コノシロ

代表的な呼び名コハダ

コノシロの形態写真一覧 (クリックで下に拡大表示)
30センチ前後になる。側扁形(左右に平たい)。口が前端(いちばん前)にあり、背が銀色で腹が白い。背鰭の後端(後ろ端)が糸状に伸びる。口はまっすぐで上あごも曲がらない。[コノシロサイズ25cm]30センチ前後になる。側扁形(左右に平たい)。口が前端(いちばん前)にあり、背が銀色で腹が白い。背鰭の後端(後ろ端)が糸状に伸びる。口はまっすぐで上あごも曲がらない。[ナカズミサイズ16cm]30センチ前後になる。側扁形(左右に平たい)。口が前端(いちばん前)にあり、背が銀色で腹が白い。背鰭の後端(後ろ端)が糸状に伸びる。口はまっすぐで上あごも曲がらない。[コハダサイズ10cm]30センチ前後になる。側扁形(左右に平たい)。口が前端(いちばん前)にあり、背が銀色で腹が白い。背鰭の後端(後ろ端)が糸状に伸びる。口はまっすぐで上あごも曲がらない。[新子サイズ6cm]

コノシロの形態写真

30センチ前後になる。側扁形(左右に平たい)。口が前端(いちばん前)にあり、背が銀色で腹が白い。背鰭の後端(後ろ端)が糸状に伸びる。口はまっすぐで上あごも曲がらない。[コノシロサイズ25cm]

魚貝の物知り度 ★★★
知っていたら通人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
動物界脊椎動物門顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱真鰭区ニシン・鰾下区ニシン上目ニシン目ニシン科コノシロ亜科コノシロ属
外国名
Dotted gizzard shad
学名
Konosirus punctatus (Temminck and Schlegel, 1846)
漢字・学名由来
漢字 鰶、子代
由来 流通上はコノシロはあまり知られていない。都内などではもっぱら「こはだ」である。市場などでは「こはだの親」とか「こはだの大きくなったやつ」などという人もいる。
「下野に住んだ長者のひとり娘が美人だったので、常陸の国司がこの娘を召すことになったが、有馬王子(有間か?)と忍び逢いをして懐妊(妊娠)してしまったので、娘の親が“娘は病死した”といい、〈つなし〉を棺桶に入れて焼いた、すなわち“娘の代わりにした”=“子の代”にした。
漢字に祭りがつくのは「祭で食べる魚」であったからだろう。兵庫県姫路市松原八幡神社秋の例大祭(通称「けんか祭」)ではコノシロのすしを作る。
Temminck
コンラート・ヤコブ・テミンク Coenraad Jacob Temminck(1778-1858 オランダ) シュレーゲルとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。
Schlegel
ヘルマン・シュレーゲル(Hermann Schlegel 1804-1884年)はドイツの動物学者。テミングとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。
地方名・市場名 地方名・市場名は長いため下部に表示しました。クリックでジャンプします。

概要 ▽

生息域

内湾、汽水域(河口域)。
北海道積丹半島南部〜津軽海峡東部・青森県八戸・岩手県大船渡湾、仙台湾〜九州南岸の大平洋沿岸、瀬戸内海、新潟県〜九州南岸の日本海・東シナ海。
沿海州、朝鮮半島全沿岸、済州島、渤海、黄海、海南島までの中国東シナ海・南シナ海、台湾。

生態

内湾に棲息し、汽水域にも進入する。プランクトンや小型の甲殻類、珪藻などを食べている。
産卵期は九州では早く初春、そして初夏まで。
春には汽水域近くに大型のコノシロが群れている。
孵化は2、3日で初夏には新子と呼ばれる4センチ前後のものがとれはじめる。
寿命は3年ほど。

基本情報

日本各地の浅い内湾、汽水域に群れを作る。
本種の若魚「こはだ」は東京では江戸時代以来、江戸前を代表する「光りもの」である。本来は江戸時代、握りずしの種を色合いと、酢でしめるという仕事をほどこす魚という意味合いから生まれた言葉だが、本種こそ光りものの中の光りものといった存在である。すし種でも欠かすことのできないもので、需要が高いので東京での価格が日本で一番高く、消費量も多いのではないかと思っている。
全国各地でとれるが、好んで食べる地域とあまり歓迎しない地域にわかれる。
関東、兵庫県瀬戸内海側、熊本県などで好まれる。また韓国でも食用魚として重要、養殖まで行われている。
残念なのは大型になると小骨が硬く、食べにくいこともあって需要がなくなり価格的にも急落すること。おいしい魚なので実に残念。このおいしさをもっと多くの方に知って欲しい。

