鰓内で保育する。
そしてこのグロキディウムは母貝から放出されチチブなど魚類のヒレや鰓に寄生して成長、やがて剥がれ落ちて着底、成貝になる。
カネヒラなどタナゴ類やヒガイなどが鰓葉内や外套膜に産卵し、体長10ミリ程度まで貝のなかで育つ。基本情報
琵琶湖での水揚げ量はセタシジミに次ぐ二枚貝だ。生きている状態での流通もあるが、多くは剥き身となって流通している。
そのまま酒蒸しやぬたになる他、「石貝の佃煮」は琵琶湖名物でもある。
珍しさ度 琵琶湖では殻付きの活けが手に入るが、かなり探す必要がある。また北海道から滋賀県の淡水域で採取することもできる。水産基本情報
市場での評価 琵琶湖周辺でのみ剥き身で流通する。やや高値。
漁法 貝桁網
産地 滋賀県選び方
剥き身はふっくらしているもの。貝の色合いが明るいベージュのもの。味わい
旬は晩秋から春。
小型の二枚貝。ほんの微かに泥臭みを感じるが、ほとんど気にならない。
貝殻は薄く軟体が大きい。熱を通してもあまり硬くならない。
貝らしい旨みがたっぷりあり、シジミよりもあっさりしている。いいだしが出る。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
タテボシガイ(石貝)の料理・レシピ・食べ方/酒蒸し、ゆで(ぬた、酢の物)、煮もの、みそ汁、天ぷらタテボシガイの酒蒸(石貝の酒蒸) ざっと流水で水洗い。鍋に入れて酒を振り蒸し上げたもの。あまり硬くならず、貝らしいうま味があり、しかもくせがなく食べやすい。これをぬたや酢の物にしてもいい。クリックで閉じます
タテボシガイのぬた(石貝のぬた) 剥き身を使ってもいいし、塩ゆでするか酒蒸しにして剥き身にする。これを青菜(季節のもの)などとぬたにする。軟体自体に甘味があり、酢の物でもいいがみそとの相性がとてもおいしい。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/滋賀県近江八幡市安土町『魚善』
『日本産淡水貝類図鑑 1 琵琶湖・淀川産の淡水貝類』(紀平肇、松田征也、内山りゅう 株式会社ピーシーズ)、『日本産淡水貝類図鑑 2 汽水域を含む淡水貝類』(増田修、内山りゅう 株式会社ピーシーズ)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)、『湖魚と近江のくらし』(滋賀の食事文化研究会 サンライズ出版 2003)、『お豆さんと近江のくらし』(滋賀の食事文化研究会 サンライズ出版 1996)