水産基本情報

市場での評価 最近は「こはだ」は関西でも普通になってきているが、基本的に関東が本場。
首都圏の方が寿司屋が多いため、値が高い。関東の市場に入荷のない日はない。重要な魚である。
値段は6月前からの新子は非常に高く1キロあたり4万円〜11万円というのも珍しくない。
小鰭(こはだ)はやや高め、なかずみになると値が下がり、コノシロサイズは非常に安い。(サイズに関しては市部名・地方名を参照)
●20120709 4グラム前後 4枚から5枚づけ キロ22000円
●20120709 3枚、2枚づけ キロ18000〜90000円
漁法 刺し網、投網、すくい網、定置網
産地 鹿児島県、静岡県、熊本県、大阪府、愛知県、千葉県

選び方・食べ方・その他 ▽

選び方

銀色に光っているもの。触って硬いもの。目が赤くないもの。

味わい

旬は秋から冬
ただし大きさによって別種の味わいがあるので、夏の産卵後をのぞくといつでもうまい。
白身で旨味の強い味わい深い魚。難点は小骨の多さだが、工夫次第で一品となる。
普通酢締めにすることが多い。すしネタとしては生酢で、関西などでは甘酢に漬け込む。
関東では生まれてすぐの新子からなかずみ(現在では18センチ前後)までをよしとし、骨が気になるコノシロを嫌う。
ただし大きくなったコノシロは旨みが強く、本当はいちばんうまい。
卵巣・精巣はとても美味。

栄養

寄生虫

食べ方・料理法・作り方

コノシロ(こはだ)の料理法・調理法・食べ方/生食(酢じめ、背ごし、洗い)、煮る(煮つけ)、焼く(塩焼き)、ソテー(ごま油焼き)、揚げる(唐揚げ、天ぷら)、汁(潮汁、みそ汁)
新子の刺身
新子の酢じめ 8月のやや育った新子を開いて立て塩につけて、酢洗いして少し寝かせたもの。非常に軟らかい身が塩と酢でしまり、ほどよく舌の上で崩れてほんのり甘い。皮に青魚らしい風味がある。

こはだの柚酢じめ この国の「す」は本来乳酸発酵、もしくは柑橘類で得られるものだった。国内の北国以外の地域は高度成長期まで、醸造酢よりも柚子などの柑橘酢を主に使っていたのではないかと思っている。徳島県では今でもユズ(柚/ゆう)を酢じめや酢の物、すしに使うことが多い。ここでは「こはだ」を徳島県産の柚の酢(ゆうのす)で締めてみたユズは醸造酢よりもやや酸味が強いものの、加減しだいで甘味が感じられ、とても味わい深い。

こはだの酢じめこはだの酢じめ 約10cmほどに育った小肌(小鰭)を水洗いして開き、振り塩をする。これを酢に数分間漬け込む。漬け込む時間は気温、魚の大きさによって変える。「こはだ」のうま味豊かで皮に独特の風味がある。非常にうまい。
なかずみの背ごし背ごし 水洗いして三枚に下ろして腹骨をすく。血合い骨をつけたまま0.5mm幅くらいに切り離して行く。しょうがの搾り汁を振り、ごまをからめる。少し泥っぽいが、ごまの香りがこれを気にならなくしてくれる。うま味が強く、脂ものっていてとてもうまい。
なかみずの洗い洗い 三枚に下ろして腹骨を取り、皮を引く。小骨をできるだけ抜き、できる限り薄く切る。これを流水で洗い、仕上げに氷水で洗う。わさびしょうゆでもいいし、しょうがとポン酢、ねぎなどを合わせてもいい。
コノシロの煮つけコノシロの煮つけ 20cm以上のコノシロを水洗いして頭を落とす。皮目から1mm刻みに小骨を切り込み、湯通しして、冷水に落として鱗などを取り去る。よく水切りしてしょうゆ、砂糖、酒の味つけで煮ていく。しょうがをきかせて美味。
コノシロの塩焼きコノシロの塩焼き 大振りのコノシロを水洗い、皮目に細かく切れ目を入れて、振り塩をする。1時間以上寝かせて、じっくりと焼き上げる。脂があるので表面が香ばしく焼き上がる。身離れもよくとてもおいしい。
コノシロのごま油焼きコノシロのごま油焼き コノシロを水洗いして、頭部と尾を切り落とす。塩コショウして少し寝かせる。これをごま油でじっくりとソテーする。表面が非常に香ばしく、身にうま味が強い。コチュジャンと酢、ごま油を合わせたタレなどで食べるとおいしい。
新子の唐揚げ新子の唐揚げ 新子を開いて、塩コショウして、ガラムマサラを少し振る。これに片栗粉をまぶしてかりっとするくらいに揚げる。非常に香ばしく、身は軟らかいまま。スナック感覚で食べられてビールなどに合う。
新子の天ぷら天ぷら 新子を開いて、水分をよく切っておく。これに小麦粉をまぶして衣をつけてかりっと揚げたもの。香ばしいだけではなく、青魚ならではのうま味と皮の風味が楽しめる。キスやメゴチに負けない味だ。
コノシロの潮汁潮汁 三枚に下ろして身の部分は皮目から骨切りをしておく。内臓とウスは切れ目をいれてよく泥などを洗い流す。中骨、内臓とウス、身を湯引きして、冷水に落として水切り。分けておく、中骨などを昆布だし(水)で煮だして、だしを取り、一度こす。このだしに酒、塩で味つけして身と内臓をここで煮立てて出来上がり。仕上げにしょうがの搾り汁をたらす。ねぎ、黒コショウ、柑橘類で食べる。

好んで食べる地域・名物料理

こはだ・なかみずの握り 江戸時代19世紀初めに握りずしが誕生して以来の伝統的なネタ。「こ
「鰶のすし」 兵庫県姫路市。市内では、たくさんの祭りが10月に行われる。秋は祭のシーズンなのである。なかでも松原八幡神社秋の例大祭(通称「けんか祭」)など姫路の祭につきものなのが、「鰶のすし」。独特の開き方をしたコノシロが売られている。大きさは関東では考えられない「コノシロサイズで190グラム〜200グラム、体長25センチ前後だ。酢じめにして家庭家庭ですしが作られる。
刺身 福岡賢、熊本県。三枚に下ろし、端から約1ミリ前後に切り離していく。これを当地の甘い醤油、いりごま、ショウガで食べる。
なます 福岡県福岡市・北九州市小倉。大根、ニンジンと甘酢で和えてなますにする。博多湾周辺では、神社の祭祀の直会やお寺のお斎(おとき)で紅白なます(コノシロ入り)がでる。
酢漬け 「このしろの酢漬け」は南蛮漬けのこと。[千菜市 佐賀県鹿島市]
■韓国料理にも欠かせない魚でごま油で焼く、また焼いてコチュジャンなどをつけて食べる。韓国では養殖されてもいるという。
【卵巣】
このしろ卵煮つけ 卵巣をしょうゆ味で甘辛く煮つけたもの。[忠しゃん 熊本県天草市大矢野町]

加工品・名産品

酢漬け、すし
あずまずし 広島県広島市。コノシロを開いて酢で締め、甘酢味のおからを詰めたもの。
こはだの粟漬け小肌粟漬け 関東では年末に粟漬け(酢じめにゆでた粟をまぶしたもの)が見られる。やや強めの酢加減で、保存性を高めているのは正月の重に詰められることを考えてのこと。粟の黄が華やいだ心持ちにさせてくれる。[協立 東京都江戸川区]
コノシロのみりん干しこのしろのみりん干し 熊本県天草地方は比較的よくコノシロを食べる地域である。姿ずしなど様々な料理がある。このみりん干しも地味ではあるが非常においしい。普通の塩味のものもある。[上天草物産館 さんぱーる 熊本県上天草市]
コノシロの酢じめコノシロの酢じめ 「なかずみ」から「このしろ」サイズを塩をして酢に漬け込んだもの。やや酢の加減が強い傾向があるが、なかなかよくできたもので、これで酢のものを作ったり、すしに使ったりできる。[オジマ食品工業所 愛知県豊川市]

釣り情報

堤防(波止)から浮木を使ってアミエサで釣る。

歴史・ことわざなど

言い伝え・伝説
■ 「下野に住んだ長者のひとり娘が美人だったので、常陸の国司がこの娘を召すことになったが、有馬王子(有間か?)と忍び逢いをして懐妊(妊娠)してしまったので、娘の親が“娘は病死した”といい、〈つなし〉を棺桶に入れて焼いた、すなわち“娘の代わりにした”=“子の代”にした。
■ 「子供が生まれても死んでしまうという家で、その胞衣(えな 胎盤など)とともにコノシロを地の中に埋めると、その子は丈夫に育つという。その子は生涯コノシロを食べてはいけない」
■ 「武士は“このしろ”は〈この城〉に通じるところから食べなかった」
俗謡
「坊主だまして還俗さしてこはだの鮨でも売らせたい。
歴史
■ コノシロは出世魚のひとつ。成長するにともなって名前が変わる。ただし出世ならぬ大きくなるほど関東では値段が安くなる。関東ではもっぱら江戸前握りのネタ。初夏の「新子」から、「こはだ」サイズまでが高く、15センチを超えて「なかみず」となると途端に値段が下がる。
■ 将軍の禁忌食 徳川将軍に出してはいけない魚貝類
鰶魚(コノシロ)、こはだ、秋刀魚、鰯、鮪、鮫、ふぐ、胡沙魚(アイサメ)、鯥、あかえい、撥尾魚(いな)、鯰、鰌、鮒、干もの類 『江戸の食空間』(大久保洋子 講談社学術文庫 2012)
■ こはだの天ぷら 「小平次を竹槍で突く天麩羅屋」。小平次とは小幡(こはだ)小平次のことで鶴屋南北の歌舞伎演目などの登場人物。どちらかというと才能のない小物的な人物で惨殺されて化けて出るようになる。ようするに「(安い種である)こはだを串に刺している天麩羅屋」ということで江戸時代コノシロ(こはだ)を天麩羅だねにしていた証拠となる。また日本橋にある和菓子店『榮太樓』主人の著書に「三越呉服店」の夕食の献立に「こはだの天ぷら」がある。
■ 大阪のバッテラは当初はコノシロのすしだった。大阪市内順慶町「うお常」が明治26年に大阪湾で豊漁だった格安のコノシロを使って小舟(バッテーラ)の形につくった押しずし。

地方名・市場名

シンコ[新子]
サイズ / 時期10cmくらいまで 備考【出世魚】4cmほど(五枚づけ)から6cm前後(二枚づけ) 注):五枚づけとは、五匹で1かん、丸づけとは一匹で1かん。片身づけとは一匹で2かん(片身で一かん)ということ。 場所東京都など関東周辺、愛知県 
ツナシ
備考中型・小型魚。 場所愛知県、岡山県 
コウトウ サイズ / 時期小型 
オオイタ サイズ / 時期大型 
備考【出世魚】 場所愛知県 
ツナシ ツナセ
場所三重県、瀬戸内海、徳島県 
シンコ[新子]
サイズ / 時期4cm~5cm 備考【出世魚】 ただし実状は若干違う。 参考『寿司技術教科書』(旭屋出版) 
コハダ[小鰭] サイズ / 時期7、8cm~10cm 
ナカズミ サイズ / 時期12cm~13cm 
コノシロ サイズ / 時期15cm以上 
備考【出世魚】ただし実状は若干違う。 参考『寿司技術教科書』(旭屋出版) 
コハダ[小鰭]
サイズ / 時期10cm~14cm 備考【出世魚】10cm(丸づけ)から、14cm(片身づけ)まで。 
ナカズミ サイズ / 時期15cm前後 
コノシロ サイズ / 時期17cm以上 
備考【出世魚】 
アシチン ガラ サッコ ジャコ ゼニコ ドロクイ ニブゴリン ハツコ バアカレ ベットウ ホイト マアカリ マヅナシ マベナ モゴ ヨナ
参考文献より。 

参考文献

『たべもの語源辞典』(清水桂一 東京堂出版)、広辞苑、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出)、『魚と貝の事典』(月賢二 柏書房」)、『日本の海水魚』(山と渓谷社)、『すしの辞典』(日比野敏光 東京堂出版)、『鮓・鮨・すし すしの辞典』(吉野ます雄 旭屋出版)
同定は原則的に『日本近海産 魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『江戸の庶民が拓いた食文化』(渡邉信一郎 三樹書房 1996)、『寿し物語』(宮尾しげお 自治日報社出版局)、『江戸っ子菓子屋のおつまみ噺』(細田安兵衛 慶応大学出版会)
寿司に関して聞取意外には『寿司技術教科書』旭屋出版を参考にした
■ いろいろ聞き取りさせていただいた八王子周辺のすし職人の方たちにも感謝いたします。


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